東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目 ツイート 東奥日報「Juni Juni」の連載:7回目 前回のオシドリに続き、今回も水鳥のカイツブリです。白神山地の麓にある「白神十二湖森林セラピー基地」内にある池などに生息しています。毎年、同じ場所で子育てを成功させている健気な夫婦が、今年も頑張っています。 母鳥の背中に載ったヒナに餌を与えるお父さん でも今年は、いつも巣を掛ける場所で姿を見かけません。普段ならば、水面に突き出た倒木の枝や抜根などに作った巣の上で、ヒナを背中に乗せた親鳥が休む姿を見かけるのですが。なぜか、違う場所へ移動しているようです。 羽を震わせて雄叫びをあげる親鳥 その理由ですが、まず昨冬、雪が少なかったのと、今春以降、雨が降らないことなどで、池の水が減ってしまったことが考えられます。いつも6割ぐらいしか水量がなく、湖底の多くが露出しています。 水面に突き出た枝に止まるコシアキトンボ また、もうひとつの考えられる理由は、野鳥写真の愛好家たちの存在です。この鳥の棲む場所の近くで、大砲のようなレンズを構えていることが多く、長い人は半日近く滞在されます。 一羽のヒナはずっとお母さんの背に乗ったまま、お父さんに餌をおねだり。甘えん坊さん ブラインド・テントで身を隠している方は少なく、目当ての鳥が来ない時には、仲間同士で会話される方もいれば、携帯電話で大声で受け答えする方も。また、ウロウロされるので、その度に親鳥たちは警戒のため巣を離れています。中には堂々と、煙草を吸う方も。 夫婦で巣作り。水倒木や浮草などに水草や木の葉などを重ねて築き上げる 撮った写真を「ポスト・カード?」などにして売買されている方もいるようです。個々の商売の邪魔をする気はありませんが、毎日のように来られる方もいるので、鳥たちは堪ったものじゃないと思われます。 体の大きさが3倍近くはありそうなカワウが縄張りに侵入。夫婦であっというまに追い出した 自然の一部である生態系は、人間が過度に消費すると、その関わり方次第で一気に消耗してしまいます。私らも写真を生業にする仕事をしていますので、写真愛好家の方々の気持ちは理解できます。 「お父さんいってらっしゃい」。巣から出勤する父親を見送る母子 だからこそ、節度を持った行動が求められると思います。こんなことは書きたくなかったのですが、子供たちと一緒に、白神の自然を知り、その保全に向けた活動を続ける立場として、声を上げざるを得なくなってきています。 巣を狙いに来たヤマカカシ。卵は全部孵った後だったので、あきらめて泳ぎ去った 多くの方の行動は、白神山地の自然を愛するが故のことだと思います。未来ある子供たちへ、この貴重な生態系を残せるよう、お互いに協力し合いましょう。その大人たちの行いこそが、子供たちのお手本となりたいものですね。 カイツブリの撮影はすべてブラインド・テント内から実施 Post Views: 119 « 東奥日報「Juni Juni」の連載:6回目 写真や記事の無断使用を憂う(HP管理者からの連絡を乞う) »
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