ホラガイを引っ張り合う浜田兄弟。周辺の物を壊しそうな雰囲気
なかなか身が出ないので、しびれを切らして手で引っ張り出そうとしたが‥
正直言って、身を出すのにこんな苦労した貝は初めてです。結局、中身の取り出しは、一晩中ぶら下げて弱らせ、翌朝、筋肉が伸びきったところに刃を入れて、食べられる身の部分を切り取りました。実は前の夜、力自慢で乱暴者の義兄と夫が、お互いが踏ん張りきれないほどに力を入れて引っ張り出そうとしましたが、結んだ紐が切れそうになるだけで、まったく出てくる気配がありません。そのうち力が余って、貝殻や蓋がミシミシと割れそうになったので、慌てて止めさせました。割れたら、元も子もないからね。
ついに出てきた。ただ、内臓が貝殻の中に残ってしまった
ホラガイは、高知県沿岸で獲れる巻貝ですが、地元では「ヒゲポッポ」と呼ばれており、その語源はよく判っていません。大きな個体は殻長40cm前後にまで成長します。この子は30㎝を少し越えていました。食べ方は、酢の物や煮付けなどにすると聞きましたが、活きが良かったので今回は刺身にして食べてみました。
色もきれいで、香りも素晴らしい。でも、ヌルヌルしているのと、突き出た目が怖い‥
可哀想だけど、まっぷたつに割る
その味ですが、アワビとサザエをミックスして柔らかな甘味を加えたような、さわやかな旨み。身も硬すぎず、柔らかすぎることもない、丁度良い歯ごたえです。初めて食べましたが、抜群に美味しいです。これは、癖になりそうな味覚。でも、今日、高知を発たなければならず、つまみ食いだけして、本体は義兄や甥に残していくことになりました。残念ですが、朝から、貝を肴に一杯飲らす訳にはいきません。思いっきり後ろ髪を引かれているようでしたが、我慢しなさい!
割ってみると、白っぽい身。美味しそうだ
身がしっかりとしているので、歯ごたえがありそう。だから薄引きに
貝殻の部分が楽器になる「法螺貝(ホラガイ)」。元々は密教の儀式に使う法具の一つで、インドで釈尊が人を集めるための合図として使用されたと言われています。その後、仏教の伝来によって日本へ。役行者(えんのぎょうじゃ)で有名な修験道で、山伏たちが、「説法」、「宿入」、「案内」、「集合」、「寒行」など、山で8種類の修行をする時などに吹き鳴らされるそうです。音が遠くまで響き渡ることから、戦国時代の武将たちも合戦に用いていました。
薄く引いて行くと、結構、量が取れた。4~5人前はありそう
ちょっと味見‥
そして、私たちの身の回りにも、時たまいらっしゃるのですが、大げさでデタラメな事を吹聴する輩を「法螺吹き」と言います。これは、法螺の音が遠くにまで響き渡って行くことから、小さな事を大きく話して広める様を転じたとされています。日本で法螺に使われる貝は、食用でも楽器用でも高値で売買されることから乱獲され、近年は生息数を減らしているようです。
初めて食べるので怖々と口に運ぶ
うまーっ!。ほんとうに美味しいよ!!。目が真ん丸に!!!
んで夫が、「可哀想だから、近くの海へ放してやろうか」と言い出しました。でも逃しても、またすぐに地元の漁師さんに捕まって食べられてしまいそうです。それならば、私たちが身をしっかりと食べてあげて、殻は南国の貝が大好きな「青森の3人娘」に持って帰ってやろうと、決めました。
盛り付けも、ほぼ完成。さぁ!
一口食べた貝好きの夫・哲二。「むちゃくちゃ美味いよ」、と大喜び。でも‥
珍しく夫に、生類を憐れむ気持ちが起きたようですが、そんな殊勝な思いは一瞬だけ。あっというまに、ガサツな大酒飲みの本性を現し、まさに「法螺を吹く」ように、貝を食べる言い訳を連発し始めました。あー、一瞬だけでも、夫を見直す気になった私がバカだった。でも、抜群に美味しかったので、また、手に入るならば、取りだす苦労を厭わない貝です。今度こそ、満喫するまで賞味してみたいな。ゴメンね、ホラガイくん‥。可哀想だけど、また見かけたら、食べられる運命だからね。覚悟しなさい。
なぜかラップに包まれて、冷蔵庫行き。本日帰る私たちは、食べられませんよ。お義兄さんたちへ、ね!
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たまたま青森のツブの食べ方を検索していて辿り着きました。ホラ貝などなかなか入手困難だと思いますが、一度は食べてみたいですね。