昨年の秋に十二湖の歩道で実施した活動。チップの袋を抱えて走る女子生徒
昨年の初夏に笹内川で実施した活動。力持ちの男子たちが巨大な流木を転がして移動させる
2014年から、青森県立木造高校深浦校舎の生徒や深浦町と一緒に行ってきた、「世界自然遺産『白神山地』の麓で展開する防災・環境保全・観光振興に繋がる活動」が、国交省などが主催する日本水大賞で、「未来開拓賞」を戴きました。グランプリには届きませんでしたが、活動を始めて間のない事業だったので、大金星です。
日本水大賞で未来開拓賞の受賞風景(日本河川協会提供)
東京で開催された表彰式には、活動に関わったメンバーが主催者から招待されました。そこで、名誉総裁の秋篠宮殿下をはじめ、委員長の元宇宙飛行士・毛利 衛さん、国交省の石井 啓一大臣らに受賞を祝福されて、栄誉ある表彰状などを頂きました。
緊張した面持ちで表彰式を待つメンバーら(新岡重将さん撮影)
参加したのは、私たち「白神の生き物を観察する会」のメンバーで、県立木造高校深浦校舎の2年生・原田葵さんと坂﨑ちひろさんの二人。そして、深浦町・吉田満町長、総合戦略課・新岡重将さん、木造高校・吉田健校長、木造高校深浦校舎・大居 高広先生の計6人。
会場の前で参加者全員で記念撮影(新岡重将さん撮影)
式典のあとは、受賞パーティーに出席し、普段、なかなか会うことができない方々との交流を体験しました。活動を担った子供たちにとっては、まさに晴れの舞台。頑張った深浦っ子たちが、緊張しながらも誇りを持って列席した姿は、感涙が止まりませんでした。
表彰状を受け取る原田葵さんと坂﨑ちひろさん(日本河川協会提供)
式場で深浦町の活動が紹介された(同上)
思えば、この活動の発端は、先日亡くなった深浦町のマタギ・伊勢勇一親方との、山菜やキノコ採りなど、楽しい思い出があふれる山歩きにあります。融雪雪崩や台風などで、毎年のように出る河川の流倒木が、堤防や道路を削るさまを見て、親方が「この木をなんとか利用できねえかなあ」と嘆いていたのがきっかけでした。
高校生の前で流木を玉切りする親方
在りし日の親方の姿。愛犬を呼ぶために薬莢の笛を吹く
活動を事業化するまでには、国や県の許認可の壁や、流倒木を集め、泥だらけの木を洗うなどの下積みの肉体労働がありました。町の総合戦略課をはじめ、木造高校深浦校舎の生徒や教職員と一緒になって乗り越えてきましたが、いつも傍らには、伊勢親方がいてくださいました。
高校生に木の種類を教えて下さった親方
雪盲除けのサングラスに白神の山々が映る
受賞の知らせを、親方に聞かせられなかったことは残念です。が、この活動を、白神山地と周辺の河川を舞台に、生態系と防災を学ぶ「環境、防災教育の場」として、自然と共に生きた親方の教えを引き継ぎ、発展させていきたいと思います。
ドロノキをチェーンソーできる伊勢親方
雪面に冬枯れた木の影が伸びる森を輪カンジキを着けて歩く親方
最後になりましたが、流木や不要な雑木を無償で譲って下さった、河川を管理する県鰺ヶ沢道路河川事業所(鰺ヶ沢町)、深浦町の「ホリエイ」さんや「三浦建設」さんら建設業者さん、木を無償でチップに刻んでくださった製材業者・鈴光さんをはじめ、昨年からチップ撒きに参加してくれた深浦町立中学校の皆さま、市民ボランティアの皆さまに深く感謝いたします。
昨年の初夏の活動。みんなで力を合わせて巨木を運ぶ
昨年の秋の活動。撒いたチップを手際よく広げる
ちなみに、同じ未来開拓賞を今回、深浦で活動を開始した学生ボランティア「IVUSA(国際ボランティア学生協会)」が受賞しています。琵琶湖での外来植物を除去する活動です。お互い、今後も頑張りましょうね。
昨年の秋の活動。チップを敷き詰めた遊歩道を歩き初め。観光客に声掛けされた
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