みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
気候・自然

東奥日報「Juni Juni」の連載:12回目

東奥日報「Juni Juni」の連載12回目
東奥日報「Juni Juni」の連載12回目

東奥日報「Juni Juni」連載の12回目は、私たちが暮らす集落へ来てくれたIVUSAの学生たちのお話を書きました。6月の春日祭だけでなく、継続的に地域の伝統行事をお手伝いしてくれているのです。

太鼓を叩く保存会の会長を先頭に川へ向かう
太鼓を叩く保存会の会長を先頭に川へ禊に向かう

そして、悪天にも拘らず、海岸清掃も実施してくれて、頼もしい限りです。今回は、十数人の小規模のチームでしたが、来年は100人を超える陣容で、深浦町の手助けに来てくれる、と約束してくれました。

高山植物を背負わせてもらう
高山植物を背負わせてもらう女子学生

ここで、なぜ、彼らが深浦町へ来てくれることになったのかを簡単に記します。IVUSA(国際ボランティア学生協会)は、首都圏や関西、九州などの大学生、約2700人で組織されるNPO団体です。設立は1992年。国内だけでなく海外での災害救援や環境保全活動にも取り組んでいます。

神社に祈願した後、山へ向かう学生たち
神社に祈願した後、山へ向かう学生たち

そんな彼らと最初に出会ったのは、今から4年前、沖縄県中部の丘陵地帯でした。私たちがライフワークとして、毎年、通っている戦没者の遺骨収集活動に参加してくれたのです。

掘り出した遺骨を愛おしげに抱える女子学生
掘り出した遺骨を愛おしげに抱える女子学生
山頂の祠に祈願
山頂の祠に祈願

ただ当時、一緒に活動する沖縄在住の某親方が、IVUSAが来沖することをすっかり忘れており(笑)、突然、現場で80人を超える学生たちの指導を命じられたため、戸惑いました。

喜屋武のジャングルで遺骨収集に臨むIVUSAとJYMAの学生たち
喜屋武のジャングルで遺骨収集に臨むIVUSAの学生たち

でも、高校を卒業して間もない、あどけなさが残る学生たちが、泥まみれになりながらも穴を掘って土を掻き分け、懸命に遺骨を探す姿に、驚くのと共に、感動を覚えました。

バケツで土砂を運ぶ
ジャングルの下を掘り進める
元気よく山かけ踊りに取り組む
元気よく山かけ踊りに取り組む

そして、過酷な仕事にも笑顔を絶やさず働く姿や、粉々に砕かれた小さな骨片を拾い集めて涙ぐむ学生たちに、すっかり心を奪われたのです。とてもひたむきで、かわいらしくて‥。それからは、IVUSAが来るたびに、夫婦で指導を申し出て、活動しています。

遺骨を前に泣き出す女子学生
遺骨を前に泣き出す女子学生
祭列に合わせて踊るおばあちゃんも
祭列に合わせて踊るおばあちゃんも

そして、沖縄の遺骨収集活動には、JYMA(日本青年遺骨収集団)という、学生や社会人らで組織する団体が、毎年、参加してくれます。彼らは、IVUSAと違って、10~20人の少人数で活動しますが、まさに精鋭の集まりです。

掘り出した旧日本軍の認識票を見せる女子学生
掘り出した旧日本軍の認識票を見せる女子学生
見事に息があった踊り
見事に息があった踊り

海外での活動経験も豊富で、黙っていても、完璧に仕事をこなしてくれるエキスパートたち。とても頼もしい存在で、IVUSAと同様に、大好きな若者たちです。両団体共に、今年は遺骨の収集だけでなく、遺留品の返還活動も頑張ってくれました。

今年も来てくれたJYMAの若者たち

今年も来てくれたJYMAの若者たち

みんなで履いていた草鞋を脱ぐ

みんなで履いていた草鞋を脱ぐ

こうした活動を通した沖縄での若者たちとの出会いは、私たちにとって、とても新鮮でした。そして、過疎と限界集落化で苦しむ深浦町にも、お手伝いに来てくれないかと、声掛けしてみたのです。

学生から、遺留品の印鑑などを受け取った灰原信之さん(中央)

学生から、遺留品の印鑑などを受け取る戦没者の遺族(中央)

高い梢に草鞋を引っ掛けて喜ぶ学生

高い梢に草鞋を引っ掛けて喜ぶ学生

すると、学生たちは興味津々。「ぜひ、お手伝いしたい」と、私たちの暮らす集落へ来てくれることになりました。IVUSAが国内外で実施している「地域おこし」や「環境保全」などの活動と、深浦町が抱えている種々の問題が一致したことも、派遣の大きな理由になりました。

先祖のお墓にも礼節を忘れずに

戦没者のお墓に祈りを捧げる学生たち

高校生と清掃活動

高校生と清掃活動

よく、大人たちの会話で、「最近の若い者は‥」との愚痴を聞きます。が、私たちは逆に、「最近の若者は素晴らしい」と応えてしまいます。それは、IVUSAやJYMAの若者たちと知り合ったからです。

戦没者の遺留品を遺族へ返還する若者たち

戦没者の遺留品を遺族へ返還する若者たち

防潮堤の上から海岸の調査

防潮堤の上から海岸の調査

終戦から70年。今、日本は様々な立場において、岐路に立たされています。外交の問題、内政の問題、少子化や地方の衰退‥。特に、国家のあり方と安保法制の行方は予断を許さない状況です。

清掃中にずっこけそうになる高校生の葵ちゃん

清掃中にずっこけそうになる高校生の葵ちゃん。「白神の生き物を観察する会」の熱心なメンバー

本来あるべき国の姿と子どもたちの将来が心配されるような政治状況が、今後も続きそうです。だからこそ、若者たちの働きに期待しましょう。これからの日本を支えて行くのは、彼らなのです。

登る前に記念撮影
白神岳へ登る前に記念撮影

私たちに出来るのは、まず、事実を見てもらい、選ぶための多様な選択肢を示し、正しい道とは何か考えもらうために、働き続ける事しかできません。日本が、いや世界の人々が平和に暮らせる未来を目指して、頑張ってくださいね。ロートル夫婦ですが、精一杯の応援とお手伝いをしますから。

東奥日報「Juni Juni」の連載:11回目

東奥日報「Juni Juni」の連載10回目
東奥日報「Juni Juni」の連載11回目

 今回は子供たちと一緒に観察を続けるシノリガモのお話です。一昨年まで、順調に子育てを続けていましたが、昨年と今年、残念ながらヒナの巣立ちを見ることができません。というより、ヒナが生まれてこないのです。

子育てのために川を遡ってきたシノリガモ
子育てのために川を遡ってきたシノリガモ

子育てが成功した時と同じように、親鳥たちは繁殖行動をしています。春先、仲間たちが北国へ帰った後も、数組のオスとメスのペアが川に遡ってきて、仲良くすごしているのを、子供たちと期待を込めて観察していました。

お母さんと一緒に休憩。眠くて目をつぶっている子も‥
2年前の親子。お母さんと一緒に休憩。眠くて目をつぶっている子も‥

が、ヒナが生まれてくる時期になっても、お母さん鳥だけが、寂しそうに岩の上に蹲っている姿しかありません。そのうち、どこかへ飛び去るのか、いなくなってしまいます。

引率の先生が見守る中、石の上で休む繁殖個体群
昨年、遡上してきた繁殖個体群。3組も営巣活動していたが、子育ては失敗した

その原因ですが、上流域の砂防堰堤の工事で土砂が流れ出し、川が浅くなったことを指摘する声もあります。が、私たちが観察している限り、親鳥は浅くなった川でも餌をとりながら、交尾もしています。産卵期が近づくと、毎年、営巣していると思われる場所に蹲る母鳥も確認しています。

私らが暮らすひなびた集落。山が迫った海岸性にへばりついている
シノリガモが子育てをする川。手前の堰堤から河口までの約600メートルが重要な繁殖地

なので、環境の変化よりも、人為的な原因の危惧が。それは釣り人。地域の方や深浦町などの協力を得て、営巣期の川への侵入を自粛してもらうお願いをしていますが、まったく聞く耳を待たずに強行される方がいらっしゃいます。

子育てへの理解と協力を訴えかける看板。9割の方は協力して下さる
子育てへの理解と協力を訴えかける看板。9割の方は協力して下さる

何度、お願いしてもダメ。子供たちが見ている前で川へ入り、シノリガモの親子を蹴散らしたこともありました。今回は、某テレビ局の取材チームが見ている前で、繁殖活動中の親鳥を追い散らす場面も。

川の中に立ち入って魚を獲る釣り師
川の中に立ち入って魚を獲る釣り師。この竿は引っ掛け漁法用で、県の条例に違反する釣り方

取材スタッフからの電話で駆けつけてみると、いつも強引に釣りを強行される方が、当然、といった雰囲気で釣られています。規制する理由がないので、無理に止めされるわけにもいかず、鳥も私たちも泣き寝入りするしかありません。

岩の上で羽ばたくお母さん
岩の上で羽ばたくお母さんとヒナたち

取材スタッフに同行して、シノリガモの繁殖状況を見に来られた鳥類の研究者も、「親鳥が威されることで頻繁に巣から離れると卵が冷えてしまう。営巣地を破壊されたくなければ、早急に手を打つべき」と心配されています。

河口の石の上に上がったお母さん
河口の石の上に上がる

実は、川を管理する青森県やレッドリストに記載して保護する環境省に、毎年のように相談しています。それぞれの機関が、前向きに検討してくれているみたいですが、抜本的な回答は得られません。特に環境省は、見に来られるだけで、その後はなしのつぶて。

川上へ向かって飛ぶオスのシノリガモ
川上へ向かって飛ぶオスのシノリガモ

2年前に来た同省のアクティブ・レンジャーは、「釣りも文化なので否定も規制もできない。それに、シノリガモなんてどこにでもいる。珍しくもなんともない」と言い放つ始末でした。

観察方法と結果について話す、みなみちゃん
屋久島の子供たちの前でシノリガモについて発表する、みなみちゃん
屋久島高校で発表する三人娘
屋久島高校で、シノリガモについて発表する「地区の三人娘」

これと同じ論理を「地元の野鳥愛好家」が吹聴されているそうです。私たちの狩猟仲間や役場関係者などにも言いふらしているようで、とても困っています。鳥に詳しい方なので、多くの地元の方が追随してしまうからです。

海から帰ってきたら、川でも潜る訓練
成鳥に近づいたヒナたち。こんな姿が見られなくなるかも‥

そのためか、一時期は保護に協力して下さっていた地元の釣り師が、この川での釣りを再開されました。その理由を聞くと、「珍しくもない鳥の保護を声高に叫ぶ、あんたらは頭がおかしい。だから、気が振れた奴の話は聞く必要もない」、そうです。

鳥に見つからないように寝転んで観察する新6年生。特別な指示もしていないのに、好い根性だ!
鳥に見つからないように寝転んで観察する地元の小学6年生。とても熱心

シノリガモが子育てをしている川の流域は、毎年、約600㍍ほどの区間内だけ。そこを避けて下されば、問題なさそうです。それをお願いしているのですが、どうしても聞き入れてもらえません。これで2年連続、子育てができなかった可能性も考えられるのです。

子どもたちと看板を立てる
子どもたちと保護を訴える看板を立てる

観察する子供たちも、激しく落胆しています。1年間、一生懸命に調査を続け、愛らしいヒナの姿を見るのを楽しみにしてきたのに、最も重要な瞬間を人間のエゴで潰されてしまうからです。何人かの子は、目標を見失いそうになっています。

水でとかしたフンを漉しとる
シノリガモの糞の調査をする
シノリガモのフンを分析し、その食性を調査する手法を聞く6年生の児童ら
シノリガモのフンを分析し、その食性を調査する手法を聞く6年生の児童ら

釣りを強行される方の無理解は、生き物の生態を知ろうとしないことが大きな理由と思われます。が、生態系の大切さを知りながら、足を引っ張る方々の行為には憤りが募ります。臨時とはいえ、環境省職員でありながら、絶滅が心配される鳥の保全活動を軽視するようなアクティブ・レンジャーには、怒りを通り越してあきれてしまいました。

昨年、川で子育てするシノリガモ
泳ぎだす母鳥を追うシノリガモのヒナたち。2年前の親子

シノリガモは生まれて2年ぐらいで繁殖できるようになるといいます。これまでは、この川で生まれたヒナが帰ってきて、子育てをしていたのでしょう。が、来年、繁殖に失敗すると3年連続になり、ここへ帰ってきてくれる個体が激減する可能性もあります。

昨年、川で子育て中のシノリガモの親子
2年前の親子。2組で計12羽生まれた

この川の600㍍の区間で釣りを強行される皆さま、そして、国内で繁殖活動をするシノリガモの貴重さや保護活動に異論を唱える皆さま。どうか、私たちの願いに耳を傾けて、絶滅が心配される水鳥の繁殖地の保全活動に、ご協力ください。

フィールドスコープなどで観察するいわさき小学校の6年生
フィールドスコープなどで観察する子供たち
ブラインドテントに入っても、こっそりと覗くように観察する6年生。いいぞ!
ブラインドテントに入って、こっそりと覗くように観察する

地区の子供たちは学校が休みの日も遊ばずに、一生懸命に観察を続けているのです。地元の小学6年生の総合学習でも、3年連続でシノリガモの観察を続けています。少子化と高齢化が進む地方にとって、子供は宝のはずです。希少な生態系と子供たちの夢を大人のエゴで壊さないであげてください。

新緑が美しい川で、シノリガモ観察をする新6年生たち
新緑が美しい川で、シノリガモ観察をする6年生
ロボットカメラの原理を学ぶ。明るくて、可愛いしぐさに、心奪われそう…

ロボットカメラの原理を学ぶ。明るくて、可愛いしぐさ。子供は宝です

友よ遠方より来る

律子の同期の友
律子の記者時代の友人・ミヤコちゃん

新聞記者の駆け出し時代。兵庫県で警察回りをしていた時代の友が訪ねて来てくれました。若き頃、辛くもあり、楽しくもあった「苦楽の汗」を一緒に流した仲間です。

真っ盛りのマスタケ
真っ盛りのマスタケ

早速、初秋の山へ行き、キノコ狩りに行きました。「マイタケを採るぞー」と、勇んで駆け上がりましたが、少し時期が早かったようです。いつも出ている木には、影も形もありません。

マスタケと友
哲二の友人・ノンフィクション作家の角岡信彦氏。大きなマスタケに驚く

案の定、マイタケが出る時期には、盛りが過ぎているマスタケが最盛期でした。ま、これでもOK。今夜は、マスタケ入りのすき焼きやバター炒めで一杯飲むか‥

木の裏側にも盛りのマスタケが‥
木の裏側にも盛りのマスタケが‥

東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目

東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目
東奥日報「Juni Juni」の連載:10回目

今回の「Juni Juni」連載は、地元農家の嫌われ者、「ニホンザル」です。下北の個体群と同様、世界最北端に生息するサルたちですが、増えすぎて田畑の農作物を襲うため、一部が間引かれる事態にまでなっています。

集団で農場を襲うサルの群れ
農場に現れたサルの群れ

以前は、白神山地の奥地で、わずかな群れが平穏に暮らしていました。麓の村に下りてきて、悪さをする個体も少なく、駆除の対象にもなっていません。地域の人も、「サルに悪戯をすると罰があたる」と、畏怖の念を抱くほどでした。

親子連れ。とても愛らしいが‥
親子連れ。とても愛らしいが‥

それが、ここ最近、急激に数を増やして、麓の村々を困らせています。なぜ、増えてきたのか?。その理由は、判っていません。マタギたちの高齢化により、狩猟圧が減ったことなのか。過疎と限界集落化で、人間の力が弱まっているのをサルが見抜き、攻勢に出てきているのか。

キョロキョロと、周りを窺いながらカボチャ畑を荒らすサル
キョロキョロと、周りを窺いながらカボチャ畑を荒らすサル

研究機関などの調査も、ほとんど進んでいないので、判別がつかないのです。そして、サルだけでなく、クマやハクビシン、アライグマ、カラスなどが、害獣となって農地を襲う、「動物たちの逆襲」が続いています。

サルの罠である折を運ぶ役場の職員
サルの罠であるオリを運ぶ役場の職員

先日、近所のおばあちゃんが、我が家の軒先に捥ぎたてのトマトを4~5個、置いてくれました。外出先から帰ってくると、今まさにトマトを持ち去ろうとしている若いサルと鉢合わせ。「コラッ!」と、夫・哲二が、拳を振り上げて追い払います。

農園で落ち穂を披露サルの家族
農園で落ち穂を拾うサルの家族

が、敵もサルもの。瞬時に我が家の屋根へ飛び移ります。そして、どうしてもトマトが欲しいらしく、立ち去りません。しばらく睨み合っていましたが、ボス猿のような哲二の風体に恐れをなしたのか、渋々と山の方へ戻っていきました。

母サルがカボチャを持ち帰るのを木の上で待つ子ザルたち
母サルが餌を持ち帰るのを木の上で待つ子ザルたち

小柄な若い個体だったので、1個ぐらいあげてもいいかな、と思いましたが、哀れみは禁物。一度、餌付けたら、毎日のように押しかけてきます。そうしたら、私たちだけでなく、近所の農家すべてが困らされるのです。

花火で追い払い。後方に捕獲用の檻が設置してある、同町で
花火で追い払い。後方に捕獲用の檻が設置してある

どうして、人間と敵対するようになったのでしょうか。やはり、過疎と高齢化で人口が減り、農業を担える人材が少なくなっているのが要因だと思われます。若手で農家を専業にする方も、町内には数えるほどしかいません。ほとんどが兼業か大規模な農場で働いているからです。

畑仕事を終えて自宅へ向かう近所のお年寄りたち
畑仕事を終えて自宅へ向かう近所のお年寄りたち

そして、個人の小さな田畑は、そのほとんどをお年寄りが管理しています。そんな畑におばあちゃんしかいないと、サルは平然と侵入し、目の前で作物を持ちさります。おばあちゃんが騒いだり、石を投げたりしても、まったく無視。人の強弱を値踏みしているかのようです。

ジャガイモ畑をサルに荒らされ、見成熟な芋を慌てて収穫するお年寄り
ジャガイモ畑をサルに荒らされ、見成熟な芋を慌てて収穫する

この地域で心配なのは、こうした農業を生き甲斐にしているお年寄りたちへの被害です。日課にしている畑仕事が獣害で継続できなくなったら、体を動かすことができなくなります。社交場としていた畑に出なくなれば孤独感が募り、よけいに参ってしまうのです。そうして寿命を縮めたという例も聞きました。

サルの害獣駆除で、空砲を撃って追い払う伊勢親方
サルの害獣駆除で、空砲を撃って追い払う伊勢親方

何とか対策を講じなけれならないのですが、小さな市町村が対応するのも限界があります。深浦町も専従の職員を雇ったり、猟友会に全面的な協力をお願いしたりして、対策を講じていますが、サルの数は一向に減らず、農業被害は深刻なままです。

捕獲されて、身体測定されるサル
捕獲されて、身体測定されるサル

できれば、大学などの研究機関と国が対策を講じてほしいものです。地方への経済効果の波及を狙う、「ローカル・アベノミクス」とか、「地方の変革」とか、スローガンは立派ですが、地方のおばあちゃんたちへは、何も届いていません。それよりも、若者が都会へ出ていかなくても暮らしていける、「素晴らしい故郷」を再構築させてください。

サルに荒らされたカボチャ畑で呆然と立ち尽くすばっちゃん。ほどんど収穫できず、ほぼ全滅した。約半年間、手塩にかけて育ててきただけに、目尻から涙がこぼれた、同町で
サルに荒らされたカボチャ畑で呆然と立ち尽くすばっちゃん。収穫できず、ほぼ全滅した。約半年間、手塩にかけて育ててきただけに、目尻から涙がこぼれた

右翼的な発言の多い総理ですが、日本人が大事に守ってきた親兄弟や友人、そして故郷を大切にできるような施策は、ほとんど出てきません。金のばら撒きでない、実体の伴った政策をお願いしますよ。

テレメトリーを装着後、群れに還されるメスザル。調査員から、「もう悪さするなよ」と言われ、反省しているような表情を浮かべている、深浦町で
テレメトリーを装着後、群れに還されるメスザル。調査員から、「もう悪さするなよ」と言われ、反省しているような表情を浮かべている

ただ、間違っても戦争への道は、止めてくださいね。この村では、あの大戦の生き残りの兵士たちが、まだ畑に出て、鍬を握っているのですから。それよりも、サルとの争いを平和裏に解決できるよう、知恵と実行力をお貸しください。

早朝、朝日を背に森の中を歩いてきた群れ、同町の十二湖で
早朝、朝日を背に森の中を歩いてきたサルの群れ

東奥日報「Juni Juni」の連載:9回目

東奥日報「Juni Juni」の連載:9回目
東奥日報「Juni Juni」の連載:9回目

連載の9回目はニホンカモシカです。白神山地は、ニホンカモシカが暮らしやすい森。あちこちに食痕や足跡、フンなどのフィールドサインを見ることが出来ます。林道を歩くと、ブナの木陰からじっとこちらをうかがっている個体と出会うことも珍しくありません。

林道を歩く若い個体
林道を歩く若い個体

目があまり良くないのか、ブラインドテントに入っている時に遭遇しても、こちらがじっとしていれば、不思議そうな顔をするだけで、人間とは気づきません。好奇心旺盛で、仕掛けている動画の小型カメラに、「これ、なんだろう?」とばかりに、鼻先を寄せてくる姿が写っていたりします。

水場に現れた親子連れ
水場に現れた親子連れ
お母さんの後を追う子カモシカ
お母さんの後を追う子カモシカ

毛並も美しく、雪の季節を迎えるころには、丸々と太って、ころころ、ふかふかに。こうして北国の厳しい冬を乗り越えて、白神の森で子孫を残し、悠々と暮らしてきました。そんなニホンカモシカたちに、脅威が近づいています。

口や鼻先に腫瘍ができて、泡を吹くカモシカ
口や鼻先に腫瘍ができて、泡を吹くカモシカ

ひとつは、パラポックスウイルス感染症です。口の周りや足の皮膚などに潰瘍ができ、弱って死ぬこともある、恐ろしい病気です。私たちの暮らす集落でも、この病に侵され、体調が悪くなった個体が、塩やミネラルを摂ろうと海辺に出てきた例がありました。山に戻そうとみんなで努力しましたが叶わず、そのまま死にました。

片足を上げて
片足を上げて

もう一つは、二ホンジカの侵入です。険しい岩場や崖を昇り降りして、山の斜面を生活の場にするニホンカモシカは、草原や森林を好む二ホンジカとは住み分けできそうにも思えます。が、群れで繁殖する二ホンジカが爆発的に増えると、影響を受けてしまうかもしれません。

挑みかかるような姿勢のニホンカモシカ
挑みかかるような姿勢のニホンカモシカ
立派な角が生えたヤクシカのオス
立派な角が生えたヤクシカのオス

国の特別天然記念物であり、日本固有種のニホンカモシカは、白神山地を代表する大型獣のひとつです。脅威を乗り越えて存続できるよう、見守り続けたいと思います。

冬毛でコロコロに。イノシシみたい‥
冬毛でコロコロに。イノシシみたい‥

東奥日報「Juni Juni」の連載:8回目

東奥日報「Juni Juni」の連載8回目
東奥日報「Juni Juni」の連載8回目
深校生が執筆し、写真も担当した朝日中高生新聞の記事
深校生が執筆し、写真も担当した朝日中高生新聞の記事

去年に引き続き、今年も、青森県立木造高校深浦校舎の生徒たちと、河川の流木集めを実施しました。

河川敷で、大きな流木を抱える生徒たち
河川敷で、大きな流木を抱える生徒たち
積み上げられた不要木をトラックに運ぶ生徒たち
積み上げられた不要木をトラックに運ぶ生徒たち

北国とは思えないような、かんかん照りの太陽の下、深浦町内を流れる二級河川・笹内川の河川敷や中洲などが現場です。

大きな流木も二人がかりで運ぶ
大きな流木も二人がかりで軽々と運ぶ
次々とトラックへ積み込んでゆく
次々とトラックへ積み込んでゆく
猛暑の中、並んで木を運ぶ
猛暑の中、並んで木を運ぶ

全校生徒66人と教職員、町役場の職員らと一緒に、熱い汗を流してきました。

役場職員らも生徒と一緒に作業を進める
役場職員らも生徒と一緒に作業を進める
大きな抜根も、みんなで力を合わせたら
大きな抜根も、みんなで力を合わせたら
巨木もみんなで運べば大丈夫
巨木もみんなで運べば大丈夫

この活動は、放置しておくと堤防や橋を破壊したり、土石流を起こす原因になったりする河川の流木を集めて、木材チップに加工して再利用するボランティア事業です。

力持ちの男子たちが巨大な流木を転がして移動させる
力持ちの男子たちが巨大な流木を転がして移動させる
トラックに満載になったチップに加工するための木
トラックに満載になったチップに加工するための木
女子は細い木をたくさん運ぶ
女子は細い木をたくさん運ぶ

青森県や民間の企業などの助けを借りて、深浦町と同校舎の生徒たちが、昨年から始めました。今年は、流木だけでなく、河川敷に繁茂する不要木も、県などから払い下げてもらい、チップにしてみました。

一生懸命にがんばる1年生たち
一生懸命にがんばる1年生たち
みんなで力を合わせて巨木を運ぶ
みんなで力を合わせて巨木を運ぶ
休憩中にも、自然災害の恐ろしさを学ぶ
休憩中にも、教官から自然災害の恐ろしさを学ぶ

主にヤナギやサワグルミなどが中心でしたが、その数量は2tトラックで3台分の計約6トン。昨年よりもたくさんの量を準備できましたが、手際が良くなったせいか、作業の進行も順調でした。

これぐらい一人で運べるよ!。力自慢の男子
これぐらい一人で運べるよ!。力自慢の男子
本当に大きな木は専門家が機械で積み込みます
本当に大きな木は専門家が機械で積み込みます
あんまり暑いから、タオルを帽子代わりに
あんまり暑いから、タオルを帽子代わりに

特に、経験者の2、3年生は、1年ぶりでありながら、要領もコツも心得ており、指示をしなくても率先して働いてくれます。そして初参加の1年生も、力仕事を中心に獅子奮迅の働きで、先輩たちに負けていません。

トラックで運び込まれたチップの荷卸しもする
トラックで運び込まれたチップの荷卸しもする
ペットボトルのスコップで袋詰め
ペットボトルのスコップで袋詰め
可愛い女子生徒たち
おそろいのウエアを着た可愛い女子生徒たち

全校生徒が素晴らしいチームワークで働いてくれ、昨年よりも素早く的確に作業を終えることができました。もう、頼もしすぎるぞ!、深校生。3年前からお付き合いを始めましたが、年々、彼らの事が好きになってきます。本当に良い子ばかりです。

テニスコートに積みあがったチップを袋に詰める
テニスコートに積みあがったチップを袋に詰める
力持ちの男子が心優しい女子を気遣って働くのも校風
力持ちの男子が心優しい女子を気遣って働くのも校風。とても仲良くみえる
今年のカメラマンは1年生。じっくり育てます
今年のカメラマンは1年生。じっくり育てます

が、その深校も、過疎と少子化で生徒数が減り続けています。現在、1学年に一クラスずつしかなく、体育会系のクラブ活動も、正式なチームを組める人数が揃いません。

校長先生もお手伝い。生徒がさっと駆け寄ってサポート
校長先生もお手伝い。生徒がさっと駆け寄ってサポート
重い袋を運べる女子も
重い袋を運べる女子も
ペットボトル・スコップも大活躍
ペットボトル・スコップも大活躍

地域や学校も、何とか知恵を出し合って、生徒数を増やそうと努力を続けていますが、前途は多難です。このまま数を減らし続けると、70年近く続いた学校の歴史は幕を閉じてしまう可能性もあります。

袋詰めされたチップが、どんどん積み上げって行く
袋詰めされたチップが、どんどん積み上げって行く
男子は一度に二つの袋を運ぶ。わぁ、力持ち!
男子は一度に二つの袋を運ぶ。わぁ、力持ち!
こんなコミカルな一瞬も‥
こんなコミカルな一瞬も‥

同校舎は、深浦町の唯一の高等学校なので、消えてしまうと町に住む子供たちは、隣町の鰺ヶ沢高校か、隣県の秋田県能代市の学校へ通わざるを得ません。

先生と生徒たちが一緒に作業。少人数の学校の良さもあるが‥
先生と生徒たちが一緒に作業。少人数の学校の良さもあるが‥
3年生の女子生徒ら
3年生の女子生徒ら
生徒たちは頑張り屋
少し一服。でも、生徒たちは頑張り屋

それがまた、深浦町の衰退に繋がることは、疑う余地はありません。ますます、過疎と限界集落化が進み、いずれは自治体ごと消滅してしまう事も、考えられます。

町役場の総合戦略課・松沢公博課長のお話を聞く
町役場の総合戦略課・松沢公博課長のお話を聞く
生徒たちへ語りかける吉田校長先生
生徒たちへ語りかける吉田校長先生
手際よく進む作業
手際よく進む作業

世界自然遺産の白神山地の麓で、狩猟と採集を続けながら暮らしてきた、純粋な日本的な人々の暮らしが潰えてしまうのです。どうか、このブログをお読みの皆さまへお願いです。深校生たちへ励ましの声を届けてやってください。

力を合わせて流木を引っ張る
力を合わせて流木を引っ張る
みんなで木を運ぶ
みんなで順序よく木を運ぶ
スコップの扱いも手慣れたもの
スコップの扱いも手慣れたもの

そして、可能な限りの支援をお願い致します。それは、「ふるさと納税」でも「学校への寄付」でも構いません。できれば、私たちのように移住して戴き、子供たちを深校に入学させてやってください。よろしくお願い致します。

抜けるような青空の下で
抜けるような青空の下で
いつも笑顔が絶えない、素晴らしい仲間たち
いつも笑顔が絶えない、素晴らしい仲間たち
4人がかりで運ぶ
4人がかりで運ぶ

写真や記事の無断使用を憂う(HP管理者からの連絡を乞う)

下記のURLに注目。

「http://substandard.sub.jp/cambodia_flag_an_feng_8_imo9365726.htm」

     ↓

サブスタンダード船

上記に張り付けたURL。日本国内の放置座礁船の事を、舌鋒鋭い論調で追及している素晴らしいホーム・ページです。が、私たちが公開している記事や写真を無断で使用し続けており、重大な著作権の侵害が続いています。

集めても集めても、限がないほど積みあがった漂着ゴミ
集めても集めても、きりがないほど積みあがった漂着ゴミ
いつまで、このままなのか。舐められているとしか思えない対応
無断使用されている座礁船の写真

いったい誰が作っているページなのかまったく判らず、こちらから連絡をしようにも完全な一方通行状態です。内容に悪意が込められているのならば、何らかの法的手続きを取りたいところですが、その内容がとても面白く、逆に応援したくなるような記事のオンパレードなのです。

人間が流れ着いたのかと思った光景。近づいてみると‥
無断使用されている写真
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら
作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら

特に、放置座礁船問題を「放置する」かのような国や県への対応に、法的な裏付けと舌鋒鋭い論調で攻め込む内容が、読ませる側を唸らせます。できれば、お近づきになって、色々と教えを乞いたいのですが、HP内にはコメント欄もなく、連絡の取りようがありません。

船体が真っ二つに折れてしまった座礁船。後方は森山地区の家並みと白神の山々
無断使用の写真
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥
生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥

もし、HPの管理者が、この書き込みを見て下さったら、コメント欄に連絡ください。でないと、著作権法に抵触している事案として、それなりの行動に出ますよ(笑)。可能な限り、コンタクトを取りたいです。証拠のページは保管してありますので、逃げられませんから。

足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ
足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ

で、記事の中に、自分たちの活動のアピールのために、と書かれていますが、いけませんか?。当然、国(国交省)や青森県(河川砂防課)へも、取材を兼ねた連絡をし、「国民の税金での負担が無きよう、船主側から撤去費用を出させる」ように働きかけました。

「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒
「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒

そして、マスコミの皆さまへ、船主が撤去費用を踏み倒す可能性が高いことと、PI保険が適用されそうにないことをお伝えし、高校生らの清掃活動を通して、全国へ発信して戴きました。その次点で、こうした事実を知っていた報道関係者は皆無でした。

折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち
折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち(無断使用)

ゆえに、子供たちへの「環境と防災、近隣国との外交問題を考えるきっかけとなったボランティア学習ができた」こと。と、マスコミ各社の「報道に繋がった」ことを考えると、夫婦と数人の地元の子供たちだけが無償で活動する、「弱小な市民団体」としては、それなりの成果だったと思います。

私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い、
私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い

褒めて欲しいと言いませんが、HPへ取り上げて下さるのならば、せめて一言ぐらいの声掛けが欲しかったです。豊富な知識と取材力で、既存のマスコミを遥かに超える情報発信をされている大先輩なので、ぜひご指導を願うのと同時に、無断使用にならないように、ご連絡ください。

座礁船の横で憤る伊勢親方
座礁船の横で憤る伊勢親方

書き込んで戴くコメント欄は、一切外へは公表しません。これだけ舌鋒う鋭く、問題に切れ込まれる大先達とお見受けしていますので、大人の対応を切に願います。当方は、「日本写真家協会」に所属する職業写真家です。著作権には、ちょっとうるさいですよ(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目

東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目
東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目

前回のオシドリに続き、今回も水鳥のカイツブリです。白神山地の麓にある「白神十二湖森林セラピー基地」内にある池などに生息しています。毎年、同じ場所で子育てを成功させている健気な夫婦が、今年も頑張っています。

母鳥の背中に載ったヒナに餌を与えるお父さん
母鳥の背中に載ったヒナに餌を与えるお父さん

でも今年は、いつも巣を掛ける場所で姿を見かけません。普段ならば、水面に突き出た倒木の枝や抜根などに作った巣の上で、ヒナを背中に乗せた親鳥が休む姿を見かけるのですが。なぜか、違う場所へ移動しているようです。

羽を震わせて雄叫びをあげる親鳥
羽を震わせて雄叫びをあげる親鳥

その理由ですが、まず昨冬、雪が少なかったのと、今春以降、雨が降らないことなどで、池の水が減ってしまったことが考えられます。いつも6割ぐらいしか水量がなく、湖底の多くが露出しています。

水面に突き出た枝に止まるコシアキトンボ
水面に突き出た枝に止まるコシアキトンボ

また、もうひとつの考えられる理由は、野鳥写真の愛好家たちの存在です。この鳥の棲む場所の近くで、大砲のようなレンズを構えていることが多く、長い人は半日近く滞在されます。

一羽のヒナはずっとお母さんの背に乗ったまま、お父さんに餌をおねだり。甘えん坊さん
一羽のヒナはずっとお母さんの背に乗ったまま、お父さんに餌をおねだり。甘えん坊さん

ブラインド・テントで身を隠している方は少なく、目当ての鳥が来ない時には、仲間同士で会話される方もいれば、携帯電話で大声で受け答えする方も。また、ウロウロされるので、その度に親鳥たちは警戒のため巣を離れています。中には堂々と、煙草を吸う方も。

夫婦で巣作り。水倒木や浮草などに水草や木の葉などを重ねて築き上げる
夫婦で巣作り。水倒木や浮草などに水草や木の葉などを重ねて築き上げる

撮った写真を「ポスト・カード?」などにして売買されている方もいるようです。個々の商売の邪魔をする気はありませんが、毎日のように来られる方もいるので、鳥たちは堪ったものじゃないと思われます。

体の大きさが3倍近くはありそうなカワウが縄張りに侵入。夫婦であっというまに追い出した
体の大きさが3倍近くはありそうなカワウが縄張りに侵入。夫婦であっというまに追い出した

自然の一部である生態系は、人間が過度に消費すると、その関わり方次第で一気に消耗してしまいます。私らも写真を生業にする仕事をしていますので、写真愛好家の方々の気持ちは理解できます。

「お父さんいってらっしゃい」。巣から出勤する父親を見送る母子
「お父さんいってらっしゃい」。巣から出勤する父親を見送る母子

だからこそ、節度を持った行動が求められると思います。こんなことは書きたくなかったのですが、子供たちと一緒に、白神の自然を知り、その保全に向けた活動を続ける立場として、声を上げざるを得なくなってきています。

巣を狙いに来たヤマカカシ。卵は全部孵った後だったので、あきらめて泳ぎ去った
巣を狙いに来たヤマカカシ。卵は全部孵った後だったので、あきらめて泳ぎ去った

多くの方の行動は、白神山地の自然を愛するが故のことだと思います。未来ある子供たちへ、この貴重な生態系を残せるよう、お互いに協力し合いましょう。その大人たちの行いこそが、子供たちのお手本となりたいものですね。

ブラインドテントの中から姿を追う。静かにしていたら、絶対に気づかれないよ!
カイツブリの撮影はすべてブラインド・テント内から実施

東奥日報「Juni Juni」の連載:6回目

東奥日報「Juni Juni」の連載6回目
東奥日報「Juni Juni」の連載6回目

すっかりご無沙汰してしまいました。公私ともに忙しくて、ブログを更新する暇がありません。おまけに夏風邪を引いたり、軽い熱中症になったりして体調を崩したのも誤算でした。でも、ようやく仕事が一段落してきたのと、体調も戻ってきたので再開します。

周りを窺いながら子供を泳がせるお母さん
周りを窺いながら子供を泳がせるお母さん

今回はオシドリです。仲良し夫婦の象徴とされてきたカモの仲間である水鳥ですが、毎年のようにパートナーを変えるお盛んな夫婦で、子育てもお母さんしかしません。お父さんは、ヒナが生まれても知らんぷりで、どこかへ飛び去ります。

岸辺へ近づく親子
岸辺へ近づく母子

実は、オシドリの取材や撮影は、夫の哲二と共に、2回(2日間)チャレンジしただけで、本格的な仕事をまだ実施していません。生き物の取材以外のことが忙しくて、よきタイミングの時に出掛けられないのです。

同じようにオシドリが繁殖している別の池で撮影したニホンアナグマ。昼間なのに堂々と現れて餌をあさっていた
オシドリが繁殖している池で撮影したニホンアナグマ。昼間なのに堂々と現れて餌をあさっていた

でも最近、尊敬する動物写真家の先輩が訪ねて来られて、オシドリを狙っていることを聞かされました。沖縄のチャンプルー文化のように、あれもこれもミックスしたような仕事をしている自分が恥ずかしくなる、と哲二。白神のオシドリも、きちんと取材する気構えを持ったようです。

岸辺に近い茂みに隠れた親子。一部のヒナは陸に上がりそう
岸辺に近い茂みに隠れた親子。一部のヒナは陸に上がりそう

森を歩くとあちこちの湖沼や渓流、集落近くの田で見かけるオシドリ。その生態は、シノリガモと同じように不明な部分が多いそうです。子供たちとの活動に力を入れるばかりで、かんじんの生き物の行動を追えていないのは本末転倒です。

モリアオガエルを食べるオシドリ
モリアオガエルを食べるオシドリ

今後はもっと、白神山地の生態系の取材に力を注ぎたいと考えています。だから活動に参加する子供たち。もう少し自主性を持って、調査に参加して来ないと、おいて行っちゃうぞ(笑)。浜田さん夫婦も精一杯頑張るから、一緒に歩んでいこうね。

小学生だもん。観察中、ちょっとおイタもいたします。でも、大事な場面では、きちんと行動できます
おイタばかりしていると、置いてっちゃうぞ(笑)

東奥日報「Juni Juni」の連載:4回目

東奥日報「Juni Juni」の連載の4回目「ニホンアナグマ」
東奥日報「Juni Juni」の連載の4回目「ニホンアナグマ」

白神山地の森の中や麓の集落、道路沿いなどで、最も見かける生き物がニホンアナグマです。体格や風貌がイヌ科のタヌキに似ていますが、彼らはイタチ科。とても愛嬌があって、ユーモラスな風体なのですが、鳥のヒナやカエルなどの小動物にとっては、恐ろしい猛獣となります。

アナグマの家族
アナグマの家族

梅雨が近づくと、水鳥たちが子育てしている池の周りにやってきます。ヒナが泳ぎ回るのを陸からじっと見つめており、隙あらば襲いかかろうと考えているのでしょう。でも、泳げないのか、水中に躍り込んで行く勇気はないようです。同時期に産卵が本格化するモリアオガエルなどを食べて、森の中へ消えて行きます。

池の水辺でカイツブリの巣を狙うお母さんアナグマ
池の水辺でカイツブリの巣を狙うお母さんアナグマ

白神の生態系は、とても豊かです。哺乳類ではツキノワグマ、鳥類ではイヌワシを頂点とした、食物連鎖のピラミッドが完成しています。アナグマも、人間(マタギ)以外の捕食者は、ほとんどいないようで、数は増え続けているようです。

美しい毛並みの個体
美しい毛並みの個体

でも、その存在を脅かす大きな要因の一つが感染症。犬や猫などのペット類やキツネなどに流行った疥癬が、アナグマを蝕んでいるのです。夏から秋になると、家族で行動する個体が多く、一匹が罹ると、あっという間に群れに広がります。

疥癬のため、毛が抜け落ちたお母さんアナグマ
疥癬のため、毛が抜け落ちたお母さんアナグマ

それも、個体数を一定に保つ自然の淘汰力かもしれませんが、病気の個体を見かけると、かわいそうで‥。でも、太古の昔から続く、豊かな生態系を守るためには、出来る限り人間の力は加えない方がよいのでしょう。よほどのことがない限り、「がんばって」と、応援するだけにします。

水鳥のヒナやカエルを狙って水辺に出現したアナグマ
水鳥のヒナやカエルを狙って水辺に出現したアナグマ

でも、ロボット・カメラで撮影するのは許してね。それが、数少ない、観察できる手段だから。マタギの伊勢親方にも、「あまり獲らないで」と伝えておきます。なにしろ体格や風貌が、夫の哲二に似ているのですから(笑)