東奥日報「Juni Juni」の連載:9回目 東奥日報「Juni Juni」の連載:9回目 連載の9回目はニホンカモシカです。白神山地は、ニホンカモシカが暮らしやすい森。あちこちに食痕や足跡、フンなどのフィールドサインを見ることが出来ます。林道を歩くと、ブナの木陰からじっとこちらをうかがっている個体と出会うことも珍しくありません。 林道を歩く若い個体 目があまり良くないのか、ブラインドテントに入っている時に遭遇しても、こちらがじっとしていれば、不思議そうな顔をするだけで、人間とは気づきません。好奇心旺盛で、仕掛けている動画の小型カメラに、「これ、なんだろう?」とばかりに、鼻先を寄せてくる姿が写っていたりします。 水場に現れた親子連れ お母さんの後を追う子カモシカ 毛並も美しく、雪の季節を迎えるころには、丸々と太って、ころころ、ふかふかに。こうして北国の厳しい冬を乗り越えて、白神の森で子孫を残し、悠々と暮らしてきました。そんなニホンカモシカたちに、脅威が近づいています。 口や鼻先に腫瘍ができて、泡を吹くカモシカ ひとつは、パラポックスウイルス感染症です。口の周りや足の皮膚などに潰瘍ができ、弱って死ぬこともある、恐ろしい病気です。私たちの暮らす集落でも、この病に侵され、体調が悪くなった個体が、塩やミネラルを摂ろうと海辺に出てきた例がありました。山に戻そうとみんなで努力しましたが叶わず、そのまま死にました。 片足を上げて もう一つは、二ホンジカの侵入です。険しい岩場や崖を昇り降りして、山の斜面を生活の場にするニホンカモシカは、草原や森林を好む二ホンジカとは住み分けできそうにも思えます。が、群れで繁殖する二ホンジカが爆発的に増えると、影響を受けてしまうかもしれません。 挑みかかるような姿勢のニホンカモシカ 立派な角が生えたヤクシカのオス 国の特別天然記念物であり、日本固有種のニホンカモシカは、白神山地を代表する大型獣のひとつです。脅威を乗り越えて存続できるよう、見守り続けたいと思います。 冬毛でコロコロに。イノシシみたい‥ Post Views: 473
東奥日報「Juni Juni」の連載:8回目 東奥日報「Juni Juni」の連載8回目 深校生が執筆し、写真も担当した朝日中高生新聞の記事 去年に引き続き、今年も、青森県立木造高校深浦校舎の生徒たちと、河川の流木集めを実施しました。 河川敷で、大きな流木を抱える生徒たち 積み上げられた不要木をトラックに運ぶ生徒たち 北国とは思えないような、かんかん照りの太陽の下、深浦町内を流れる二級河川・笹内川の河川敷や中洲などが現場です。 大きな流木も二人がかりで軽々と運ぶ 次々とトラックへ積み込んでゆく 猛暑の中、並んで木を運ぶ 全校生徒66人と教職員、町役場の職員らと一緒に、熱い汗を流してきました。 役場職員らも生徒と一緒に作業を進める 大きな抜根も、みんなで力を合わせたら 巨木もみんなで運べば大丈夫 この活動は、放置しておくと堤防や橋を破壊したり、土石流を起こす原因になったりする河川の流木を集めて、木材チップに加工して再利用するボランティア事業です。 力持ちの男子たちが巨大な流木を転がして移動させる トラックに満載になったチップに加工するための木 女子は細い木をたくさん運ぶ 青森県や民間の企業などの助けを借りて、深浦町と同校舎の生徒たちが、昨年から始めました。今年は、流木だけでなく、河川敷に繁茂する不要木も、県などから払い下げてもらい、チップにしてみました。 一生懸命にがんばる1年生たち みんなで力を合わせて巨木を運ぶ 休憩中にも、教官から自然災害の恐ろしさを学ぶ 主にヤナギやサワグルミなどが中心でしたが、その数量は2tトラックで3台分の計約6トン。昨年よりもたくさんの量を準備できましたが、手際が良くなったせいか、作業の進行も順調でした。 これぐらい一人で運べるよ!。力自慢の男子 本当に大きな木は専門家が機械で積み込みます あんまり暑いから、タオルを帽子代わりに 特に、経験者の2、3年生は、1年ぶりでありながら、要領もコツも心得ており、指示をしなくても率先して働いてくれます。そして初参加の1年生も、力仕事を中心に獅子奮迅の働きで、先輩たちに負けていません。 トラックで運び込まれたチップの荷卸しもする ペットボトルのスコップで袋詰め おそろいのウエアを着た可愛い女子生徒たち 全校生徒が素晴らしいチームワークで働いてくれ、昨年よりも素早く的確に作業を終えることができました。もう、頼もしすぎるぞ!、深校生。3年前からお付き合いを始めましたが、年々、彼らの事が好きになってきます。本当に良い子ばかりです。 テニスコートに積みあがったチップを袋に詰める 力持ちの男子が心優しい女子を気遣って働くのも校風。とても仲良くみえる 今年のカメラマンは1年生。じっくり育てます が、その深校も、過疎と少子化で生徒数が減り続けています。現在、1学年に一クラスずつしかなく、体育会系のクラブ活動も、正式なチームを組める人数が揃いません。 校長先生もお手伝い。生徒がさっと駆け寄ってサポート 重い袋を運べる女子も ペットボトル・スコップも大活躍 地域や学校も、何とか知恵を出し合って、生徒数を増やそうと努力を続けていますが、前途は多難です。このまま数を減らし続けると、70年近く続いた学校の歴史は幕を閉じてしまう可能性もあります。 袋詰めされたチップが、どんどん積み上げって行く 男子は一度に二つの袋を運ぶ。わぁ、力持ち! こんなコミカルな一瞬も‥ 同校舎は、深浦町の唯一の高等学校なので、消えてしまうと町に住む子供たちは、隣町の鰺ヶ沢高校か、隣県の秋田県能代市の学校へ通わざるを得ません。 先生と生徒たちが一緒に作業。少人数の学校の良さもあるが‥ 3年生の女子生徒ら 少し一服。でも、生徒たちは頑張り屋 それがまた、深浦町の衰退に繋がることは、疑う余地はありません。ますます、過疎と限界集落化が進み、いずれは自治体ごと消滅してしまう事も、考えられます。 町役場の総合戦略課・松沢公博課長のお話を聞く 生徒たちへ語りかける吉田校長先生 手際よく進む作業 世界自然遺産の白神山地の麓で、狩猟と採集を続けながら暮らしてきた、純粋な日本的な人々の暮らしが潰えてしまうのです。どうか、このブログをお読みの皆さまへお願いです。深校生たちへ励ましの声を届けてやってください。 力を合わせて流木を引っ張る みんなで順序よく木を運ぶ スコップの扱いも手慣れたもの そして、可能な限りの支援をお願い致します。それは、「ふるさと納税」でも「学校への寄付」でも構いません。できれば、私たちのように移住して戴き、子供たちを深校に入学させてやってください。よろしくお願い致します。 抜けるような青空の下で いつも笑顔が絶えない、素晴らしい仲間たち 4人がかりで運ぶ Post Views: 201
写真や記事の無断使用を憂う(HP管理者からの連絡を乞う) 下記のURLに注目。 「http://substandard.sub.jp/cambodia_flag_an_feng_8_imo9365726.htm」 ↓ サブスタンダード船 上記に張り付けたURL。日本国内の放置座礁船の事を、舌鋒鋭い論調で追及している素晴らしいホーム・ページです。が、私たちが公開している記事や写真を無断で使用し続けており、重大な著作権の侵害が続いています。 集めても集めても、きりがないほど積みあがった漂着ゴミ 無断使用されている座礁船の写真 いったい誰が作っているページなのかまったく判らず、こちらから連絡をしようにも完全な一方通行状態です。内容に悪意が込められているのならば、何らかの法的手続きを取りたいところですが、その内容がとても面白く、逆に応援したくなるような記事のオンパレードなのです。 無断使用されている写真 作業が終了。主催者の話を真剣な面持ちで聞く参加者ら 特に、放置座礁船問題を「放置する」かのような国や県への対応に、法的な裏付けと舌鋒鋭い論調で攻め込む内容が、読ませる側を唸らせます。できれば、お近づきになって、色々と教えを乞いたいのですが、HP内にはコメント欄もなく、連絡の取りようがありません。 無断使用の写真 生徒たちの前で、写真を掲げながら哲二が講義。風体が怪しすぎる‥ もし、HPの管理者が、この書き込みを見て下さったら、コメント欄に連絡ください。でないと、著作権法に抵触している事案として、それなりの行動に出ますよ(笑)。可能な限り、コンタクトを取りたいです。証拠のページは保管してありますので、逃げられませんから。 足の踏み場もないほど、積みあがった海岸のゴミ で、記事の中に、自分たちの活動のアピールのために、と書かれていますが、いけませんか?。当然、国(国交省)や青森県(河川砂防課)へも、取材を兼ねた連絡をし、「国民の税金での負担が無きよう、船主側から撤去費用を出させる」ように働きかけました。 「律子さん、これ何ですか」。きっちりと分別するため、質問に来た女子生徒 そして、マスコミの皆さまへ、船主が撤去費用を踏み倒す可能性が高いことと、PI保険が適用されそうにないことをお伝えし、高校生らの清掃活動を通して、全国へ発信して戴きました。その次点で、こうした事実を知っていた報道関係者は皆無でした。 折れて傾いた船体の横でゴミを拾う生徒たち(無断使用) ゆえに、子供たちへの「環境と防災、近隣国との外交問題を考えるきっかけとなったボランティア学習ができた」こと。と、マスコミ各社の「報道に繋がった」ことを考えると、夫婦と数人の地元の子供たちだけが無償で活動する、「弱小な市民団体」としては、それなりの成果だったと思います。 私らの会の大間越3人娘も参加。最年少にもかかわらず、動きが良い 褒めて欲しいと言いませんが、HPへ取り上げて下さるのならば、せめて一言ぐらいの声掛けが欲しかったです。豊富な知識と取材力で、既存のマスコミを遥かに超える情報発信をされている大先輩なので、ぜひご指導を願うのと同時に、無断使用にならないように、ご連絡ください。 座礁船の横で憤る伊勢親方 書き込んで戴くコメント欄は、一切外へは公表しません。これだけ舌鋒う鋭く、問題に切れ込まれる大先達とお見受けしていますので、大人の対応を切に願います。当方は、「日本写真家協会」に所属する職業写真家です。著作権には、ちょっとうるさいですよ(笑) Post Views: 715
東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目 東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目 前回のオシドリに続き、今回も水鳥のカイツブリです。白神山地の麓にある「白神十二湖森林セラピー基地」内にある池などに生息しています。毎年、同じ場所で子育てを成功させている健気な夫婦が、今年も頑張っています。 母鳥の背中に載ったヒナに餌を与えるお父さん でも今年は、いつも巣を掛ける場所で姿を見かけません。普段ならば、水面に突き出た倒木の枝や抜根などに作った巣の上で、ヒナを背中に乗せた親鳥が休む姿を見かけるのですが。なぜか、違う場所へ移動しているようです。 羽を震わせて雄叫びをあげる親鳥 その理由ですが、まず昨冬、雪が少なかったのと、今春以降、雨が降らないことなどで、池の水が減ってしまったことが考えられます。いつも6割ぐらいしか水量がなく、湖底の多くが露出しています。 水面に突き出た枝に止まるコシアキトンボ また、もうひとつの考えられる理由は、野鳥写真の愛好家たちの存在です。この鳥の棲む場所の近くで、大砲のようなレンズを構えていることが多く、長い人は半日近く滞在されます。 一羽のヒナはずっとお母さんの背に乗ったまま、お父さんに餌をおねだり。甘えん坊さん ブラインド・テントで身を隠している方は少なく、目当ての鳥が来ない時には、仲間同士で会話される方もいれば、携帯電話で大声で受け答えする方も。また、ウロウロされるので、その度に親鳥たちは警戒のため巣を離れています。中には堂々と、煙草を吸う方も。 夫婦で巣作り。水倒木や浮草などに水草や木の葉などを重ねて築き上げる 撮った写真を「ポスト・カード?」などにして売買されている方もいるようです。個々の商売の邪魔をする気はありませんが、毎日のように来られる方もいるので、鳥たちは堪ったものじゃないと思われます。 体の大きさが3倍近くはありそうなカワウが縄張りに侵入。夫婦であっというまに追い出した 自然の一部である生態系は、人間が過度に消費すると、その関わり方次第で一気に消耗してしまいます。私らも写真を生業にする仕事をしていますので、写真愛好家の方々の気持ちは理解できます。 「お父さんいってらっしゃい」。巣から出勤する父親を見送る母子 だからこそ、節度を持った行動が求められると思います。こんなことは書きたくなかったのですが、子供たちと一緒に、白神の自然を知り、その保全に向けた活動を続ける立場として、声を上げざるを得なくなってきています。 巣を狙いに来たヤマカカシ。卵は全部孵った後だったので、あきらめて泳ぎ去った 多くの方の行動は、白神山地の自然を愛するが故のことだと思います。未来ある子供たちへ、この貴重な生態系を残せるよう、お互いに協力し合いましょう。その大人たちの行いこそが、子供たちのお手本となりたいものですね。 カイツブリの撮影はすべてブラインド・テント内から実施 Post Views: 167
東奥日報「Juni Juni」の連載:6回目 東奥日報「Juni Juni」の連載6回目 すっかりご無沙汰してしまいました。公私ともに忙しくて、ブログを更新する暇がありません。おまけに夏風邪を引いたり、軽い熱中症になったりして体調を崩したのも誤算でした。でも、ようやく仕事が一段落してきたのと、体調も戻ってきたので再開します。 周りを窺いながら子供を泳がせるお母さん 今回はオシドリです。仲良し夫婦の象徴とされてきたカモの仲間である水鳥ですが、毎年のようにパートナーを変えるお盛んな夫婦で、子育てもお母さんしかしません。お父さんは、ヒナが生まれても知らんぷりで、どこかへ飛び去ります。 岸辺へ近づく母子 実は、オシドリの取材や撮影は、夫の哲二と共に、2回(2日間)チャレンジしただけで、本格的な仕事をまだ実施していません。生き物の取材以外のことが忙しくて、よきタイミングの時に出掛けられないのです。 オシドリが繁殖している池で撮影したニホンアナグマ。昼間なのに堂々と現れて餌をあさっていた でも最近、尊敬する動物写真家の先輩が訪ねて来られて、オシドリを狙っていることを聞かされました。沖縄のチャンプルー文化のように、あれもこれもミックスしたような仕事をしている自分が恥ずかしくなる、と哲二。白神のオシドリも、きちんと取材する気構えを持ったようです。 岸辺に近い茂みに隠れた親子。一部のヒナは陸に上がりそう 森を歩くとあちこちの湖沼や渓流、集落近くの田で見かけるオシドリ。その生態は、シノリガモと同じように不明な部分が多いそうです。子供たちとの活動に力を入れるばかりで、かんじんの生き物の行動を追えていないのは本末転倒です。 モリアオガエルを食べるオシドリ 今後はもっと、白神山地の生態系の取材に力を注ぎたいと考えています。だから活動に参加する子供たち。もう少し自主性を持って、調査に参加して来ないと、おいて行っちゃうぞ(笑)。浜田さん夫婦も精一杯頑張るから、一緒に歩んでいこうね。 おイタばかりしていると、置いてっちゃうぞ(笑) Post Views: 165