みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
青い森の白い神の里から

写真や記事の無断使用を憂う(HP管理者からの連絡を乞う)

下記のURLに注目。

「http://substandard.sub.jp/cambodia_flag_an_feng_8_imo9365726.htm」

     ↓

サブスタンダード船

上記に張り付けたURL。日本国内の放置座礁船の事を、舌鋒鋭い論調で追及している素晴らしいホーム・ページです。が、私たちが公開している記事や写真を無断で使用し続けており、重大な著作権の侵害が続いています。

集めても集めても、限がないほど積みあがった漂着ゴミ
集めても集めても、きりがないほど積みあがった漂着ゴミ
いつまで、このままなのか。舐められているとしか思えない対応
無断使用されている座礁船の写真

いったい誰が作っているページなのかまったく判らず、こちらから連絡をしようにも完全な一方通行状態です。内容に悪意が込められているのならば、何らかの法的手続きを取りたいところですが、その内容がとても面白く、逆に応援したくなるような記事のオンパレードなのです。

人間が流れ着いたのかと思った光景。近づいてみると‥
無断使用されている写真
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら

特に、放置座礁船問題を「放置する」かのような国や県への対応に、法的な裏付けと舌鋒鋭い論調で攻め込む内容が、読ませる側を唸らせます。できれば、お近づきになって、色々と教えを乞いたいのですが、HP内にはコメント欄もなく、連絡の取りようがありません。

船体が真っ二つに折れてしまった座礁船。後方は森山地区の家並みと白神の山々
無断使用の写真
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥

もし、HPの管理者が、この書き込みを見て下さったら、コメント欄に連絡ください。でないと、著作権法に抵触している事案として、それなりの行動に出ますよ(笑)。可能な限り、コンタクトを取りたいです。証拠のページは保管してありますので、逃げられませんから。

足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ
足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ

で、記事の中に、自分たちの活動のアピールのために、と書かれていますが、いけませんか?。当然、国(国交省)や青森県(河川砂防課)へも、取材を兼ねた連絡をし、「国民の税金での負担が無きよう、船主側から撤去費用を出させる」ように働きかけました。

「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒
「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒

そして、マスコミの皆さまへ、船主が撤去費用を踏み倒す可能性が高いことと、PI保険が適用されそうにないことをお伝えし、高校生らの清掃活動を通して、全国へ発信して戴きました。その次点で、こうした事実を知っていた報道関係者は皆無でした。

折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち
折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち(無断使用)

ゆえに、子供たちへの「環境と防災、近隣国との外交問題を考えるきっかけとなったボランティア学習ができた」こと。と、マスコミ各社の「報道に繋がった」ことを考えると、夫婦と数人の地元の子供たちだけが無償で活動する、「弱小な市民団体」としては、それなりの成果だったと思います。

私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い、
私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い

褒めて欲しいと言いませんが、HPへ取り上げて下さるのならば、せめて一言ぐらいの声掛けが欲しかったです。豊富な知識と取材力で、既存のマスコミを遥かに超える情報発信をされている大先輩なので、ぜひご指導を願うのと同時に、無断使用にならないように、ご連絡ください。

座礁船の横で憤る伊勢親方
座礁船の横で憤る伊勢親方

書き込んで戴くコメント欄は、一切外へは公表しません。これだけ舌鋒う鋭く、問題に切れ込まれる大先達とお見受けしていますので、大人の対応を切に願います。当方は、「日本写真家協会」に所属する職業写真家です。著作権には、ちょっとうるさいですよ(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:6回目

東奥日報「Juni Juni」の連載6回目
東奥日報「Juni Juni」の連載6回目

すっかりご無沙汰してしまいました。公私ともに忙しくて、ブログを更新する暇がありません。おまけに夏風邪を引いたり、軽い熱中症になったりして体調を崩したのも誤算でした。でも、ようやく仕事が一段落してきたのと、体調も戻ってきたので再開します。

周りを窺いながら子供を泳がせるお母さん
周りを窺いながら子供を泳がせるお母さん

今回はオシドリです。仲良し夫婦の象徴とされてきたカモの仲間である水鳥ですが、毎年のようにパートナーを変えるお盛んな夫婦で、子育てもお母さんしかしません。お父さんは、ヒナが生まれても知らんぷりで、どこかへ飛び去ります。

岸辺へ近づく親子
岸辺へ近づく母子

実は、オシドリの取材や撮影は、夫の哲二と共に、2回(2日間)チャレンジしただけで、本格的な仕事をまだ実施していません。生き物の取材以外のことが忙しくて、よきタイミングの時に出掛けられないのです。

同じようにオシドリが繁殖している別の池で撮影したニホンアナグマ。昼間なのに堂々と現れて餌をあさっていた
オシドリが繁殖している池で撮影したニホンアナグマ。昼間なのに堂々と現れて餌をあさっていた

でも最近、尊敬する動物写真家の先輩が訪ねて来られて、オシドリを狙っていることを聞かされました。沖縄のチャンプルー文化のように、あれもこれもミックスしたような仕事をしている自分が恥ずかしくなる、と哲二。白神のオシドリも、きちんと取材する気構えを持ったようです。

岸辺に近い茂みに隠れた親子。一部のヒナは陸に上がりそう
岸辺に近い茂みに隠れた親子。一部のヒナは陸に上がりそう

森を歩くとあちこちの湖沼や渓流、集落近くの田で見かけるオシドリ。その生態は、シノリガモと同じように不明な部分が多いそうです。子供たちとの活動に力を入れるばかりで、かんじんの生き物の行動を追えていないのは本末転倒です。

モリアオガエルを食べるオシドリ
モリアオガエルを食べるオシドリ

今後はもっと、白神山地の生態系の取材に力を注ぎたいと考えています。だから活動に参加する子供たち。もう少し自主性を持って、調査に参加して来ないと、おいて行っちゃうぞ(笑)。浜田さん夫婦も精一杯頑張るから、一緒に歩んでいこうね。

小学生だもん。観察中、ちょっとおイタもいたします。でも、大事な場面では、きちんと行動できます
おイタばかりしていると、置いてっちゃうぞ(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:5回目

東奥日報「Juni Juni」連載の5回目
東奥日報「Juni Juni」連載の5回目

今回は、地域に続く伝統的な神事の紹介をしました。毎年6月に実施される「春日祭(鹿嶋祭)」で、お年寄りから子供まで、来る日を待ちわびている盛大な行事です。当然、集落を上げて取り組むことになり、すべての老若男女に役割が振り分けられます。

昨年の春日祭
昨年の春日祭
去年の舟神輿の運びだし
去年の舟神輿の運びだし

祭り保存会の男衆たちは、数か月前から、重要な祭具となる舟神輿作りや太刀棒の削りだしを始めます。すべて、近くの山や田畑などから手に入れた自然素材の手作り品です。更に、行事の進行や安全対策なども練り上げます。

舟神輿を作る柴田さん
今年の舟神輿を作る柴田さん
舟の底に祈願する文字を書き入れる
舟の底に祈願する文字を書き入れる

そして女衆は、「舟宿」で用意する、おもてなしの料理作りの準備を始めます。寄り合って献立を決めますが、最初の舟宿は、お腹に貯まる食事系のメニューを用意し、喉が渇く時間帯には、お酒やジュースをたっぷりと。疲れが出る最後の舟宿は、子供用の綿菓子や果物などで癒してもらう予定です。

重くて一人では動かせない。二人がかりで、「よいしょ」
重くて一人では動かせない。二人がかりで、「よいしょ」
夜を徹して行われる祭りの準備
夜を徹して行われる祭りの準備

集落中の人たちが、夜遅くまで話し合いを続けて、この神事のための準備を積み重ねています。そして、祭りの主役である子供たちも、ご飯やおやつが食べ放題な「特別な一日」を待ちわびています。

この日の子供たちは、ご飯もおやつも食べ放題
この日の子供たちは、ご飯もおやつも食べ放題
太刀振りとして、今年が初参加の坊や。小学1年生になって赤い襦袢も着せてもらった
太刀振りに初参加した坊や

でも、過疎が進み、少子高齢化に悩む限界集落では、祭りを担う人材不足が深刻です。そのため、青森県の無形文化財に指定されている重要な神事も、存続が厳しくなっています。

舟に乗せる人型も稲わらで手作り
舟に乗せる人型も稲わらで手作り
ユニークな人型の顔も、桐の木に一つずつ書き込んでゆく
ユニークな人型の顔も、桐の木に一つずつ書き込んでゆく

そこで今回、沖縄県の遺骨収集活動で一緒に頑張ってくれた、「IVUSA(国際ボランティア学生協会)」の若者たちに、「大間越地区の春日(鹿嶋)祭りへの参加とお手伝い」をお願いしてみました。

決意を込めた表情で、遺骨収集に向かう学生たち
決意を込めた表情で、遺骨収集に向かう学生たち
休憩中も元気いっぱい。若者たちは屈託がない
元気いっぱいのIVUSAの若者たち

すると、予想通りの「快諾」(笑)。いつも、元気一杯に活動し、不平不満もこぼさず、笑顔で働いてくれる、頼もしい学生さんたちです。IVUSAのプロジェクトとして動くのは、調整時間不足で難しかったのですが、個人個人が自ら交通費を捻出して来てくれることに。

太刀棒も杉の木を1本ずつ削り出す
太刀棒も杉の木を1本ずつ削り出す
削った太刀棒を加工する
削った太刀棒を加工する

その数12人。短期の募集期間であったのに、さすがIVUSAだね、とうなずき合いました。私たちは、彼らの事が大好きです。遺骨収集や遺留品返還の活動などに、一生懸命取り組むだけでなく、過去の歴史を振り返りながら、自らの内面にも向き合おうとする真摯な姿が、素晴らしいからです。

好天に恵まれた去年の春日祭
好天に恵まれた去年の春日(鹿嶋)祭
太刀棒の打ちつけ合い。手前左のレンジさんが今年、急逝された。ご冥福をお祈りします
太刀棒の打ちつけ合い。手前左のレンジさんが今年、急逝された。ご冥福をお祈りします

限界集落化が進む深浦町には、都会の若人の情熱と行動力で助けて戴きたい仕事がたくさんあります。世界自然遺産「白神山地」の保全や有効利用、ジオパークに登録された美しい海岸線への漂着ゴミ問題、過疎化による人口減対策、害獣問題‥

御幣の色紙もすべて手作り
御幣の色紙もすべて手作り
浜辺で最後に掛け声。もうクタクタ‥
色紙で飾られた太刀棒を手に、浜辺で最後の掛け声。もうクタクタ‥

もし、定期的にお手伝いに来てくれるならば、域学連携事業の目に見える成果が期待できそうです。さらに、高齢化が進む地方と都会の若者による、新たな形の交流が実現することになり、想像するだけでも楽しみな企画です。

沖へ流される舟神輿を見守る子供たち
沖へ流される舟神輿を見守る子供たち
新しい舟神輿の土台が完成。後方には、昔の神輿が飾られている
新しい舟神輿の土台が完成。後方には、昔の神輿が飾られている

春日祭は6月27日(土)に実施されます。このブログの読者の方も、よければ一度、足を運んでみませんか。祭りを大切にしながら楽しむお年寄りや子供たちの笑顔と、地域興しのボランティアに燃える若者たちに出会うことができますよ。心より来訪をお待ちしています。

昨年の舟神輿と祭りに臨む保存会のメンバー
昨年の舟神輿と祭りに臨む保存会のメンバー

東奥日報「Juni Juni」の連載:4回目

東奥日報「Juni Juni」の連載の4回目「ニホンアナグマ」
東奥日報「Juni Juni」の連載の4回目「ニホンアナグマ」

白神山地の森の中や麓の集落、道路沿いなどで、最も見かける生き物がニホンアナグマです。体格や風貌がイヌ科のタヌキに似ていますが、彼らはイタチ科。とても愛嬌があって、ユーモラスな風体なのですが、鳥のヒナやカエルなどの小動物にとっては、恐ろしい猛獣となります。

アナグマの家族
アナグマの家族

梅雨が近づくと、水鳥たちが子育てしている池の周りにやってきます。ヒナが泳ぎ回るのを陸からじっと見つめており、隙あらば襲いかかろうと考えているのでしょう。でも、泳げないのか、水中に躍り込んで行く勇気はないようです。同時期に産卵が本格化するモリアオガエルなどを食べて、森の中へ消えて行きます。

池の水辺でカイツブリの巣を狙うお母さんアナグマ
池の水辺でカイツブリの巣を狙うお母さんアナグマ

白神の生態系は、とても豊かです。哺乳類ではツキノワグマ、鳥類ではイヌワシを頂点とした、食物連鎖のピラミッドが完成しています。アナグマも、人間(マタギ)以外の捕食者は、ほとんどいないようで、数は増え続けているようです。

美しい毛並みの個体
美しい毛並みの個体

でも、その存在を脅かす大きな要因の一つが感染症。犬や猫などのペット類やキツネなどに流行った疥癬が、アナグマを蝕んでいるのです。夏から秋になると、家族で行動する個体が多く、一匹が罹ると、あっという間に群れに広がります。

疥癬のため、毛が抜け落ちたお母さんアナグマ
疥癬のため、毛が抜け落ちたお母さんアナグマ

それも、個体数を一定に保つ自然の淘汰力かもしれませんが、病気の個体を見かけると、かわいそうで‥。でも、太古の昔から続く、豊かな生態系を守るためには、出来る限り人間の力は加えない方がよいのでしょう。よほどのことがない限り、「がんばって」と、応援するだけにします。

水鳥のヒナやカエルを狙って水辺に出現したアナグマ
水鳥のヒナやカエルを狙って水辺に出現したアナグマ

でも、ロボット・カメラで撮影するのは許してね。それが、数少ない、観察できる手段だから。マタギの伊勢親方にも、「あまり獲らないで」と伝えておきます。なにしろ体格や風貌が、夫の哲二に似ているのですから(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:3回目

東奥日報「Juni Juni」の連載の3回目
東奥日報「Juni Juni」の連載の3回目(紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)

ゴールデンウィークの連休で1回分飛んでしまい、久しぶりの掲載です。マタギの親方の取材に関わったことで、白神山地の麓の集落に住むことになり、地元の子供たちと生き物の観察を始めるきっかけになった話です。

白神山地の麓の里山で、ウサギの皮をむく伊勢親方=深浦町で
今回も使ってもらえなかったウサギの解体。子供新聞だから、仕方ないけど‥
少し可哀想だけど、とても美味しい夕食になった
可哀想だけど、とても美味しいお鍋になった

世界自然遺産の住人といっても、現代風の生活を送る若い世代の方々は、自然と関わることが少ないように見えます。過疎の村には、勤め先も少なく、通勤や通学も遠方になってしまうため、ほとんどが車を使う暮らしになってしまいます。

熊見台の近くにある山の湧水。祝杯用のビール?
熊見台の近くにある山の湧水。誰かが冷やす、祝杯用のビール?
命の恵みに感謝し、獲った獲物はすべていただく。手も美味しい食材に
命の恵みに感謝し、獲った獲物はすべていただく。手も美味しい食材に

たまの休日も、最寄りの地方都市まで買い出しに行かなければならず、近くの森に出かけて散策する時間もありません。子供たちも、ほとんどがバスや電車通学のため、帰宅時間は決まっており、登下校時に寄り道したり、放課後に森で遊んだりできません。

獲物を狙う鋭い目
獲物を狙う鋭い目
春先に雪崩れた雪渓を越える親方

そして、若者が都会へ出てしまうことで「地方の少子化」が進み、子供たちの絶対数が少ないのです。お友達の家は歩いて行ける距離になく、休みの日は一人で自宅でゲームをしたり、テレビを見たりして、過ごしています。

子供たちに輪かんじきの着け方を教える親方
かんじきを付けて雪山を歩く親方。立ち上がるときに背筋を伸ばした
かんじきを付けて雪山を歩く親方。立ち上がるときに背筋を伸ばした

親方は、そんな子供たちのためにと、縄文以前の時代から続けられている「狩猟採集」の暮らしを実践して下さっています。この後のシリーズは、白神に暮らす生き物たちの紹介と伝統的な神事などを報告して行きます。ご期待ください。

高校生に木の種類を教える親方
高校生に木の種類を教える親方
精悍な面持ちで銃を放つ親方
精悍な面持ちで銃を放つ親方

東奥日報「Juni Juni」の連載:2回目

「Juni Juni」での連載記事の2回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)
「Juni Juni」での連載記事の2回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)

「Juni Juni」の連載です。前回の続きで、白神マタギたちのクマ猟に同行させて戴いた時のエピソードです。新聞記者や女性が、伝統的な仕来たりを重んじる山人たちに受け入れて貰えるのか、を描きました。ここでも、伊勢勇一親方の人徳と、岩崎マタギたちの「懐の深さ」に助けられました。

仕留めたクマに食らいつくロッキー
仕留めたクマに食らいつくクマの狩猟犬・ロッキー

今から、18~19年ぐらい前の話です。ご一緒した方々の一部は、すでに鬼籍に入られており、時の流れの速さを感じてしまいます。当時は、1995年に発生した阪神大震災やオウム真理教の一連の事件などが、世を賑わしていました。夫の哲二は、それらの仕事にも関わっていましたが、どちらかというと主に海外での紛争地取材に明け暮れていました。

仕留めたクマを引っ張る白神のマタギたち
仕留めたクマを引っ張る白神のマタギたち
アフガンの首都の近郊であった不発弾処理を伝える紙面
アフガンの首都の近郊であった不発弾処理を伝える紙面

アフリカ・ルワンダやアフガニスタンの内戦など、一歩間違えると、命を落としかねない戦場ばかりです。現場の事情に理解がある上司と組める時はいいのですが、新聞社内の論理や机上の空論を振りかざす上司が担当になると、現場を無視した無理難題な指令が下されたようで、とても苦労した、と振り返ります。

紙面での連載の一部
アフガン内戦を伝える紙面での連載の一部
哲二がアフガンで撮影した写真グラフ
哲二がアフガンで撮影した写真グラフ

中でも、アフガニスタンでは、あまりに理不尽な社命に憤り、上司に歯向かったところ、「もう君は二度と海外主張に出さない」と、強制帰国の命。帰ってすぐ、大喧嘩になり、腹立ちまぎれに未消化だった休暇を取って、私と箱根の温泉で骨休めしていました。

隠し撮りでタリバンが支配する当時のカブール軍空港を撮影した影像が掲載された紙面。見つかれば処刑の可能性も
隠し撮りでタリバンが支配する当時のカブール軍用空港を撮影した写真が掲載された紙面。見つかれば処刑されたかも‥
ルワンダ内戦のルポ
ルワンダ内戦のルポ

すると、社から一本の電話が。「南米ペルーで日本大使館が占拠された。すぐに行って欲しい」との命令。哲二は、「私は二度と海外へ出されないのでしょう。何ですか、舌の根も乾かぬうちに」と、憤激しています。そして、「お断りします。もう私は、国内の取材だけで充分ですから」

ルワンダの写真グラフ
ルワンダの写真グラフ
射止めたクマを解体するマタギたち。山の神に恵みを得る感謝をして、すべての部位をありがたく頂戴する
射止めたクマを解体するマタギたち。山の神に感謝をして、すべての部位をありがたく頂戴する

そして、白神山地で、マタギたちの生き様を追いかけることになったのです。上司の命令を蹴った後ですから、仕事に自由はまったく利きません。ゆえに、溜まっていた休暇を取って、出張の経費は自腹で取材していました。この時から、時期が来たら会社を辞める決意を固めていたようです。

阿仁マタギの流れを組む上杉親方と語る伊勢親方。上杉親方はかえでちゃんのお祖父ちゃん
熊撃ちの現場で、阿仁マタギの流れを組む上杉親方と語る伊勢親方。上杉親方はかえでちゃんのお祖父ちゃん
熊見台からクマを狙う伊勢親方
熊見台からクマを狙う伊勢親方

が、またしても、スノーモービルに乗る親方の姿を見た上司が、「現代のマタギはスノーモービルで猟をするのか。おもしろいな。それを記事にしよう」と指令。それだけを取り上げたら、世界自然遺産に登録された後、狩猟をする機会や場所を狭められて苦労する、山人たちを茶化すような内容になってしまいます。

冬場の狩猟で、スノーモービルに乗る親方
冬場の狩猟で、スノーモービルに乗る親方
秋のなめこの収穫
秋のなめこの収穫

そんな、ミスリードになりかねない記事と写真は出したくない、と哲二は拒否。また、意見が食い違ってしまい、あえてボツにしたそうです。そして、今までお蔵入りにしていた内容の一部を、東奥日報さんの「Juni Juni」の紙面を借りて報告しています。

熊見台でクマを探す
熊見台でクマを探す
ウサギ狩りに臨む親方。雪盲除けのメガネが時代を感じさせる
ウサギ狩りに臨む親方。雪盲除けのメガネが時代を感じさせる

ドロドロした企業内の嫌な話ですが、そうした事が重なって、会社を早期に退職してフリーとなる道を選んだ夫が、ずっと追いかけてきたテーマのひとつです。いつか、どこかで伝えたいと考えていました。

射止めたクマに手を合わせる伊勢親方
射止めたクマに手を合わせる伊勢親方
初冬、積もった雪からのぞくなめこを採取
初冬、積もった雪からのぞくなめこを採取

詳しい内容は、いずれまとめて発表しようと思っていますが、まず序章(プロローグ)として、お付き合いください。消えゆく日本の姿を地道に伝えていくために、今後とも、夫婦で取り組んでまいりますので。

皆既日食に浮かび上がるブナの梢
皆既日食に浮かび上がるブナの梢
皆既日食がブナの木陰から見えた
皆既日食がブナの木陰から見えた

東奥日報社の小中学生向け新聞「Juni Juni」で連載が始まりました:1回目

「Juni Juni」での連載記事の1回目
「Juni Juni」での連載記事の1回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)

★「Juni Juni」紙面のURL 

http://www.toonippo.co.jp/junijuni/

朝日小学生新聞に次いで、青森県の県紙「東奥日報」の小中学生新聞「Juni Juni(ジュニ・ジュニ)」で、連載を担当することになりました。白神山地の生き物や、そこに暮らす人々の生活文化などを紹介する予定です。

県内での読者層が厚い地方紙なので、新参者の移住者が胸を張って出せる記事は多くありません。が、都会暮らしの長かった、転勤族の元新聞記者夫婦が綴るフォト・エッセーと、読み取って頂ければありがたいです。

雨の森に現れた、全身を水滴で光らせたツキノワグマ
雨の森に現れた、全身を水滴で光らせたツキノワグマ

この手の話を毎回、子どもたちへ向けた内容に仕立てるのがとても難しく、朝小でも苦労しました。連載終了後も、ほんとうに面白く読んで戴けたのだろうか、独り善がりでなかったのか、と自責の念にかられる日々でした。

また、新たな場所でチャンスを下さったので、今度はもっと解りやすく書かなければ、と謙虚な気持ちで臨みます。第一、第三火曜日の東奥日報・夕刊に折り込まれています。よければ皆さま、ご購読いただければ嬉しいです。

新緑のブナの木肌にクマの爪痕が残っていた
ブナの木肌にクマの爪痕が残っていた

最初は、旧岩崎村(約10年前に深浦町と合併)を取材で訪ねたときのエピソードと、クマのお話です。深浦町のマタギ・伊勢勇一親方にも登場願っています。

それでは、1年間、よろしくお願いします。記事の量や写真の扱いも、破格の大きさで掲載して下さっています。期待に応えて、頑張りたいと夫婦で誓い合ってます。よろしくお願い致します。

 

朝日小学生新聞の連載、最終回

朝日小学生新聞の連載の最終回
朝日小学生新聞の連載の最終回

1年間、朝日小学生新聞で続けさせて戴いた連載の最終回です。私たちの拙い記事と写真にお付き合い下さいまして、心よりの感謝とお礼を申し上げます。

鴨撃ちの朝。鳥の飛び立ちを待つ親方
鴨撃ちの朝。鳥の飛び立ちを待つ親方
愛犬を呼ぶために薬莢の笛を吹く
愛犬を呼ぶために薬莢の笛を吹く

最終回は、滅びゆくマタギ文化のお話です。有史以来、白神の森では、そこで暮らす人々が狩猟採集の暮らしをしてきたようです。時折り発掘される石器などから、そうした過去の生活文化が垣間見えるそうです。

新緑の森で、林道に雪崩れた雪の山を越える親方
新緑の森で、林道に雪崩れた雪の山を越える親方
愛犬と一緒に森を歩く親方
愛犬と一緒に森を歩く親方

でも、お金があれば、ほとんどのものを手に入れる事ができ、そう苦労せずとも美味しい肉や野菜が食べられる昨今。伊勢親方のような、森の中で収穫物を得る「原始のような暮らし」は、現代の人には理解されない時代です。

早春の森で、クマを仕留めた親方

早春の森で、クマを仕留めた親方

射止めたウサギを荷台に積み込んで
射止めたウサギを荷台に積み込んで

高齢になられた親方、最近は体調を崩されて、一時期は死の淵をのぞかれました。が、まさに、「不死身のマタギ」(笑)、なので、今は復活に向けてのリハビリに励んでおられます。

座礁船の横で、海を心配する親方
座礁船の横で、海を心配する親方
豊饒の海に座礁した厄介者を背に、海岸線を歩く
豊饒の海に座礁した厄介者を背に、海岸線を歩く

夫婦とも、父親を早く亡くしているので、親方の存在は、私たちの実父のようです。一緒に活動する子供たちにとっても、優しくて強い、スーパーお祖父ちゃんなのです。

高校生の前で流木を玉切りする親方
高校生の前で流木を玉切りする親方
集めた流木を高校生らと洗う
集めた流木を高校生らと洗う

だから親方、ゆっくり養生して、元気になって、また一緒に森へ行きましょうね。そこで、いつものように私たちを厳しく、そして優しく指導してください。長生きして、一緒にマタギの文化を守って行きましょうね。

雪面に冬枯れた木の影が伸びる森を輪カンジキを着けて歩く親方
雪面に冬枯れた木の影が伸びる森を輪カンジキを着けて歩く親方

朝日小学生新聞の連載20回目

朝日小学生新聞の連載20回目
朝日小学生新聞の連載20回目

朝日小学生新聞の連載20回目は、マタギの伊勢勇一親方のお話です。今年76歳になられました。最近は、地域の子供たちにマタギの知識や技術などを、惜しげもなく教えてくださいます。さしずめ、「森の先生」です。

子供たちに木の洞の説明
子供たちに木の洞の説明
収穫したてのマイタケの香りを嗅がす
収穫したてのマイタケの香りを嗅がす

親方は、青森県出身ではないのですが、東北地方の宮城県と山形県境の山深い村で、祖父や父親からマタギの魂を吹き込まれた、筋金入りの狩猟者です。今も、自らの「縄張り」を見回りに行くため、山行きを欠かしません。

初冬の森を歩く。落ちたら命が危ない急斜面でも、安定した歩み
初冬の森を歩く。落ちたら命が危ない急斜面でも、安定した歩み
春先、冬眠から覚めたクマを双眼鏡で探す親方。後方は向白神岳
春先、冬眠から覚めたクマを双眼鏡で探す親方。後方は向白神岳

それが最近、体調を崩されて、難しくなっています。一緒に森を歩ける機会が減ってしまった子供たちも、目に涙を浮かべながら、「親方大丈夫かなぁ」と、心配そうに囁きあっています。

高校生に木の種類を教える親方
高校生に木の種類を教える親方
小学生に森の阿那志をする親方
小学生に森の話をする親方

今年も森にロボットカメラを設置する時期が近づいてきました。また、木造高校深浦校舎の新入生たちも、親方の「森の講和」を楽しみにしています。

縄張りの森でナメコを収穫
縄張りの森でナメコを収穫
クマを撃つ瞬間
クマを撃つ瞬間

早く元気になってくださいね。弟子一同のたっての願いです。

雪盲除けのサングラスに白神の山々が映る
雪盲除けのサングラスに冬枯れた白神の森が映る

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」19回目

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」19回目「キツネ」
朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」19回目「キツネ」

朝日小学生新聞の連載19回目は「ホンドキツネ」です。この子たちが、また、森の中のロボットカメラに写らないんです。夜、林道を車で走っていても、出会える確率は低く、少し心配しています。

飛び跳ねるように遊歩道を走るキツネ
飛び跳ねるように遊歩道を走るキツネ

一時期、重要な獲物であるウサギが数を減らしていたようなので、そうした要因もあるのかな。自然のサイクルの中で、数の増減があることは仕方ないのですが、それ以外に理由があるのならば、心配です。

高校生が仕掛けたカメラの前にも登場
高校生が仕掛けたカメラの前にも登場

マタギの伊勢勇一親方が飼っていた犬が子どもの頃、海岸に散歩へ連れて行くと、数匹の子ギツネがじゃれついてきて驚いた、と話していました。巨大な風車が幾つも出来たり、座礁船が海岸に鎮座していたり(間もなく撤去予定?)、キツネが暮らしていた場所にも、様々な変化があるようです。

逃げる時に、はしたない後姿を撮られました
逃げる時に、はしたない後姿を撮られました

でも、世界自然遺産の村は過疎化のためか、他の地域に比べて圧倒的に開発は進んでいません。いずれ、自然に逆襲されて、動物たちの方が、幅を利かせてくる時代が来るやも知れません。

夏毛の個体。とても痩せてます‥
夏毛の個体。とても痩せてます‥

そんな時には、山野の片隅でいいので、私たち夫婦も仲間に入れてください。親方のように、捕まえてお鍋にしたり、毛皮を剥いだりしませんので(笑)

降りしきる雪の中、赤外線センサーの小さな音に反応
降りしきる雪の中、赤外線センサーの小さな音に反応