みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     

グリーンカーテンのおまけ

 

枯葉が目立つようになったグリーンカーテン

枯葉が目立つようになったグリーンカーテン

北東北に秋が、駆け足でやってきました。朝夕は気温が20度を下回り、肌寒さを感じるほどです。でも日中、窓を開け放っていると、爽やかな風が吹き抜けて、本当に良い気持ちです。どんよりした空の日本海気候が続く冬が、すぐそこまで来ています。また、日差しが恋しくなるなぁ‥。で、夏の間、大活躍してくれたグリーンカーテンも、そろそろお役御免です。

収穫したメロンの「コロタン」

収穫したメロンの「コロタン」

我が家の緑のすだれは、毎年、少しづつ違う植物を植えています。今年の新顔は、小玉スイカとネットメロン「コロタン」、それに南国のイメージが強い「パッションフルーツ」。さすがに、パッションフルーツは葉が茂るだけでしたが、小玉スイカとコロタンは、見事に実ってくれました。ほとんど放置していたのに、嬉しい誤算です。

ちゃんと網目もできた本格的なメロン

ちゃんと網目もできた本格的なメロン

ご近所さんも、壁を伝うスイカやメロンが珍しいようで興味津々。特に、葉や花がキュウリにそっくりなコロタンは、「これ、キュウリでねえな、何だべ?」、「どんな味がすんだかな?」と質問されます。確かに、沿道からも目立つほど、たくさんの丸い実です。夫は、「大収穫!」と浮足立っています。でも、美味しいかどうかわからないよ。だって、初めて植えたんだもの‥。

網に入れてぶら下げていたら、茎から自然に落下した

網に入れてぶら下げていたら、茎から自然に落下した

ウリ系の果物が好物な夫は、いつ収穫できるの。今日?、それとも明日?、と、植木ハサミを片手に熱い目で見つめています。でも、素人の私たちには判りません。躊躇しながら眺めていると、今朝、窓を開けてびっくり。コロタンがネットの中に、コロンと落球しているではありませんか。あー、腐ったのか、とあせる夫。急いでPCで検索してみたら、「完熟するとヘタから離れて実が落ちる」との説明がありました。良かったね、やっと収穫できたね。ずっしりと重みを感じる実は、網目模様もくっきりしており、甘い匂いが漂います。

手に取るとずっしりと重い。メロン大好き

手に取るとずっしりと重い。メロン大好き

早速、包丁を入れてみました。瑞々しい緑の果肉は、タネや皮の部分が少なく、食べるところがいっぱいです。さて、肝心のお味は‥。「あ、甘い」。二人で顔を見合せました。さっぱりとした、爽やかな果汁が口いっぱいに広がります。次つぎと頬張りながら、「グリーンカーテンは今後、全部コロタンにしようかな」と、早くも来年の計画を練る夫。ハイハイ、ホームセンターに行くと、あれもこれもと一杯買いこむあなたが、一種類の苗だけで我慢できるかしら。それにしても、美味しいおまけをありがとう。太陽の恵みに感謝します。ご近所のオバアちゃんに、お裾分けしようかな。

北陸・魚津から、産土の味と香りが詰め込まれた便り

乾燥させたホタルイカ

乾燥させたホタルイカ

送って戴いた大和芋。夫の地元では、手芋と呼ぶそうだ

送って戴いた大和芋。夫の地元では、手芋と呼ぶそうだ

夫の新聞記者時代の上司で、同時期に朝日新聞社を退職し、今は富山県魚津市にお住まいの清水祐一さん。最愛のふる里で、自然と親しみながら日々の暮らしを綴る、「土を耕し、山・川・海に学ぶ」と題した「UOZU通信」というホームページを開設されています(リンク先は当HP参照)。

乾燥したホタルイカに水を加えて戻す

乾燥したホタルイカを水からゆでて戻す

そんな気の合う田舎暮らし仲間から、珍しい品々が詰め込まれた季節の便りが届きました。開けてみると、香ばしい潮の香りと土の匂いが入り混じった不思議な空気が立ち昇ります。一つひとつの包みを解いたら、ホタルイカの素干しと大和芋という自然薯が詰め込まれていました。わーっ、と喜ぶ夫。両方とも大好物です。

大和芋は、陶器のおろし器で、ゆっくりと摺りおろす

大和芋は、陶器のおろし器で、ゆっくりと摺りおろす

まず、ホタルイカ。肌がエンジ色に輝く、カラリとした干し具合が見事です。夫は、「ウルトラマンに登場した宇宙人のようだなぁ」と、不届きなことをポツリ‥。干物屋でも見かけない、珍品です。若干の磯臭さと味付けスルメのような香りが、なぜか郷愁を誘います。早速、つまみ食いをしようとする夫を制して、冷蔵庫へ。美味しい佃煮にしてあげるから、ね。我慢しなさい。

ウルトラセブンに出てきた宇宙人にそっくりとはしゃぐ夫。バカ‥

幼い時に夢中になったウルトラセブンに出てきた宇宙人にそっくりとはしゃぐ夫。ハイハイ‥

そして大和芋は、ひげ根が生えた立派なお芋。夫の故郷の高知県に住んでいた亡き母が、「リッちゃん、これは手芋と呼ぶ自然薯で、哲二の大好物やから、摺りおろして食べさせてやって」と何度か送ってくれた品です。確かに、手の形に似ている部分もあるようです。ふんわりとした土の匂いが素晴らしい。どちらも、北陸・魚津の海と土が育んだ産土(うぶすな)です。

摺りおろすとすごいネバネバ。夫の大好物だ

摺りおろすとすごいネバネバ。夫の大好物だ

清水さんによると、今年はホタルイカの大規模な「身投げ」があったそうです。私たちには聞き慣れない言葉ですが、産卵のため沿岸に押し寄せたホタルイカが、浜に打ち寄せられる不思議な自然現象で、富山市から魚津市にかけての富山湾沿岸では、春の風物詩として有名です。

沸騰するまで、さっと沸き立たせる

ゆでこぼれる寸前まで、さっと沸き立たせる

新月の夜などに見られ、深海に生息するホタルイカが、微かに発光しながら岸辺に打ち上げられる様は、息をのむ美しさ。UOZU通信にも、大量のホタルイカが波間に漂う不思議な光景が紹介されています。今回の干物は、そのホタルイカを清水さんが網ですくい、丁寧に干しあげて下さったものだそうです。太陽の光と海辺の風をたっぷりと浴びた素干しは、そのまま軽くあぶって食べてもよく、噛めば噛むほど滋味が口中に広がります。

茹で上げたホタルイカをさっと水洗い

ゆで上げたホタルイカを素早く笊に取る

沢山戴いたので、一部を佃煮にしてみました。

沸騰したら、素早く笊にとって水洗い

間髪をおかず水洗い

用意するのは、ホタルイカの素干しのほかに、酒、砂糖、醤油、みりん、生姜。まず下準備として、素干しの目を取り除きます。残しておくと、食感がよくないからです。硬いですが乾いている方が、簡単にむしり取れます。そして、生姜を千切りにしておきます。

まず、お酒を投入

まず、お酒を投入

そしてみりん、醤油、砂糖も

みりん、砂糖、醤油を順次投入

さて、調理開始です。ホタルイカの素干しは、水に入れて二度ゆでこぼし、軽く洗っておきます。次に、鍋にゆでたホタルイカを入れ、酒を注ぎ火にかけます。ひと煮立ちして程よい硬さになったら、砂糖、みりん、生姜、醤油を入れ、味を見ながら煮詰めてゆきます。好みの味と美味しそうな照りが出たら、出来上がりです。噛みしめると、濃厚なイカの旨みと少しほろ苦い風味が広がり、まさに酒飲みが好む大人の味になりました。

生姜は風味付けにお好みで

生姜は風味付けにお好みで

完成。長時間煮込んだよう見えるが、約15分間煮ただけ。輝りが出て美味しそう

完成。長時間煮込んだよう見えるが、約15分間煮ただけ。輝りが出て美味しそう

そして大和芋。清水さんの畑で丹精された逸品です。高知の実家の母が育てていた手芋と、姿かたちはそっくりです。おろすと天然の自然薯に近い独特の強い粘りがあります。 摺り下ろしてトロトロになった芋に、小口切りの青ネギと生卵を落とし、醤油ともみ海苔で味付けした美味しさは、堪えられません。ご飯にのせても最高のおかずになります。

トロトロで粘り気がすごい

トロトロで粘り気がすごい

が、今回は夫の要望に応え、お酒のあてとして、すりおろした芋を海苔に包んで揚げる「落とし揚げ」を作りました。作り方は至って簡単。すりおろした芋に塩を少々加えて味付けし、四角く切った乾燥海苔に乗せて、そっと油で揚げるだけです。コツは、揚げるとタネが膨らむので、できるだけ量を少なくして包むことぐらいかな。海苔がぱりっと揚がれば、出来上がりです。アツアツに塩をちょこっと付けて、どうぞ召し上がれ。

味のついていない海苔の上に載せる

味のついていない海苔の上に載せる

清水さん、ありがとうございます。お礼の返信用の記事が遅れましたこと、深くお詫びいたします。芋は夫が急かすので、早々に食べてしまったのですが、ホタルイカを食べる前に、体調を崩したり、お客さんが多数訪れたりして、多忙のために料理できませんでした。そして昨夜、ようやく夫に食べさせた所、美味いうまいを連呼し、お酒も大量に飲んでいました。そのバカみたいなはしゃぎっぷりは、美味しさ以上に大切な友人からの贈り物が嬉しかったようです。

中の芋が少し色づくぐらいが香ばしくて美味しい

中の芋が少し色づくぐらいが香ばしくて美味しい

次は私たちがお返しをする番です。もう少しお待ちください。白神の季節が深まる頃、世界自然遺産のエッセンスがたっぷりと詰まった、山の恵みをお送りする予定です。夫は、青森・秋田の美味い酒も送るぞー、と、大声で吼えています。魚津の素晴らしさをたっぷりと堪能できた素敵な故郷の味に感謝いたします。ご家族と自らのお身体を大切に、田舎暮らしを満喫してください。ありがとうございました。

 

憧れのワイルドストロベリー

バラの咲く庭でティータイム。至福の時間

バラの咲く庭でティータイム。至福の時間

私の数少ない趣味の一つに、「お茶」があります。中でも、紅茶と茶器をこの上なく愛しております。場合によっては、夫以上かも(笑)。季節やその日の気分に合わせてカップを選び、ポットで入れた紅茶をいただくと、至福の時が訪れます。春から初夏によく使うのが、野イチゴの花と実がデザインされている「ワイルドストロベリー」というシリーズです。イギリスのウェッジウッドというメーカーが出しています。

野趣あふれる実り具合。こんなにできるとは‥

真っ赤に熟した実と可憐な白い花を咲かす

この絵柄を見て、「ワイルドストロベリーの花って可愛いなあ」と憧れていたら、一昨年、ホームセンターの片隅に小さなポット苗がポツンと売られているのを見つけました。大喜びで二株購入し、早速、植え付けたところ、カップに描かれているような可憐な花が咲き、葉も繁ってきました。

鈴なりになったワイルドストロベリー

鈴なりになったワイルドストロベリー

「わー、英国の庭みたい。カッコイイ」と、喜ぶ私を尻目に、夫はあまり興味がない様子。自分が好きな実のなる果樹や、偏愛する豆の世話ばかりしています。挙げ句の果てには、ちょっとずつ、エリアを広げるために伸ばし始めたのランナーの先を、うっかりなのかこっそりなのか、容赦なく踏みつけています。

庭の片隅の斜面に数百個は実った

庭の片隅の斜面に数百個は実った

「ちょっと、それ雑草じゃないのよ。踏まないで。それに、抜かないでよ」と、警告すると、一応は気にしながら、水を与えてくれているようでした。ちなみに夫にワイルドストロベリーと教えたのに、何を勘違いしたのか、いまだに「ワイルドチューリップ」と間違えた呼称を繰り返す始末。真面目にガーデニングをやる気があるのかなぁ‥。

ワイルドストロベリーとは違うイチゴ。家の裏で実をつけていた

ワイルドストロベリーとは違うイチゴ。家の裏で実をつけていた

が、いい加減な夫のお世話が聞いたのか、名前の通りワイルドだったのか。当初の可憐な姿からは想像もつかないようなたくましさで、急激に増殖し始めました。今は庭の芝生やシバザクラ、果ては花壇の中にまで侵入してくる始末で、ふと目をやると地を這うように特徴的な葉とランナーが手を伸ばしています。

色鮮やかな真っ赤な実。摘むたびに香りが沸き立ってくる

色鮮やかな真っ赤な実。摘むたびに香りが沸き立ってくる

我が家の庭を気に入ったのは嬉しいけど、こんな「雑草」のような繁殖力は誤算、と腕組みしていると、夫が、「お、この実、食えるんじゃない。すごくいっぱい実っているぞ」と、真っ赤に熟した実を嬉しそうに摘んで、持ってきます。たぶん、食べられると思うけど‥。

夢に見た収穫のとき。あー、幸せよ

思わぬ量が採れた。夫は手伝わないけど

うーむ、あの食い意地が張ったヒヨドリやカラスも食べに来てないしなぁ。でも、恐る恐る口に含んでみると、外国産のジャムの瓶に鼻を突っ込んだような、強烈な芳香が広がりました。すごいよ、これ、と顔を見合わせました。ただ、味は酸っぱくて、たくさんは戴けません。子供の頃の夫のような、オヤツに飢えた悪ガキだったら、口一杯に頬張るでしょうが、私には無理です。でも、加工すれば、この香りと味を生かすことが出来るかも。

素敵な香りにうっとり。至福の時‥

素敵な香りにうっとり‥。え、何でこんなにアップで撮るのよ!

鈴なりの実を夫に採らせようと思い、「ほら、収穫するのは大好きでしょう。あなたが集めていいのよ」と指示すると、なぜか「オレ、忙しいんだ」と言って、家に逃げ帰ろうとします。小さい上、あまりに数が多いのが嫌なようです。「じゃ、写真をお願いね」と命じると、「小さくて難しんだよな、風にも揺れるし」とボヤきながら、渋々カメラを向けています。

砂糖を投入

砂糖を投入

野生のイチゴ特有のクセがあるので、素晴らしい芳香と甘酸っぱい味を生かして、今回は私用のジャムにすると決めました。本日、収穫した実は約120グラム。まず塩水に浸し、砂やゴミ、アリなどの昆虫を洗い落とします。きれいになったら、鍋に入れ、果実の半量程度の砂糖をまぶし掛け、しばらく置きます。30分ぐらいで砂糖が溶け、イチゴからたっぷりと果汁が出て、実がひたひたになります。

よくかき混ぜる

よくかき混ぜる

時間を置くと、果実から果汁が出てヒタヒタニ

時間を置くと、果実から果汁が出てヒタヒタに

これを火にかけて、弱火で煮詰めます。木べらなどで、絶えずかき回しながら、出てくる細かい泡を取り除きます。これは灰汁なので捨てるのが王道ですが、もったいないのでお匙ですくって舐めます。だってこの灰汁、とても美味しいんだもの。完成品では味わえない、夫に秘密にしている台所の味です。ジャムがふつふつと沸き立って、十分に煮詰まったら完成。冷めると固くなるので、とろみ具合はお好みで調整してください。

煮込みながら、よくかき混ぜる

煮込みながら、よくかき混ぜる

いよいよ、お庭でお茶の時間です。茶器はもちろん「ワイルドストロベリー」。主役のジャムは、大阪で有名な堂島ロールの上にトッピングしてみました。バラが咲き誇る芝生の上で戴きます。濃厚なイチゴの匂いと酸味が、ロールケーキのスポンジにしみ込んで、生クリームの美味しさを引き立てます。紅茶はスリランカ(旧セイロン島)のヌワラエリヤ。わー、夢にまで見た瞬間。お茶もお菓子も美味しい!。梅雨の湿っぽい風まで、快く感じるわね。

大阪で有名なケーキ「堂島ロール」に添えてみた

大阪で有名なケーキ「堂島ロール」に添えてみた

と、夫に振っても、「俺、やっぱ甘いもんはダメだわ。早く日が暮れて、一杯飲りたいなぁ」とポツリ。こんな不調法なバカには付き合いきれません。もうひとりで、最高のひと時を楽しみます。でも、これを分かち合うお茶友が欲しいな。あ、いい所に近所のおばあちゃんが通りかかりました。さ、一緒に楽しみましょう。ほら、どうぞどうぞ、と誘うと、「え、お茶っこ?。これから、畑さ行くだよ。また今度な」とあしらわれちゃいました。ごめんなさい。忙しいのに、お気楽なお誘いをしてしまって。

夫と二人分用意した。ホントに食べるの?

夫と二人分用意した。ホントに食べるの?

ま、相手に不足は多々あるけど、夫で我慢するか。ほら、お茶をもう一杯いかが、ケーキは食べないの?。と、顔を見ると、空を飛ぶヘリコプターを見たり、ジャムの香りにつられて飛んできたクマンバチを目で追ったりしています。はいはい、甘いのは苦手だし、ゆっくり楽しむよりも、蜂のように急かせかしてしまう性分だもんね。

待ちに待った瞬間です。バラに咲いたお庭で‥

待ちに待った瞬間。バラの咲いたお庭で‥

美味しい!!!。まず、香りが素晴らしい。そして味は、ちょっぴり酸味が効いて、甘すぎず、ケーキにぴったり。もう最高‥

美味しい!!!。まず、香りが素晴らしい。そして味は、酸味が効いて甘いケーキにぴったり。もう最高‥

それに、何よりもお酒が好きだから、お茶の時間はつまらないかな。ハァ‥。よし、来年に収穫できるイチゴは、全部、果実酒にしようね。でも、自分で摘んで自分で漬けるのよ、いいわね。酒、と聞いて急に目が輝く夫。にっこり笑う目尻が、なんかいやらしい。それに、今までのヤル気の無さは何だったの?。ホントけしからん奴です!。

もう、パクパクといっちゃいます。大口を開けて、恥も外聞もなく。もう、こんな写真を選んで‥(  ̄っ ̄)ムゥ

パクパクといっちゃいます。大口を開けて、恥も外聞もなく。もー、こんな写真選んで‥(  ̄っ ̄)ムゥ

 

やる気がないせいか、全然、関係のない写真も撮っているし。けしからん

やる気がないせいか、全然、関係のない写真も撮っているし‥。けしからん

無いならば育てる「グリンピース」

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海の幸、山の幸に恵まれた白神山地の麓、深浦町。山や海から得る新鮮な食材やお年寄りから学ぶ郷土料理など、食文化の豊かさを感じる日々ですが、西日本で生まれ育った私たちにとって、長年、慣れ親しんだ食材が手に入らずに困惑することがあります。その筆頭に挙げられるのが、豆ご飯のお豆「グリンピース」です=写真上下、左がグリンピースの種、右がキヌサヤの種。どちらも昨年に栽培し、収穫したもの

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かつて早春から初夏、鹿児島や和歌山県産などの南国の青果が、ごく普通に手に入る環境で暮らしてきました。でも、北国では作ってもいないし、売ってもいないそうです。昨年来、青森や秋田県のスーパーマーケットなどで、豆ご飯用の生のグリンピースを探しまわりました。が、各お店からは、「グリンピースの豆ご飯を食べる習慣がないので、入荷の予定はありません」と、つれない返事。これに困惑しているのは、無類の豆ご飯好きの夫です。よし、無いのなら自分で育てる、とホームセンターや種苗屋にタネを買いに行きました=写真下、昨年に収穫し保存していたグリンピースの種

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ところが、エダマメやインゲンの種は沢山売っているのに、肝心のグリンピースがありません。諦めきれない夫が探し回り、「苗があったぞ」と、嬉々として持ってきたのがスーパーマーケットで売られていた豆苗です。中華料理の食材などに使われる野菜で、商品の説明を読むと、確かにエンドウ豆の新芽と書いてあります。こんなヒョロヒョロした芽が育つのだろうか、と疑う私を尻目に、夫は貝割菜のように密生している芽をほぐして、一本づつをプランターに移植。その結果、なんと、数本でしたが立派な蔓エンドウに育ったのです。が、ここでも、夫を落胆させる結果が。実った鞘が太らないのです。平たいままで、中の身だけが小さく丸く育っています。どうも、豆ご飯のグリンピースではなく、キヌサヤ・エンドウだったようです=写真下、昨年に収穫し保存していたキヌサヤの。夫、激しく落ち込みました。

絹さやhp

 その後、車で二時間かかる五所川原市の種苗屋さんで、何とかグリンピースの種を入手。キヌサヤの小さな豆を泣く泣く食べた夫でしたが、今度こそとは、張り切ってお世話し続けました。そして、種から無事に芽も出て、立派に成長。結局、12本程の苗を育て上げ、5~6回分ぐらいは自家製の豆で「夫待望の豆ご飯」をいただくことができました。

植え付け③hp

そして今年、春先になっても暖かくならなかった白神の里も、ここ一週間で気温もぐんぐんと上がり、種まきのシーズンを迎えました。さあ、昨年に苦労して育てたグリンピースとキヌサヤの種を植えるぞ、と夫が吼えています。植えた直後、ほじくり出しにくるキジバトやカラスに見つからないよう、素早く作業します=写真上、プランターに種を植え付ける。夫曰く「グリンピースだけでいい、キヌサヤはいらんからね!」

若葉①hp

嬉しいことに、数日で発芽。見るたびに伸びて、葉を広げてゆきます。土と太陽と植物の持つ力を感じます=写真上、葉が開いたグリンピース。暇さえあれば朝晩、プランターを覗きに行って、「芽が土を割った」、「葉っぱが出てきたよ」と、報告する夫。豆の成長がいくら早くても、今日明日は無理なんだから、焦らない焦らない‥、と肩を叩いてやります。豆ご飯に対する激しい執念には、驚くよりも呆れてしまいます。

新芽②hp

早く大きくなって、今年も良い豆を実らせてね。でないと‥。ま、気長に待ちなさい。時期が来たら、美味しい豆ご飯を作ってあげるからね=写真上、次々と新芽を出すグリンピース。キヌサヤは別のプランターで栽培中。ただ、収穫も期待しているのですが、実は豆の花って、意外に綺麗なんですよ。それが私の秘かな楽しみなのです。

「追跡」にヒラタケご飯を追加しました

ヒラタケ②hp

春の森を探索していたら、思わぬ収穫がありました。

ヒラタケです。

早速、炊き込みご飯にしてみました。

完成②hp

ヒラタケ独特の味と香りがしみわたり、最高の春の味覚。

秋にも採れる食菌ですが、キノコの少ない春の方がありがたいですね。

よければご覧下さい。

田舎暮らしは外食難民

ラム②hp

覚悟していたとはいえ、近所で一杯飲めるお店が極端にありません。お酒を飲むようになってほぼ30年。勤めていた当時は、よくもまぁ、これだけ飲みに行ったなぁ‥、と思えるほど、繁華街のお店を冷やかしてきました。が、ここに越して来てからは、旅に出ている時以外は、まったく外のお店で飲むという習慣がなくなりました。ま、慣れるかなぁ、と思っていたのですが、正直言って、全然、慣れません。時には行きたくて身悶えすることもあります=写真上、本日はラム肉のしゃぶしゃぶ。夫婦揃って大好きなメニュー

モミジおろしhp

でも、結局は、なすすべなく、家で飲む羽目になります。それで、妻に頼んで、外で飲んでいるような気分になれる料理を作ってもらいます。妻はまったくお酒が飲めないので、不満そうな時もありますが、大体は合わせてくれます。すごい食いしん坊だから、でしょう。で、本日はオーストラリア産のラム肉を使ったしゃぶしゃぶを作りました。ラムはカロリーが低いヘルシーなお肉。それに野菜をたっぷりと入れた元気の出るお鍋です=写真上、新潟名産の粉末唐辛子「鬼殺し」を大根おろしに投入。「紅葉おろし」本来の作り方からいえば邪道ですが‥

モミジおろし②hp

まず、モヤシとニラ、キャベツを用意します。お肉は薄くスライスした肩と腿肉。ベースとなる出汁は、コブを煮出したお湯に市販されている中華スープの素を少々と、摺り下ろしたニンニクを投入します。それに、タマネギの薄切りを風味付けに少し入れ、キャベツ、モヤシ、ニラの順で煮込みます。沸騰してきたらお肉を入れて、色が変わったら肉も野菜も食べごろになります。つけタレは、酢1、ミリン2、ショウユ3の割合で混ぜ合わせ、隠し味に砂糖とウスターソースを少し入れます。薬味は、強烈に辛いトウガラシの粉末「鬼殺し」を混ぜ込んだ「紅葉おろし」と摺り下ろしたニンニク、青ネギを添えます。これで美味しいラムしゃぶの完成です。なぜか安い赤ワインがとても合います。締めはラーメン。お肉と野菜を食べ終わった後のお出汁に、塩と胡椒を振り込んで味付けし、湯がいた中華麺を投入すれば、最高の塩ラーメンになります=写真上、おろしニンニク、青ネギ、紅葉おろしなどの薬味を用意

薬味hp

元はといえば、北海道に暮らす友人が連れて行ってくれたお店で出たお鍋です。2時間の食べ放題で、お腹がはち切れそうになるまで食べたのが始まりでした。それ以来、北海道を訪ねる度に、友人とそのお店で堪能するのですが、最近は妻の財布の紐も固く、なかなか食べに行くこともできません。仕方なく、自宅で再現してみるものの、タレの味の調整が難しく、納得のいく味とまでは行きません。でも、北海道の思い出を噛み締めながら食べるラム肉は捨てがたく、我が家のマイナス60度まで冷える冷凍庫に、ほぼ半年分ぐらいはストックしてあります=写真下、「毎回モデルになるのは嫌」と妻が反抗。仕方なく、むさ苦しい親父が給仕をする羽目に。見苦しい写真でごめんなさい

肉投入②hp

羊は、「スクレイピー(伝達性海綿状脳症)」に感染するので、牛のように狂牛病が怖いのかなぁ、と思っていましたが、羊のスクレイピーは人には伝染しないようです。まぁ、私はすでにアルコールで脳みそがスカスカになっていると思われるので、心配はご無用。今日も妻の非難じみた視線を浴びながら、シュポッとビールを開けて飲んでいます。ラムにはワインだから、次を取って来ようかな‥。ま、外で飲まなくても、一緒の事かぁ=写真下、これで完成。お肉の色が変わったら食べごろ

完成hp

思い出の母の味「タケノコ寿司」

完成hp

我が家で、春の味として定番のタケノコ寿司=写真上、浜田家のタケノコ寿司。高知の実家に戻ると、春の定番メニューだった。青森の人からは、「どんなお寿司?」と、聞かれますが、五目寿司の具に味付けしたタケノコを混ぜ込んだ、シンプルなチラシ寿司です。夫の実家では毎年、この時期になると、亡くなった母が腕をふるい、大きな寿司桶(飯台)いっぱいのお寿司を皆にふるまったそうです。私も、高知の実家から送られてきたタケノコを使って、チャレンジしてみました=写真下、まず具材のタケノコを短冊状に切る 

タケノコ②hp

初めに、混ぜ込む具を用意します。あく抜きしたタケノコは食べやすい短冊切り。ニンジンはマッチ棒ぐらいの拍子木切りにし、それぞれ酒と塩、出汁を少々入れて煮ます。ここで干しシイタケを水で戻しますが、時間が掛かるので電子レンジでお手軽に済ませます。軸を取った干しシイタケを少量の砂糖を入れた水に浸し、1分ほど「チン」します。この最初の出汁はもったいないように思えますが、埃っぽい味がするため、躊躇なく捨てます。再度、同様に浸して、干しシイタケが柔らかくなるまで1~2分間電子レンジにかけます。この二度目の戻し汁を使って、砂糖と醤油で旨煮にし、細切りにしておきます=写真下左、味付けした干し椎茸。下右は合わせ酢に投入するチリメンジャコ

シイタケhpジャコhpショウガhp

 次に合わせ酢を作ります=写真上、合わせ酢に投入するみじん切りのショウガ。大量に必要。米一合に対して、米酢を大さじ二杯、砂糖大さじ一杯強、塩大さじ四分の一弱を混ぜてよく溶かしておきます。さらに、柑橘類を絞ったお酢を「隠し味のおまけ」として加えます。今回使うのは、高知市の日曜市で入手した「ダイダイ酢」と「ユズの酢」です=写真下左、日曜市で買ったダイダイ酢。下右、同じく瓶入りのユズの酢。そして、「果実の小夏」もあったので、絞った生の果汁を加えました=写真下、小夏も絞って入れる。果実の甘味と香りが出て美味になる。これに、チリメンジャコとみじん切りにした大量の生姜を投入し、米が炊き上がるまでなじませておきます。

 だいだい瓶hp瓶柚子hp小夏絞り①hp

米は、コブと酒を加えて硬めに炊きます。ご飯が柔らかいと、混ぜ込んだ時に団子状になって美味しくありません。酢や具を多い目に投入しますので、必ず硬めに仕上げて下さい。そして、炊き上がったら間髪を入れず寿司桶に入れ、合わせ酢と混ぜます=写真下、ショウガとジャコを混ぜ込んだ合わせ酢を炊きたてのご飯に投入。杓文字で切るように手早く混ぜてゆく

酢投入②hp

 混ぜ①hp

酢飯ができたら、ニンジン、シイタケ、タケノコの三種類の具を加えて混ぜます。この上にお好みで錦糸卵や揉み海苔をふりかけて完成です=写真下左、ニンジン投入、下右、シイタケも投入

ニンジンhp椎茸投入hp

 大活躍の寿司桶。実は夫の母の形見で、もう50年以上も使い込んでいる物です。桶の底に「大阪・玉川町・戎神社横・樽新」と焼印があります。母が若い頃、ご近所だった樽屋さんから頂いたものだと聞いています。母も亡くなり、樽屋さんも存在しないようですが、寿司桶はまだまだ現役で頑張ってくれています=写真下、タケノコを投入し、具材が潰れない力で手早く混ぜる

タケノコ投入③hp

これでお寿司を作るたびに、季節感あふれる「おふくろの味」を食べさせてくれた母を懐かしく思い出します。そういえばお母さん、亡くなる直前に私が作ったタケノコのお寿司を食べて喜んでくれたなぁ。春になって、元気いっぱいに畑仕事をするご近所のお年寄りと、季節の食材を使った混ぜご飯が大好きだった母がダブって見えます。さて、私も、そのご近所さんたちに、南国の春の味をおすそ分けに行ってこようっと。

南国から、またまた春の便りが到着

集合①hp

高知県の実家から、孟宗のタケノコが大量に届きました=写真上、南国から届いたタケノコ。この倍以上はあったのに‥。その数、大小あわせて25本。が、夫は、「掘りたての鮮度が大事よ」とか言って撮影もしないで、雨の中、両手にぶら下げて走り出てゆきました。お世話になっているご近所に配りに行くためです。

律子②

帰ってきたところに、「あんたこれ、ブログには載せないの」と聞くと、口をパクパクさせています。職業写真家なのに、なんておバカ。慌てもんだから、たくさん届いたのを喜んで、子犬のように転がり出て行くんだもの‥。まぁ、数が減って良い写真が撮れないのは自業自得です=写真上、可愛いサイズもあれば、立派な形の物もあります。とても美味しそう

皮むきhp

それでも、我が家用に10本以上も残っています。何にしようかな。まず、若竹煮、タケノコご飯、タケノコ寿司、八宝菜、筑前煮‥。これだけ作っても、夫婦二人、とても食べきれそうにありません。作った料理も、ご近所の老夫婦や独身の青年らに配りにゆくつもりです=写真上、丁寧に皮を剥いてゆきます

洗うhp

家の横を流れる川も、春の雪解け水で薄濁りになってきました=写真上、皮を剥いたあと、軽く水洗い。本来なら外皮を若干つけたままで茹でるのだろうが、多量で鍋に入りきらないため我が家では丸裸スタイル。バッケ(フキノトウ)も、雪解け後の土手にポコポコと顔をのぞかせています。平均気温の低い青森県では、孟宗のタケノコをほとんど見かけません。収穫できるのは宮城県まで、と聞いています。

煮るhp

それよりも、笹竹であるネマガリダケを食べる風習の方が根強く、6月に入ると一面の笹原に入ったお年寄りが行方不明になる事故が続出します。笹の森は、どこを歩いても同じ光景に見えるためです。そして、クマの大好物でもあるので、鉢合わせする事故も発生します。北国では、人もクマもご当地のタケノコが大好きです=写真上、米糠と乾燥した唐辛子である鷹の爪を1本入れて煮立て、灰汁抜き

集合②hp

あまりお目にかからない南国のタケノコをご近所に届けると、大喜びしていただく方もいれば、料理したことない、と戸惑われる方もいらっしゃいます。米糠を入れて茹でてください、その後、煮るなり、ご飯に炊き込むなり、してやって下さい、と説明すると、皆さん喜んで頂けたようです=写真上、夫曰く。「掘り上げる時の切断面がきれいだ。兄貴、腕上げたなぁ。うーん、俺も掘りに行きたい!!!」孟宗のタケノコを大量に送っていただいたお義兄さん、ありがとうございました。皆さん、南の味を堪能してくれていますよ。そして、何よりも夫が大喜びしています。次はこちらから、季節の便りをお送りいたしますね。(律)

わらしべ長者の気分

小夏hp高知の実家から持ち帰った大量のミカン「文旦」類をご近所にお配りしたら、様々な農水産物となって帰ってきました。普段から、戴きっぱなしなので、そのお礼にと思ってお配りしたのに‥。見事なありがたい逆効果となっています=写真上、高知産の文旦とポンカン

文旦②hp

地域の皆さん、私らは貰いすぎなんです。だから、ミカンはお返しなので気を遣わないでください=写真上、近所にお配りするため形の良い文旦を選ぶ筆者①。だって、去年も今年もジャガイモを一度も買っていません。大根もそうです。ニンジンも野菜庫に山盛り。夏になればキュウリやトマト、葉物のコマツナやネギもいっぱい戴きます。

アワビhp

そして魚介類。アワビやサザエ、ソイなどの根魚に海草=写真上、戴いたアワビやサザエ。地元の安い魚屋さんで購入したも3000円は下らない。入れておく冷蔵庫も冷凍庫も一杯です。嬉しい悲鳴です。でも、そんなに気を遣わないでください。田舎の人情の厚さに心底驚くと共に感謝の念で一杯です。

刺身①hp

まさに、わらしべ長者になったような気分です=写真下、夫婦二人なのに食べきれない量のお刺身が。沖縄の国吉門中の皆さん、そして、美奈子ちゃん、永井さん、くっさん、とにかく誰か食べに来てぇー。多謝、多謝。