みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
日常

東奥日報「Juni Juni」の連載:12回目

東奥日報「Juni Juni」の連載12回目
東奥日報「Juni Juni」の連載12回目

東奥日報「Juni Juni」連載の12回目は、私たちが暮らす集落へ来てくれたIVUSAの学生たちのお話を書きました。6月の春日祭だけでなく、継続的に地域の伝統行事をお手伝いしてくれているのです。

太鼓を叩く保存会の会長を先頭に川へ向かう
太鼓を叩く保存会の会長を先頭に川へ禊に向かう

そして、悪天にも拘らず、海岸清掃も実施してくれて、頼もしい限りです。今回は、十数人の小規模のチームでしたが、来年は100人を超える陣容で、深浦町の手助けに来てくれる、と約束してくれました。

高山植物を背負わせてもらう
高山植物を背負わせてもらう女子学生

ここで、なぜ、彼らが深浦町へ来てくれることになったのかを簡単に記します。IVUSA(国際ボランティア学生協会)は、首都圏や関西、九州などの大学生、約2700人で組織されるNPO団体です。設立は1992年。国内だけでなく海外での災害救援や環境保全活動にも取り組んでいます。

神社に祈願した後、山へ向かう学生たち
神社に祈願した後、山へ向かう学生たち

そんな彼らと最初に出会ったのは、今から4年前、沖縄県中部の丘陵地帯でした。私たちがライフワークとして、毎年、通っている戦没者の遺骨収集活動に参加してくれたのです。

掘り出した遺骨を愛おしげに抱える女子学生
掘り出した遺骨を愛おしげに抱える女子学生
山頂の祠に祈願
山頂の祠に祈願

ただ当時、一緒に活動する沖縄在住の某親方が、IVUSAが来沖することをすっかり忘れており(笑)、突然、現場で80人を超える学生たちの指導を命じられたため、戸惑いました。

喜屋武のジャングルで遺骨収集に臨むIVUSAとJYMAの学生たち
喜屋武のジャングルで遺骨収集に臨むIVUSAの学生たち

でも、高校を卒業して間もない、あどけなさが残る学生たちが、泥まみれになりながらも穴を掘って土を掻き分け、懸命に遺骨を探す姿に、驚くのと共に、感動を覚えました。

バケツで土砂を運ぶ
ジャングルの下を掘り進める
元気よく山かけ踊りに取り組む
元気よく山かけ踊りに取り組む

そして、過酷な仕事にも笑顔を絶やさず働く姿や、粉々に砕かれた小さな骨片を拾い集めて涙ぐむ学生たちに、すっかり心を奪われたのです。とてもひたむきで、かわいらしくて‥。それからは、IVUSAが来るたびに、夫婦で指導を申し出て、活動しています。

遺骨を前に泣き出す女子学生
遺骨を前に泣き出す女子学生
祭列に合わせて踊るおばあちゃんも
祭列に合わせて踊るおばあちゃんも

そして、沖縄の遺骨収集活動には、JYMA(日本青年遺骨収集団)という、学生や社会人らで組織する団体が、毎年、参加してくれます。彼らは、IVUSAと違って、10~20人の少人数で活動しますが、まさに精鋭の集まりです。

掘り出した旧日本軍の認識票を見せる女子学生
掘り出した旧日本軍の認識票を見せる女子学生
見事に息があった踊り
見事に息があった踊り

海外での活動経験も豊富で、黙っていても、完璧に仕事をこなしてくれるエキスパートたち。とても頼もしい存在で、IVUSAと同様に、大好きな若者たちです。両団体共に、今年は遺骨の収集だけでなく、遺留品の返還活動も頑張ってくれました。

今年も来てくれたJYMAの若者たち

今年も来てくれたJYMAの若者たち

みんなで履いていた草鞋を脱ぐ

みんなで履いていた草鞋を脱ぐ

こうした活動を通した沖縄での若者たちとの出会いは、私たちにとって、とても新鮮でした。そして、過疎と限界集落化で苦しむ深浦町にも、お手伝いに来てくれないかと、声掛けしてみたのです。

学生から、遺留品の印鑑などを受け取った灰原信之さん(中央)

学生から、遺留品の印鑑などを受け取る戦没者の遺族(中央)

高い梢に草鞋を引っ掛けて喜ぶ学生

高い梢に草鞋を引っ掛けて喜ぶ学生

すると、学生たちは興味津々。「ぜひ、お手伝いしたい」と、私たちの暮らす集落へ来てくれることになりました。IVUSAが国内外で実施している「地域おこし」や「環境保全」などの活動と、深浦町が抱えている種々の問題が一致したことも、派遣の大きな理由になりました。

先祖のお墓にも礼節を忘れずに

戦没者のお墓に祈りを捧げる学生たち

高校生と清掃活動

高校生と清掃活動

よく、大人たちの会話で、「最近の若い者は‥」との愚痴を聞きます。が、私たちは逆に、「最近の若者は素晴らしい」と応えてしまいます。それは、IVUSAやJYMAの若者たちと知り合ったからです。

戦没者の遺留品を遺族へ返還する若者たち

戦没者の遺留品を遺族へ返還する若者たち

防潮堤の上から海岸の調査

防潮堤の上から海岸の調査

終戦から70年。今、日本は様々な立場において、岐路に立たされています。外交の問題、内政の問題、少子化や地方の衰退‥。特に、国家のあり方と安保法制の行方は予断を許さない状況です。

清掃中にずっこけそうになる高校生の葵ちゃん

清掃中にずっこけそうになる高校生の葵ちゃん。「白神の生き物を観察する会」の熱心なメンバー

本来あるべき国の姿と子どもたちの将来が心配されるような政治状況が、今後も続きそうです。だからこそ、若者たちの働きに期待しましょう。これからの日本を支えて行くのは、彼らなのです。

登る前に記念撮影
白神岳へ登る前に記念撮影

私たちに出来るのは、まず、事実を見てもらい、選ぶための多様な選択肢を示し、正しい道とは何か考えもらうために、働き続ける事しかできません。日本が、いや世界の人々が平和に暮らせる未来を目指して、頑張ってくださいね。ロートル夫婦ですが、精一杯の応援とお手伝いをしますから。

東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目

東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目
東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目

今回の「Juni Juni」連載は、地元農家の嫌われ者、「ニホンザル」です。下北の個体群と同様、世界最北端に生息するサルたちですが、増えすぎて田畑の農作物を襲うため、一部が間引かれる事態にまでなっています。

集団で農場を襲うサルの群れ
農場に現れたサルの群れ

以前は、白神山地の奥地で、わずかな群れが平穏に暮らしていました。麓の村に下りてきて、悪さをする個体も少なく、駆除の対象にもなっていません。地域の人も、「サルに悪戯をすると罰があたる」と、畏怖の念を抱くほどでした。

親子連れ。とても愛らしいが‥
親子連れ。とても愛らしいが‥

それが、ここ最近、急激に数を増やして、麓の村々を困らせています。なぜ、増えてきたのか?。その理由は、判っていません。マタギたちの高齢化により、狩猟圧が減ったことなのか。過疎と限界集落化で、人間の力が弱まっているのをサルが見抜き、攻勢に出てきているのか。

キョロキョロと、周りを窺いながらカボチャ畑を荒らすサル
キョロキョロと、周りを窺いながらカボチャ畑を荒らすサル

研究機関などの調査も、ほとんど進んでいないので、判別がつかないのです。そして、サルだけでなく、クマやハクビシン、アライグマ、カラスなどが、害獣となって農地を襲う、「動物たちの逆襲」が続いています。

サルの罠である折を運ぶ役場の職員
サルの罠であるオリを運ぶ役場の職員

先日、近所のおばあちゃんが、我が家の軒先に捥ぎたてのトマトを4~5個、置いてくれました。外出先から帰ってくると、今まさにトマトを持ち去ろうとしている若いサルと鉢合わせ。「コラッ!」と、夫・哲二が、拳を振り上げて追い払います。

農園で落ち穂を披露サルの家族
農園で落ち穂を拾うサルの家族

が、敵もサルもの。瞬時に我が家の屋根へ飛び移ります。そして、どうしてもトマトが欲しいらしく、立ち去りません。しばらく睨み合っていましたが、ボス猿のような哲二の風体に恐れをなしたのか、渋々と山の方へ戻っていきました。

母サルがカボチャを持ち帰るのを木の上で待つ子ザルたち
母サルが餌を持ち帰るのを木の上で待つ子ザルたち

小柄な若い個体だったので、1個ぐらいあげてもいいかな、と思いましたが、哀れみは禁物。一度、餌付けたら、毎日のように押しかけてきます。そうしたら、私たちだけでなく、近所の農家すべてが困らされるのです。

花火で追い払い。後方に捕獲用の檻が設置してある、同町で
花火で追い払い。後方に捕獲用の檻が設置してある

どうして、人間と敵対するようになったのでしょうか。やはり、過疎と高齢化で人口が減り、農業を担える人材が少なくなっているのが要因だと思われます。若手で農家を専業にする方も、町内には数えるほどしかいません。ほとんどが兼業か大規模な農場で働いているからです。

畑仕事を終えて自宅へ向かう近所のお年寄りたち
畑仕事を終えて自宅へ向かう近所のお年寄りたち

そして、個人の小さな田畑は、そのほとんどをお年寄りが管理しています。そんな畑におばあちゃんしかいないと、サルは平然と侵入し、目の前で作物を持ちさります。おばあちゃんが騒いだり、石を投げたりしても、まったく無視。人の強弱を値踏みしているかのようです。

ジャガイモ畑をサルに荒らされ、見成熟な芋を慌てて収穫するお年寄り
ジャガイモ畑をサルに荒らされ、見成熟な芋を慌てて収穫する

この地域で心配なのは、こうした農業を生き甲斐にしているお年寄りたちへの被害です。日課にしている畑仕事が獣害で継続できなくなったら、体を動かすことができなくなります。社交場としていた畑に出なくなれば孤独感が募り、よけいに参ってしまうのです。そうして寿命を縮めたという例も聞きました。

サルの害獣駆除で、空砲を撃って追い払う伊勢親方
サルの害獣駆除で、空砲を撃って追い払う伊勢親方

何とか対策を講じなけれならないのですが、小さな市町村が対応するのも限界があります。深浦町も専従の職員を雇ったり、猟友会に全面的な協力をお願いしたりして、対策を講じていますが、サルの数は一向に減らず、農業被害は深刻なままです。

捕獲されて、身体測定されるサル
捕獲されて、身体測定されるサル

できれば、大学などの研究機関と国が対策を講じてほしいものです。地方への経済効果の波及を狙う、「ローカル・アベノミクス」とか、「地方の変革」とか、スローガンは立派ですが、地方のおばあちゃんたちへは、何も届いていません。それよりも、若者が都会へ出ていかなくても暮らしていける、「素晴らしい故郷」を再構築させてください。

サルに荒らされたカボチャ畑で呆然と立ち尽くすばっちゃん。ほどんど収穫できず、ほぼ全滅した。約半年間、手塩にかけて育ててきただけに、目尻から涙がこぼれた、同町で
サルに荒らされたカボチャ畑で呆然と立ち尽くすばっちゃん。収穫できず、ほぼ全滅した。約半年間、手塩にかけて育ててきただけに、目尻から涙がこぼれた

右翼的な発言の多い総理ですが、日本人が大事に守ってきた親兄弟や友人、そして故郷を大切にできるような施策は、ほとんど出てきません。金のばら撒きでない、実体の伴った政策をお願いしますよ。

テレメトリーを装着後、群れに還されるメスザル。調査員から、「もう悪さするなよ」と言われ、反省しているような表情を浮かべている、深浦町で
テレメトリーを装着後、群れに還されるメスザル。調査員から、「もう悪さするなよ」と言われ、反省しているような表情を浮かべている

ただ、間違っても戦争への道は、止めてくださいね。この村では、あの大戦の生き残りの兵士たちが、まだ畑に出て、鍬を握っているのですから。それよりも、サルとの争いを平和裏に解決できるよう、知恵と実行力をお貸しください。

早朝、朝日を背に森の中を歩いてきた群れ、同町の十二湖で
早朝、朝日を背に森の中を歩いてきたサルの群れ

写真や記事の無断使用を憂う(HP管理者からの連絡を乞う)

下記のURLに注目。

「http://substandard.sub.jp/cambodia_flag_an_feng_8_imo9365726.htm」

     ↓

サブスタンダード船

上記に張り付けたURL。日本国内の放置座礁船の事を、舌鋒鋭い論調で追及している素晴らしいホーム・ページです。が、私たちが公開している記事や写真を無断で使用し続けており、重大な著作権の侵害が続いています。

集めても集めても、限がないほど積みあがった漂着ゴミ
集めても集めても、きりがないほど積みあがった漂着ゴミ
いつまで、このままなのか。舐められているとしか思えない対応
無断使用されている座礁船の写真

いったい誰が作っているページなのかまったく判らず、こちらから連絡をしようにも完全な一方通行状態です。内容に悪意が込められているのならば、何らかの法的手続きを取りたいところですが、その内容がとても面白く、逆に応援したくなるような記事のオンパレードなのです。

人間が流れ着いたのかと思った光景。近づいてみると‥
無断使用されている写真
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら

特に、放置座礁船問題を「放置する」かのような国や県への対応に、法的な裏付けと舌鋒鋭い論調で攻め込む内容が、読ませる側を唸らせます。できれば、お近づきになって、色々と教えを乞いたいのですが、HP内にはコメント欄もなく、連絡の取りようがありません。

船体が真っ二つに折れてしまった座礁船。後方は森山地区の家並みと白神の山々
無断使用の写真
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥

もし、HPの管理者が、この書き込みを見て下さったら、コメント欄に連絡ください。でないと、著作権法に抵触している事案として、それなりの行動に出ますよ(笑)。可能な限り、コンタクトを取りたいです。証拠のページは保管してありますので、逃げられませんから。

足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ
足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ

で、記事の中に、自分たちの活動のアピールのために、と書かれていますが、いけませんか?。当然、国(国交省)や青森県(河川砂防課)へも、取材を兼ねた連絡をし、「国民の税金での負担が無きよう、船主側から撤去費用を出させる」ように働きかけました。

「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒
「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒

そして、マスコミの皆さまへ、船主が撤去費用を踏み倒す可能性が高いことと、PI保険が適用されそうにないことをお伝えし、高校生らの清掃活動を通して、全国へ発信して戴きました。その次点で、こうした事実を知っていた報道関係者は皆無でした。

折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち
折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち(無断使用)

ゆえに、子供たちへの「環境と防災、近隣国との外交問題を考えるきっかけとなったボランティア学習ができた」こと。と、マスコミ各社の「報道に繋がった」ことを考えると、夫婦と数人の地元の子供たちだけが無償で活動する、「弱小な市民団体」としては、それなりの成果だったと思います。

私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い、
私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い

褒めて欲しいと言いませんが、HPへ取り上げて下さるのならば、せめて一言ぐらいの声掛けが欲しかったです。豊富な知識と取材力で、既存のマスコミを遥かに超える情報発信をされている大先輩なので、ぜひご指導を願うのと同時に、無断使用にならないように、ご連絡ください。

座礁船の横で憤る伊勢親方
座礁船の横で憤る伊勢親方

書き込んで戴くコメント欄は、一切外へは公表しません。これだけ舌鋒う鋭く、問題に切れ込まれる大先達とお見受けしていますので、大人の対応を切に願います。当方は、「日本写真家協会」に所属する職業写真家です。著作権には、ちょっとうるさいですよ(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:2回目

「Juni Juni」での連載記事の2回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)
「Juni Juni」での連載記事の2回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)

「Juni Juni」の連載です。前回の続きで、白神マタギたちのクマ猟に同行させて戴いた時のエピソードです。新聞記者や女性が、伝統的な仕来たりを重んじる山人たちに受け入れて貰えるのか、を描きました。ここでも、伊勢勇一親方の人徳と、岩崎マタギたちの「懐の深さ」に助けられました。

仕留めたクマに食らいつくロッキー
仕留めたクマに食らいつくクマの狩猟犬・ロッキー

今から、18~19年ぐらい前の話です。ご一緒した方々の一部は、すでに鬼籍に入られており、時の流れの速さを感じてしまいます。当時は、1995年に発生した阪神大震災やオウム真理教の一連の事件などが、世を賑わしていました。夫の哲二は、それらの仕事にも関わっていましたが、どちらかというと主に海外での紛争地取材に明け暮れていました。

仕留めたクマを引っ張る白神のマタギたち
仕留めたクマを引っ張る白神のマタギたち
アフガンの首都の近郊であった不発弾処理を伝える紙面
アフガンの首都の近郊であった不発弾処理を伝える紙面

アフリカ・ルワンダやアフガニスタンの内戦など、一歩間違えると、命を落としかねない戦場ばかりです。現場の事情に理解がある上司と組める時はいいのですが、新聞社内の論理や机上の空論を振りかざす上司が担当になると、現場を無視した無理難題な指令が下されたようで、とても苦労した、と振り返ります。

紙面での連載の一部
アフガン内戦を伝える紙面での連載の一部
哲二がアフガンで撮影した写真グラフ
哲二がアフガンで撮影した写真グラフ

中でも、アフガニスタンでは、あまりに理不尽な社命に憤り、上司に歯向かったところ、「もう君は二度と海外主張に出さない」と、強制帰国の命。帰ってすぐ、大喧嘩になり、腹立ちまぎれに未消化だった休暇を取って、私と箱根の温泉で骨休めしていました。

隠し撮りでタリバンが支配する当時のカブール軍空港を撮影した影像が掲載された紙面。見つかれば処刑の可能性も
隠し撮りでタリバンが支配する当時のカブール軍用空港を撮影した写真が掲載された紙面。見つかれば処刑されたかも‥
ルワンダ内戦のルポ
ルワンダ内戦のルポ

すると、社から一本の電話が。「南米ペルーで日本大使館が占拠された。すぐに行って欲しい」との命令。哲二は、「私は二度と海外へ出されないのでしょう。何ですか、舌の根も乾かぬうちに」と、憤激しています。そして、「お断りします。もう私は、国内の取材だけで充分ですから」

ルワンダの写真グラフ
ルワンダの写真グラフ
射止めたクマを解体するマタギたち。山の神に恵みを得る感謝をして、すべての部位をありがたく頂戴する
射止めたクマを解体するマタギたち。山の神に感謝をして、すべての部位をありがたく頂戴する

そして、白神山地で、マタギたちの生き様を追いかけることになったのです。上司の命令を蹴った後ですから、仕事に自由はまったく利きません。ゆえに、溜まっていた休暇を取って、出張の経費は自腹で取材していました。この時から、時期が来たら会社を辞める決意を固めていたようです。

阿仁マタギの流れを組む上杉親方と語る伊勢親方。上杉親方はかえでちゃんのお祖父ちゃん
熊撃ちの現場で、阿仁マタギの流れを組む上杉親方と語る伊勢親方。上杉親方はかえでちゃんのお祖父ちゃん
熊見台からクマを狙う伊勢親方
熊見台からクマを狙う伊勢親方

が、またしても、スノーモービルに乗る親方の姿を見た上司が、「現代のマタギはスノーモービルで猟をするのか。おもしろいな。それを記事にしよう」と指令。それだけを取り上げたら、世界自然遺産に登録された後、狩猟をする機会や場所を狭められて苦労する、山人たちを茶化すような内容になってしまいます。

冬場の狩猟で、スノーモービルに乗る親方
冬場の狩猟で、スノーモービルに乗る親方
秋のなめこの収穫
秋のなめこの収穫

そんな、ミスリードになりかねない記事と写真は出したくない、と哲二は拒否。また、意見が食い違ってしまい、あえてボツにしたそうです。そして、今までお蔵入りにしていた内容の一部を、東奥日報さんの「Juni Juni」の紙面を借りて報告しています。

熊見台でクマを探す
熊見台でクマを探す
ウサギ狩りに臨む親方。雪盲除けのメガネが時代を感じさせる
ウサギ狩りに臨む親方。雪盲除けのメガネが時代を感じさせる

ドロドロした企業内の嫌な話ですが、そうした事が重なって、会社を早期に退職してフリーとなる道を選んだ夫が、ずっと追いかけてきたテーマのひとつです。いつか、どこかで伝えたいと考えていました。

射止めたクマに手を合わせる伊勢親方
射止めたクマに手を合わせる伊勢親方
初冬、積もった雪からのぞくなめこを採取
初冬、積もった雪からのぞくなめこを採取

詳しい内容は、いずれまとめて発表しようと思っていますが、まず序章(プロローグ)として、お付き合いください。消えゆく日本の姿を地道に伝えていくために、今後とも、夫婦で取り組んでまいりますので。

皆既日食に浮かび上がるブナの梢
皆既日食に浮かび上がるブナの梢
皆既日食がブナの木陰から見えた
皆既日食がブナの木陰から見えた

東奥日報社の小中学生向け新聞「Juni Juni」で連載が始まりました:1回目

「Juni Juni」での連載記事の1回目
「Juni Juni」での連載記事の1回目  (紙面の著作権は「東奥日報社」にあります。無断使用や転用は厳禁です)

★「Juni Juni」紙面のURL 

http://www.toonippo.co.jp/junijuni/

朝日小学生新聞に次いで、青森県の県紙「東奥日報」の小中学生新聞「Juni Juni(ジュニ・ジュニ)」で、連載を担当することになりました。白神山地の生き物や、そこに暮らす人々の生活文化などを紹介する予定です。

県内での読者層が厚い地方紙なので、新参者の移住者が胸を張って出せる記事は多くありません。が、都会暮らしの長かった、転勤族の元新聞記者夫婦が綴るフォト・エッセーと、読み取って頂ければありがたいです。

雨の森に現れた、全身を水滴で光らせたツキノワグマ
雨の森に現れた、全身を水滴で光らせたツキノワグマ

この手の話を毎回、子どもたちへ向けた内容に仕立てるのがとても難しく、朝小でも苦労しました。連載終了後も、ほんとうに面白く読んで戴けたのだろうか、独り善がりでなかったのか、と自責の念にかられる日々でした。

また、新たな場所でチャンスを下さったので、今度はもっと解りやすく書かなければ、と謙虚な気持ちで臨みます。第一、第三火曜日の東奥日報・夕刊に折り込まれています。よければ皆さま、ご購読いただければ嬉しいです。

新緑のブナの木肌にクマの爪痕が残っていた
ブナの木肌にクマの爪痕が残っていた

最初は、旧岩崎村(約10年前に深浦町と合併)を取材で訪ねたときのエピソードと、クマのお話です。深浦町のマタギ・伊勢勇一親方にも登場願っています。

それでは、1年間、よろしくお願いします。記事の量や写真の扱いも、破格の大きさで掲載して下さっています。期待に応えて、頑張りたいと夫婦で誓い合ってます。よろしくお願い致します。

 

写真の謝礼で届いた手作りパン

夫の写真を使って完成したリーフレット
夫の写真を使って完成したリーフレット

今年のお盆の時期、私たちのホームページに一通の書き込みがありました。開いてみると、長野県中川村のグラフィックデザイナーで主婦の「さおりさん」からでした。

初春の白神の森で撮影したブナの梢と青空
初春の白神の森で撮影したブナの梢と青空

なんでも、「友人が作るリーフレットに白神山地の写真を使わせて欲しい」とのお問い合わせ。使用した写真の掲載料もお支払したい、とのありがたい申し出でした。連絡してみますと、都会から伊那谷へご家族で移住されたとのこと。他人とは思えない縁を感じ、写真の使用をOKすると共に、どのようなリーフレットなのか聞いてみました。

宅急便の包みからこぼれる甘い香り。ん、何?
宅急便の包みからこぼれる甘い香り。ん、何?

すると、「起業する友人の案内パンフレットのようなもの」だそう。夫は職業写真家なので、食べて行くためにはお金を戴いた方がありがたいです。が、話をすればするほど、私たちと同じような境遇の仲間。熟考した結果、商売を優先するよりも、「田舎暮らしの友」として仲良くなった方が楽しそうです。写真は著作権を知らせるクレジットさえ入れて下されば、無料の使用もOKしました。

わー、パンだ。すごく、美味しそう!
わー、パンだ!、クッキーだ!。すごく、美味しそう‥

で、その完成したリーフレットが昨日、届きました。それが、なぜか大きめの包み。開いてみると、フルーツのような甘い香りと小麦の香ばしい匂いが漂ってきます。なんと、自家製のカンパーニュとクッキー、これまた手作りのビールが同封されていました。

ずっしりと重いよ。それに、とても良い香り
ずっしりと重いよ。それに、とても良い香り

フランスパンは、夫も私も大好物。直径20㎝を超える分厚いパンを手に、小躍りしながら注意書きを見ると、直接、手で触れないように、との一言。ま、いいか。自分たちが食べるんだもの。ん、待てよ、お隣の奥さん、堅めのパンが好きだと聞いたっけ。「お裾分けする?」と夫の方を見ると、戴いたビールを急々と冷蔵庫へ入れてる最中。こちらを一顧だにしません。

なんか愛しく思える形と手触り。早く食べたーい
なんか愛しく思えるような形と手触り。早く食べたーい

ま、石鹸で手も洗ったし、大丈夫よね。お隣も親戚付き合いみたいなものだしね。半分に切って持って行くと、奥さんは大喜び。「こんなパン、ここでは買えないのよぉ。嬉しいー!」と、やはり小躍りしています。

お裾分けするためにパン切り包丁でカット
お裾分けするためにパン切り包丁でカット

さおりさんへお礼の電話をすると、パン作りの話題に。なんと、山芋やご飯などで発酵させた手作り酵母を使い、全粒粉と菜種油などで焼きあげたそうです。

割ってみると、中は黄色い生地。カボチャを練り込んであるそう
堅い生地を割ってみると、あれ?、中身が黄色いよ

パン屋の開業も視野に入れられているそうで、私たちよりも地に足がついた暮らしをされ、高い目標を目指しておられるのがとても眩しい。これを機に、伊那谷と白神のネットワークが繋げたらなあ、と勝手な願望を抱いています。

黄色い生地はカボチャを練り込んであるから
なんと、生地にカボチャを練り込んであるそう

そして、リーフレットを作られたご友人は、長野県辰野町でお仕事をされています。辰野といえばホタルの里。夫が新聞記者時代に、二度もホタルの取材で訪れた場所です。

さおりさんのパン工房、「こねこね会」のしおりとお手紙

当時、助手を兼ねて私も同行し、幻想的な光の舞に陶酔した思い出が蘇ってきました。はたまた、不思議な縁を感じながら、いつカンパーニュを頬張ろうかと思案している所です。当然、あなたはビールよね♪

ホタルの写真が使えないので、イメージカットで代用
ホタルの写真が使えないので、イメージカットで代用

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」12回目

白神シリーズの連載記事で書く最後のシノリガモです。

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」12回目
朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」12回目

今年も親鳥が、繁殖活動のために3組も川を遡上してきたのですが、残念ながら営巣行動をみせず、子育ては失敗に終わりました。

大好きな石の上から水面に降りるヒナたち
大好きな石の上から水面に降りるヒナたち

様々な要因が考えられます。

岩が並ぶ急流の隙間を仲良く泳ぐ親子
岩が並ぶ急流の隙間を仲良く泳ぐ親子

たび重なる釣り師の立ち入りや、大雨による土砂の流入と堆積などです。でも、観察を始めたばかりなので、何が問題であったのかを断定するのは、時期尚早でしょう。

川への立ち入りを「遠慮してもらう」よう声掛けするも、竿を振り続ける釣り師
川への立ち入りを「遠慮してもらう」よう声掛けするも、竿を振り続ける釣り師

ただ、ここ数年は毎年のように可愛いヒナをお披露目してくれていたので、寂しい限りです。

危険が迫るとヒナを羽根の下に隠すお母さん
危険が迫るとヒナを羽根の下に隠すお母さん

3人娘をはじめとする地元の子供たちも、落胆の色を隠せません。とても残念です。

子育てへの理解と協力を訴えかける看板。9割の方は協力して下さる
子育てへの理解と協力を訴えかける看板。9割の方は協力して下さる

子育て出来なかった原因が、気象や自然環境だけにあるならば、野生の現象の一つとして長い目で見ることができます。が、人間の営みや活動によるストレスが要因であるならば、なんとか共存できる道を探り出したいものです。

石の上を休みながら遡上する親子
石の上を休みながら遡上する親子

世界自然遺産を源に流れる川の生態系。絶滅が心配されている個体群でもある鳥の貴重な繁殖地は、何とか守ってやりたいと考えています。

石の上で寄り添うお母さんに甘えるヒナ
石の上で寄り添うお母さんに甘えるヒナ
元気よく、石から飛び込むヒナたち
元気よく、石から飛び込むヒナたち

ようやく、その存在と重大さに気づき始めた地元の子供たちと共に。身の回りの出来事で凹んでばかりいられません。

がんばらなくては。

雨の日も風の日も雪の日も、一生懸命に観察する子供たち
雨の日も風の日も雪の日も、一生懸命に観察する子供たち

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」11回目

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」11回目の記事
朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」11回目の記事

最近、体調が思わしくなく、ブログの更新をほとんど出来ていません。身体の一部を痛めたのですが、なかなか治らないので、秋田県能代市の総合病院へ週に1回は通う羽目に。

雪解け水が流れる川で水生昆虫を採集する3人娘
雪解け水が流れる川で水生昆虫を採集する3人娘
採取した水生昆虫を同定
採取した水生昆虫を同定

毎日仕事に追われていた記者時代とは違い、のんびりするために会社を辞めたのに、本末転倒のような日々を送っています。長生きするためには、記事の「原稿」よりも、自らの「健康」が第一なのになぁ。難しいものです‥

捕獲したカワゲラの幼虫
捕獲したカワゲラの幼虫

朝日小学生新聞の連載企画「シノリガモの2回目」が掲載されました。今年のシノリガモの報告も作らなければいけないのですが、様々な制約があって滞っています。

ノギスで体長を測定も
ノギスで体長を測定
小型のものは虫眼鏡で観察
小型のものは虫眼鏡で観察

何もかもが停滞期の今、パッと目の前が開けるような「吉兆」がありませんかねぇ。北国は、実りの秋を終えたら、また、長く暗い冬が訪れます。沈み込んでばかりでは、何も開けてきませんが、復活にはもう少し時間がかかりそうです。

大好きな石の上で休みソノリガモのヒナ。糞もこの上ですることが多い
大好きな石の上で休みソノリガモのヒナ。糞もこの上ですることが多い

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」10回目

身辺に起きる「厄介ごと」を受け止めきれなくて、ブログやフェースブックからの発信を休んでいました。しかし、朝日小学生新聞の連載記事の更新は放置できなくて、書き込みを再開します。

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」10回目 シノリガモの記事
朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」10回目 シノリガモ

今回は、自宅の脇を流れる川で子育てをするシノリガモのお話です。これまでは、山深い渓流で繁殖活動をする水鳥とされていましたが、民家が立ち並ぶ集落内を流れる川で、毎年のように愛らしい姿を見せてくれます。

繁殖期のカップル。美しいオスは、子育てを手伝わないで、早々にいなくなる
繁殖期のカップル。美しいオスは、子育てを手伝わないで、早々にいなくなる

このシリーズは3回に分けて紹介します。地元の子供たちとの交流や活動を深めるきっかけになってくれた、渓流の道化師たち。私たち夫婦は、この鳥が大好きになってしまいました。

健気に母鳥に付き従う姿が、超キュート!
健気に母鳥に付き従う姿が、超キュート!

ここ最近、あまりに不愉快なことや、悲しい出来事が続くので、夫婦ともに引き籠り状態になっています。フェースブックのアカウントも一時的に止めてしまい、ブログでの情報発信も休んでいました。

岩の上で休む仕草が案山子のように見えた
岩の上で休む仕草が案山子のように見えた

でも、「どうしたの‥。身体壊したの」とか、「なんか寂しいぞ!」と、お声掛けを戴き、少しずつ元に戻すべく行動を再開しています。ここでは公表できない懸案事項は、まったく解決の糸口を見いだせませんが、頑張って前へ進むしかなさそうです。

お母さんと一緒に休憩。眠くて目をつぶっている子も‥
お母さんと一緒に休憩。眠くて目をつぶっている子も‥

また、皆さまに、笑顔で報告できるよう努力いたします。ご心配をお掛けして、申し訳ありませんでした。

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」9回目

今回は、見ただけで身の毛がよだつ、という方もいらっしゃるヘビです。ナミヘビ科に属するヤマカガシ。白神山地の渓流では、ごく普通に見かけます。それどころか、我が家の庭にも住み着いているようで、納戸の出入り口のコンクリの上で、時々、日向ぼっこしているのを見かけます。

朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」8回目 ヤマカガシの記事
朝日小学生新聞の連載「白神シリーズ」8回目 ヤマカガシの記事

記事にも書いてある通り、日本産の毒蛇、マムシやハブよりも、強い毒を持っています。今から約30年前に、捕まえて遊んでいた中学生が噛まれて死亡した事故が発生して以来、危険なヘビだと認識されています。死亡例は多くないですが、重症化した症例は数十件あるそうなので、うかつに触らない方が身のためです。

高校生と実施した流木回収の作業に、こっそりと参加していたヤマカガシ君。さぁ、どこにいるのでしょうか?
高校生と実施した流木回収の作業に、こっそりと参加していたヤマカガシ君。さぁ、どこにいるのでしょうか?

ただ、喉の奥に毒を出す牙があり、指先を口に中に差し込んで噛まれるような事がない限り大丈夫そうです。治療するための血清を常備しているのはジャパンスネークセンター(日本蛇族学術研究所・群馬県太田市)とされています。ヤマカガシに噛まれても、すぐに症状は出ないので、心当りがある方は、相談した方がよいでしょう。

同じ毒でもこちらは毒キノコのニガクリタケ。抜根を覆い尽くしていた
同じ毒でもこちらは毒キノコのニガクリタケ。抜根を覆い尽くしていた

いずれにせよ、おとなしい蛇なので、見つけても虐めたりしないで下さい。それこそ、「さわらぬ神に祟りなし」ですよ。