みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
北陸・魚津から、産土の味と香りが詰め込まれた便り

北陸・魚津から、産土の味と香りが詰め込まれた便り

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乾燥させたホタルイカ

乾燥させたホタルイカ

送って戴いた大和芋。夫の地元では、手芋と呼ぶそうだ

送って戴いた大和芋。夫の地元では、手芋と呼ぶそうだ

夫の新聞記者時代の上司で、同時期に朝日新聞社を退職し、今は富山県魚津市にお住まいの清水祐一さん。最愛のふる里で、自然と親しみながら日々の暮らしを綴る、「土を耕し、山・川・海に学ぶ」と題した「UOZU通信」というホームページを開設されています(リンク先は当HP参照)。

乾燥したホタルイカに水を加えて戻す

乾燥したホタルイカを水からゆでて戻す

そんな気の合う田舎暮らし仲間から、珍しい品々が詰め込まれた季節の便りが届きました。開けてみると、香ばしい潮の香りと土の匂いが入り混じった不思議な空気が立ち昇ります。一つひとつの包みを解いたら、ホタルイカの素干しと大和芋という自然薯が詰め込まれていました。わーっ、と喜ぶ夫。両方とも大好物です。

大和芋は、陶器のおろし器で、ゆっくりと摺りおろす

大和芋は、陶器のおろし器で、ゆっくりと摺りおろす

まず、ホタルイカ。肌がエンジ色に輝く、カラリとした干し具合が見事です。夫は、「ウルトラマンに登場した宇宙人のようだなぁ」と、不届きなことをポツリ‥。干物屋でも見かけない、珍品です。若干の磯臭さと味付けスルメのような香りが、なぜか郷愁を誘います。早速、つまみ食いをしようとする夫を制して、冷蔵庫へ。美味しい佃煮にしてあげるから、ね。我慢しなさい。

ウルトラセブンに出てきた宇宙人にそっくりとはしゃぐ夫。バカ‥

幼い時に夢中になったウルトラセブンに出てきた宇宙人にそっくりとはしゃぐ夫。ハイハイ‥

そして大和芋は、ひげ根が生えた立派なお芋。夫の故郷の高知県に住んでいた亡き母が、「リッちゃん、これは手芋と呼ぶ自然薯で、哲二の大好物やから、摺りおろして食べさせてやって」と何度か送ってくれた品です。確かに、手の形に似ている部分もあるようです。ふんわりとした土の匂いが素晴らしい。どちらも、北陸・魚津の海と土が育んだ産土(うぶすな)です。

摺りおろすとすごいネバネバ。夫の大好物だ

摺りおろすとすごいネバネバ。夫の大好物だ

清水さんによると、今年はホタルイカの大規模な「身投げ」があったそうです。私たちには聞き慣れない言葉ですが、産卵のため沿岸に押し寄せたホタルイカが、浜に打ち寄せられる不思議な自然現象で、富山市から魚津市にかけての富山湾沿岸では、春の風物詩として有名です。

沸騰するまで、さっと沸き立たせる

ゆでこぼれる寸前まで、さっと沸き立たせる

新月の夜などに見られ、深海に生息するホタルイカが、微かに発光しながら岸辺に打ち上げられる様は、息をのむ美しさ。UOZU通信にも、大量のホタルイカが波間に漂う不思議な光景が紹介されています。今回の干物は、そのホタルイカを清水さんが網ですくい、丁寧に干しあげて下さったものだそうです。太陽の光と海辺の風をたっぷりと浴びた素干しは、そのまま軽くあぶって食べてもよく、噛めば噛むほど滋味が口中に広がります。

茹で上げたホタルイカをさっと水洗い

ゆで上げたホタルイカを素早く笊に取る

沢山戴いたので、一部を佃煮にしてみました。

沸騰したら、素早く笊にとって水洗い

間髪をおかず水洗い

用意するのは、ホタルイカの素干しのほかに、酒、砂糖、醤油、みりん、生姜。まず下準備として、素干しの目を取り除きます。残しておくと、食感がよくないからです。硬いですが乾いている方が、簡単にむしり取れます。そして、生姜を千切りにしておきます。

まず、お酒を投入

まず、お酒を投入

そしてみりん、醤油、砂糖も

みりん、砂糖、醤油を順次投入

さて、調理開始です。ホタルイカの素干しは、水に入れて二度ゆでこぼし、軽く洗っておきます。次に、鍋にゆでたホタルイカを入れ、酒を注ぎ火にかけます。ひと煮立ちして程よい硬さになったら、砂糖、みりん、生姜、醤油を入れ、味を見ながら煮詰めてゆきます。好みの味と美味しそうな照りが出たら、出来上がりです。噛みしめると、濃厚なイカの旨みと少しほろ苦い風味が広がり、まさに酒飲みが好む大人の味になりました。

生姜は風味付けにお好みで

生姜は風味付けにお好みで

完成。長時間煮込んだよう見えるが、約15分間煮ただけ。輝りが出て美味しそう

完成。長時間煮込んだよう見えるが、約15分間煮ただけ。輝りが出て美味しそう

そして大和芋。清水さんの畑で丹精された逸品です。高知の実家の母が育てていた手芋と、姿かたちはそっくりです。おろすと天然の自然薯に近い独特の強い粘りがあります。 摺り下ろしてトロトロになった芋に、小口切りの青ネギと生卵を落とし、醤油ともみ海苔で味付けした美味しさは、堪えられません。ご飯にのせても最高のおかずになります。

トロトロで粘り気がすごい

トロトロで粘り気がすごい

が、今回は夫の要望に応え、お酒のあてとして、すりおろした芋を海苔に包んで揚げる「落とし揚げ」を作りました。作り方は至って簡単。すりおろした芋に塩を少々加えて味付けし、四角く切った乾燥海苔に乗せて、そっと油で揚げるだけです。コツは、揚げるとタネが膨らむので、できるだけ量を少なくして包むことぐらいかな。海苔がぱりっと揚がれば、出来上がりです。アツアツに塩をちょこっと付けて、どうぞ召し上がれ。

味のついていない海苔の上に載せる

味のついていない海苔の上に載せる

清水さん、ありがとうございます。お礼の返信用の記事が遅れましたこと、深くお詫びいたします。芋は夫が急かすので、早々に食べてしまったのですが、ホタルイカを食べる前に、体調を崩したり、お客さんが多数訪れたりして、多忙のために料理できませんでした。そして昨夜、ようやく夫に食べさせた所、美味いうまいを連呼し、お酒も大量に飲んでいました。そのバカみたいなはしゃぎっぷりは、美味しさ以上に大切な友人からの贈り物が嬉しかったようです。

中の芋が少し色づくぐらいが香ばしくて美味しい

中の芋が少し色づくぐらいが香ばしくて美味しい

次は私たちがお返しをする番です。もう少しお待ちください。白神の季節が深まる頃、世界自然遺産のエッセンスがたっぷりと詰まった、山の恵みをお送りする予定です。夫は、青森・秋田の美味い酒も送るぞー、と、大声で吼えています。魚津の素晴らしさをたっぷりと堪能できた素敵な故郷の味に感謝いたします。ご家族と自らのお身体を大切に、田舎暮らしを満喫してください。ありがとうございました。

 

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コメント

  • LIME GREEN より:

    おいしそうーーーーーー。やまいもをご飯にかけるのも最高です。何杯でもいけます。ホタルイカも酒のつまみに最高ですねーー。3連休 沖縄 にイッテキマース。
    まだ行けていないところがたくさんあるので・・御遺骨
    の調査は今回は許していただこうかと思います。

    • hamatetsu より:

      そうでしょう、美味しそうでしょう。
      現に、とても美味しかったですよ。
      沖縄、気をつけて、ゆっくりと楽しんできてください。
      私ら夫婦は、仕事とボランティア以外では、彼の地を踏んだことはありません。
      一度、遊びで行ってみたいなぁ。
      いつも書き込みを戴きまして、ありがとうございます。
      また、よろしくお願い致します。

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