みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
活動③(追跡)

伝承される民俗芸能「獅子踊り」

神社の境内で舞い踊る獅子踊り=深浦町で

神社の境内で舞い踊る獅子踊り=深浦町で

踊る獅子とお囃子

お囃子も住民がする

まもなく8月を迎え、お盆が近づいてきました。私たちが暮らす集落には、伝統的な神事や郷土芸能が数多く伝承されています。そのひとつが、毎年お盆の8月13日に実施される「獅子踊り」。3匹の獅子に扮した踊り手が、集落内で勇壮に舞う民族芸能で、県の無形民族文化財に指定されています。

獅子踊りを見る人たち

踊りを見る地区の人たち

獅子を見るため、家から走り出てきた坊や

獅子を見るため、家から走り出てきた坊や

この時期は、普段は閑散とした集落が一年の中で最も賑わいます。都会へ出ている人たちが、次々と帰省して来るからです。老夫婦だけで暮らす家々に、夜遅くまで明かりが灯り、子や孫の笑い声が集落内に響き渡っています。まるで、昔の活気を取り戻したかのように。夫婦二人暮らしの私たちも、そんなお盆の賑わいと人々の笑顔に、ほっこりと癒される時期でもあります。

神社の鳥居を潜る獅子たち

神社の鳥居を潜る獅子たち

神社の境内で跳ねるように舞い踊る

神社の境内で跳ねるように舞い踊る

活気が戻った過疎の村で、繰り広げられるのが、200年以上は続けられてきた獅子踊りです。主役は、「雄獅子、雌獅子、仲獅子」からなる3匹の獅子。鹿の角や鳥の羽根、色紙などで飾り作られた獅子頭を保存会のメンバーらが被り、腹太鼓をつけた扮装で、稲荷神社の境内や寺などで、笛や太鼓の音色に合わせて舞い踊ります。

帰郷してきた子どもや孫たちが見物に

帰郷してきた子どもや孫たちが見物に

お墓の舞う獅子の横を五能線のリゾート白神が走り抜けた

墓の横で舞う獅子の横を五能線のリゾート白神号が走り抜けた

見物するのは、老夫婦だけでなく、帰省した息子や娘の家族も。観光客の姿はほとんど見かけませんが、毎年のように訪れてくださる祭り好きのカメラマンもいるようです。午前中は、神社や寺で舞いますが、夜になると公民館前の広場に場所を移します。

雄獅子、雌獅子、中獅子がそろい踏み

雄獅子、雌獅子、中獅子がそろい踏み

故人の初盆を迎える家族とその墓の前で、舞う獅子たち

故人の初盆を迎える家族とその墓の前で、舞う獅子たち

その夜の舞には、「キッチョコ」と呼ぶ二人の道化が登場します。蓑などの農作業着に身を包み、オカメとヒョットコのお面をつけ、ササラを摺って獅子を挑発しながら、自らも舞い踊ります。散々、邪魔をして、最後には獅子に退治されるのですが、コミカルな動きがとても印象的でした。

公民館前の駐車場で夜の舞い

公民館前の駐車場で夜の舞い

キッチョコを対峙する獅子

キッチョコを退治する獅子

勇壮でもあるが、神聖で、厳かな雰囲気も漂う

勇壮でもあるが、神聖で、厳かな雰囲気も漂う

目的は、魔除け、家の新築、橋の落成など、安全祈願が主なようです。そして、手作りの獅子頭は、呪術や信仰とが結びついた神聖な被り物と考えられています。そのためか、踊りを始める8月7日の「獅子おこし」の祈りでは降神のような儀式があり、最後の十五夜の夜に行われる「獅子納め」は、神創りの儀式ではないかと伝えられています。

踊りの中には物語性もあり、見ていて楽しい

踊りの中には物語性もあり、見ていて楽しい

お囃子もてを休めずの鳴らし続ける

お囃子も手を休めずに鳴らし続ける

江戸時代の民俗学者・菅江真澄が記した寛政八年(1796年)の紀行文に、この獅子踊りが紹介されています。「この夜、年毎のたわむれなる雌鹿(めじし)、雄鹿、中鹿の舞いさざめきのうちに夜はふけたり。この世の中の田の実りよかれのあそびのひとつぎかし」。この地区の住民たちが伝承し続けてきた歴史を物語る一節です。

激しい動きを見て、頑強で若い人が踊っていると思っていたら‥

激しい動きを見て、頑強で若い人が踊っていると思っていたら‥

被り物を取ってみたら‥

被り物を取ると‥

しかし、集落の過疎と高齢化の波が、地域が誇る伝統芸能に影響を及ぼしています。踊りを継承できる獅子のなり手が少ないのです。現在、中心となって踊っているのは、保存会の70歳を越えるベテランで、後継作りには心底、頭を悩ませています。今のままだと、あと僅かで途絶えてしまう可能性もあるようです。

獅子役の保存会の会長。もう、70歳を遥かに過ぎたそうです

獅子役の保存会の会長。もう、70歳を遥かに過ぎた齢

激しい動きを見て、頑強で若い人が踊っていると思っていたら‥

それでも、この動き。すごい‥

お盆に帰郷し、獅子踊りを見るのが楽しみな集落の出身者もいます。子どもや孫の帰省を心待ちにするお年寄りたちも、郷土芸能の継続を心より願っているようです。北東北の自然や生活文化が好きで移り住んできた私たちも、出来る限りの形で協力したいと考えています。

白神山地に繋がる山々の麓。神社の緑も美しい

白神山地に繋がる山々の麓。神社の緑も美しい

夫は写真を撮り、私が文章を書く。そうした形での情報発信しか、お手伝いの仕方はありませんが、心を込めて続けていきたいと考えています。今年もお盆がまもなく訪れます。集落に帰省される皆さま、お年寄り夫婦はそれを心待ちにしています。どうぞお帰りになって、元気な笑顔を見せてあげてください。それが何よりのお土産ですから。

踊りの最中に、海で竜巻が発生した。吉兆だと良いけど‥

踊っているすぐ横の海で竜巻が発生した。吉兆だと良いけど‥

子どもたちによるシノリガモ観察②

朝日新聞デジタルにも、掲載されています。

下記のURLをクリックしてください。

http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201307170744.html

ブラインドテントから、シノリガモを観察する3人娘

ブラインドテントから、シノリガモを観察する3人娘

3人娘の活動に感化されるように、彼女らが通う深浦町立いわさき小学校の同級生たちも、シノリガモの調査、観察を手伝ってくれることになりました。6年生の総合学習の一環として、毎月1回、クラス全員の11人が、子育ての様子を見に来てくれます。授業を開始した4月には、白神山地に棲息する野生動物たちの写真をスライドショーで見て学び。5月からはフィールドでの観察会に参加中です。

教室内からフィールドスコープで窓の外を見る。これが使えないと観察は難しい

教室内からフィールド・スコープで窓の外を見る。これが使えないと観察は難しい

双眼鏡をのぞく男の子たち。このクラスは男子の方が少ない

双眼鏡をのぞく男の子たち。このクラスは女子の方が多い

普段、気に掛けることもなかった身近な場所で、絶滅が心配される希少種が子育てをしていることに、一同が驚いた様子。誰もがシノリガモの存在を知りませんでした。でも、観察会が始まると、元気一杯の深浦っ子らしく、双眼鏡を奪い合いような積極さで、鳥の姿を追い続けています。

みんな観察用の機材に興味津々。次は私に貸して!、いや俺だよ!!

皆んな観察用の機材に興味津々。次は私に貸して!、いや俺だよ!!

「あ、見えた!」。

「えっ、どこ!、どこ!」。

「あの岩の横。ほら草が生えた所」。

「ほんとだァ!!!」

観察場所の橋の上からブラインド越しに見続ける

観察場所の橋の上からブラインド越しに見続ける

ブラインドテントの中から姿を追う。静かにしていたら、絶対に気づかれないよ!

ブラインド・テントの中から姿を追う。静かにしていたら、絶対に気づかれないよ!

真夏のブラインド・テント内は、蒸し風呂のようになります。それでも、皆、目を輝かせながら、川面を見つめ、鳥の姿を追い続けます。額には、珠のような汗。その子どもたちの直向きな想いや行動が、夏の暑さだけではない熱気をテント内にムンムンこもらせています。

白く泡立った渓流で泳ぐ仲良し6羽組とお母さん

白く泡立った渓流で泳ぐ仲良し6羽とお母さん

フィール調査は楽しい。でも、危険もあるし、注意すべきことも。川辺で、その説明を聞く

フィールド調査は楽しい。でも、危険はあるし、注意すべきことも。川辺で、その説明を聞く

梅雨時の大雨で、増水した川で流されながらも懸命に餌をとるヒナの様子を見た時です。「こんな激流の中、大丈夫なの‥」と心配する声も。でも、自然の中で大人になるということは、過酷な環境に耐え、馴染みながら暮らすことよ、との律子のお話に、皆が大きく頷きます。可愛いヒナたちに、すっかり情が移ったようで、祈るような目で、その姿を見続けています。

激流を遡りながら、お母さんの後を追うヒナたち

激流を遡りながら、お母さんの後を追うヒナたち

岩の上に登ってひと休み。体が小さいと、長くは泳げない

岩の上に登ってひと休み。体が小さいと、長くは泳げない

さて、3人娘は6年生全員の観察会の日、地元の報道関係者の取材を受けていました。新聞記者から直に話を聞かれるのは初めてです。

水温や気温、風速の測定時、報道カメラマンから取材を受けた

水温や気温、風速の測定時、朝日新聞の報道カメラマンから取材を受けた

記者さん(右端)も一緒にブラインドテントから観察

東奥日報の記者さん(右端)も一緒にブラインドテントから観察

シノリガモのことをどう思いますか、との問い掛けに、「こんな貴重な鳥が、子育てのために私たちの集落を流れる川を選んでくれて嬉しかった。無事に育つよう、頑張って調査と観察を続けます」と、普段のイタズラっ娘とは思えない、しっかりとした受け答え。少し緊張していましたが、日々、一生懸命に観察し、思い描いていることを記者さんに伝えることが出来たようです。よく頑張った。偉いぞ、3人娘。

シノリガモと3人娘のことが掲載された朝日新聞の紙面

シノリガモと3人娘のことが掲載された朝日新聞の紙面

ただ、残念な報告があります。7月11日までは2組で計12羽のヒナが元気一杯に育っていました。が、梅雨の大雨で増水した川で12日、1組の親子が離ればなれになり、その時に天敵であるハヤブサに母鳥が襲われたようです。川から距離のある私たちの家にまで、猛禽類であるハヤブサの鋭い声が届いていました。

はぐれていたヒナが群れに合流。「何処へ行っていたの!。危ないでしょ!!」

はぐれていたヒナが群れに合流。「何処へ行っていたの!。危ないでしょ!!」

嫌な予感がして、翌日、観察に行くと、ヒナたちは散り散りの状態に。その後、3人娘の目の前で、カモメの餌食となったり、カラスなどの他の天敵にも襲われたりしたらしく、この1組6羽のヒナがすべて消えてしまいました。

もう、この子たちの姿は見られないかも(ノ_・,)

もう、この子たちの姿は見られないかも(ノ_・,)

生まれた時期が遅く、身体も小さかったグループだけに、メンバーの落胆も激しいのですが、「弱肉強食」が自然の摂理のひとつです。それを理解することは、世界自然遺産の麓の集落で生まれ、そこに棲息する生き物の事を学びながら共存していることを知る大切な事実です。涙ぐむ子もいましたが、これを乗り越えることで、また、大きく成長してくれるでしょう。

ヒナたちが追いつく前に水をブルブルっと弾く。お母さんは命懸けで子を守っている

ヒナたちが追いつく前に水をブルブルっと弾く。お母さんは命懸けで子を守っている

暑い日も寒い日も、テントの中から観察。皆んなが無事に巣立って欲しいから‥

暑い日も寒い日も、テントの中から観察。皆んなが無事に巣立って欲しいから‥

この後も、3人娘のシノリガモ観察は続きます。そして、6年生の総合学習も同時並行で進めてゆく予定です。次はどんな場面に出くわすのか。残った6羽のヒナとお母さんの運命は、どうなるのでしょうか。カラスに襲われて、営巣が遅れてしまった3組目の夫婦のシノリガモは、無事に子育てが出来るのでしょうか。ヒナが巣立つ9月まで、まだまだ観察記は続きます。

生きていて欲しいが‥

生きていて欲しいが‥

マタギの伊勢親方と一緒に森を散策。これも調査、観察をする訓練

マタギの伊勢親方と一緒に森を散策。これも調査、観察をする訓練

生き残っている6羽のヒナたち。だいぶ大きく成長した

生き残っている6羽のヒナたち。だいぶ大きく成長した

3人娘と11人の6年生からの報告は、今後も、随時掲載してゆきます。よろしければ、しばらくお付き合い下さい。

朝日新聞デジタルにも、掲載されています。

下記のURLをクリックしてください。

http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201307170744.html

敏捷で感性が鋭いのは、みなみちゃん(左)。コミカルな頼れるリーダー・かえでちゃん(中央)。しっかり者の美少女・理花ちゃん(右)。最高の仲間たちだ

敏捷で感性が鋭い・みなみちゃん(左)。動物好きで明るいムードメーカー・かえでちゃん(中央)。秀才で優しいしっかり者・理花ちゃん(右)。最高の仲間たち

生き残っているグループ。しっかり危機管理できる、このお母さんは、顔つきも似ていることから、去年の母鳥かもしれない

生き残っているグループ。しっかり危機管理できるお母さんが率いている。模様や顔つきが似ていることから、去年3羽を巣立たせた母鳥かもしれない

子どもたちによるシノリガモ観察①

昨年秋、水鳥の観察に慣れるため十二湖で野鳥観察の訓練をする子どもたち

昨秋、観察に慣れるため十二湖で野鳥を見る訓練をする子どもたち。右端はマタギの伊勢さん

「白神山地の生き物たち」で紹介している希少種のシノリガモ。それを深浦町で生まれ育った小学6年生の女子児童たちが、毎週のように観察を続けています。メンバーは、上杉かえでさん、菊池理花さん、棟方みなみさんの3人。昨秋から調査を始めて、初夏に念願のヒナが誕生。今も成長記録をとりながら、子育てを見守っています。母鳥に連れられたヒナたちは、清流でスクスクと育っていますが、3人の子どもたちも驚異的な頑張りで、急成長を遂げています。このシリーズでは、大切な観察仲間になっている、子どもたちの話をお届けします。今回の記事と写真は、哲二が担当します。

観察用のブラインドテントから、元気一杯に飛び出すかえでちゃん。鳥がいるときは静かにね

観察用のブラインドテントから、元気一杯に飛び出すかえでちゃん。鳥がいるときは静かにね

この子たちと出会ったきっかけは昨年の春、庭に入れる砂利を海辺で集めている時でした。3人の内の一人、かえでさんが、「おじさん、何をしてるの?」と、近寄ってきたのです。それ以来、海辺で出会うたびに砂利集めを手伝ってくれ、我が家にも遊びに来るようになりました。そこで、壁に掛けてあった白神の動物写真を見て、「私も見に行きたい」とお願いされたのです。

岩から下りて泳ぎだすお母さんの後に続こうとするヒナたち

岩から下りて泳ぎだすお母さんの後に続こうとするヒナたち

写真を撮影したのは、クマが頻繁に出てくるような森。とても危なくて連れては行けません。何かいい題材はないかなぁ、と思案をめぐらし、私たちが観察を続けていたシノリガモの事を思いつきました。が、残念ながら、そのシーズンの子育ては終わったばかり。あー、これを見せてやれば良かったなぁ、とかえでさんに話すと、「すっごい、見たかった。来年も来るの?。もし来たら、一緒に観察したい」と熱い眼で迫ってきました。

人も獣も歩く遊歩道に落ちている木飲みを探す3人娘

人も獣も歩く遊歩道に落ちている木の実を探す3人娘。後方はマタギの伊勢さん

繁殖行動が、まだ深く解明されていない絶滅の危機にある地域個体群なので、数年間は調査しようと考えていた鳥です。よし、それならば来年と言わず、すぐに調査と観察をやってみる?、と投げかけると、「絶対やる」と二つ返事。で、「友だちを連れてきてもいい」との更なる積極的な提案。それで参加してくれたのが、理花さんとみなみさんです。

森の中でキノコを見つけた。「これ、食べられるの?」

森の中でキノコを見つけた。「これ、食べられるの?」

3人は深浦町立いわさき小学校の同級生。保育園の時から、ずっと同じクラスだった大の仲良しトリオです。この時から、元気いっぱいの楽しい観察会が始まりました。集まるのは授業がない週末でしたが、学校が早く終わった時も駆けつけてくれ、日没寸前まで一緒に海や川を見回りました。

日が沈んでも、諦めずに観察。なんとしても見つけるぞー

暗くなっても、諦めずに観察。なんとしても見つけるぞ

シノリガモは冬場、カムチャッカ半島やアリューシャン列島などから飛来。越冬後、春の訪れと共に、もと来た北の国へ戻ってゆきます。強靭な体力と耐寒性を持った海ガモで、冬の日本海の荒波に揉まれても、平気な顔で海中に潜って餌を摂っています。それが、波の花が飛び交うぐらいに時化て大荒れになった時、比較的静かな港へ集団で避難してきます。3人はその時に初めて実物のシノリガモと対面しました。

大荒れの海も港内は静か。避難してきたシノリガモも、のんびりと過ごしていた

大荒れの海も港内は静か。避難してきたシノリガモも、のんびりと過ごしていた

その感想は、「可愛いー。なんて綺麗な模様‥。家に連れて帰りたい!」と三者三様の叫び。気温は氷点下、風速が15mを越える吹きっさらしの港です。寒さのせいで、3人とも顔を真っ赤にしながらも、双眼鏡をのぞき続けます。誰一人、寒いから帰りたい、なんて弱音を吐かず、粉雪が混じる強風に向かって立ち続けていました。

どんなに寒くて強い風が吹いても、双眼鏡をのぞき続ける

どんなに寒くても、強い風が吹いても、双眼鏡をのぞき続ける

あー、見えた!。やったぁー。可愛い!!!

あー!、やったぁ、見えた!!。可愛いー!!!

鳥の姿が見えないときは、気温、風速、水温、透明度などを細かに記録。真冬の吹雪の時も、積雪が1m近い河原へ降りて、雪に埋もれながらも調査を続けます。3人とも私たち夫婦のように分厚い肉布団は着込んでいませんので、体が芯まで冷え切ります。でも、シノリガモの夫婦が、川へ上がってきてくれることを信じて頑張り続けました。

今日は誰が水温役?、風速と気温は?、筆記は私よ

今日は誰が水温を測る役?、風速と気温は?、筆記と記録は私よ

風速お見つめながら、シノリガモが近づいて来ていないか目で確認。来たら隠れないと‥

風速計を見つめながら、シノリガモが近づいて来ていないかを目で確認。来たら隠れないと‥

今日は風がまいている。様々な方向に向けて測定、平均を出して記録することも

今日は風がまいている。最大瞬間風速と平均値を記録する

そして今春、地元の港に30羽近くいた群れの大半が、北へ戻ってゆきました。そのまま観察を続けていると、何と3組のカップルが、川に遡上してきたのです。昨年は2組でしたが、今年は子どもたちの思いに応えるかのような鳥の行動です。ワクワクするのと同時に、身が引き締まりました。子どもたちも同じ気持ちでしょう。果たしてきちんと観察できるのでしょうか‥。

冬の間、群れて港に避難して来たシノリガモの群れ

冬の間、大荒れの日は港に避難して来たシノリガモの群れ

初遡上してきたカップル。いつも餌を採るメスをオスが見守る

初遡上してきたカップル。いつも餌を採るメスをオスが見守る

子どもたちが好きな調査の一つに、月に1回行う水生昆虫の採集と分類があります。最初は、川の石の裏に付いた虫の姿を怖がっていましたが、最近は、なぜか大好きに。採集を予定していないのに、水温を測る時も探して持ってくるので、閉口する時があります。いつか水着になって、思う存分採集したいのだそうです。川の水は、夏でも結構冷たいんだけどなぁ。

浅瀬に這いつくばるように水生昆虫を探す。長靴に水も入り、足はもう濡れっぱなし

浅瀬に這いつくばるように水生昆虫を探す。長靴に水も入り、足はもう濡れっぱなし

これ、でかい!。こっちはチビ。えー気持ち悪い顔‥

これ、でかい!。こっちはチビ。えー、よく見ると気持ち悪い顔‥

採取した水生昆虫を分類する3人娘。最初は気持ち悪かったけど、今は毎回でも採取したい

採取した水生昆虫を分類する3人娘。最初は気持ち悪かったけど、今は毎回でも調査したい気持ち‥

その結果、河口から100㍍も遡らない場所で、山奥の渓流と同じくらいの量と種類が棲息していることが判ってきました。それは、この川の水が綺麗なのと、流域に素晴らしい自然環境が残されている証と考えられます。シノリガモが毎年、子育てをしにくるはずです。

4種類が一緒に

4種類が一緒に

カワゲラの一種

カワゲラの一種

ブユの仲間の幼虫

ブユの仲間の幼虫

へびのようtyトンボの幼虫

ヘビトンボの幼虫

ただ、シノリガモの姿がこの川で見られるようになったのは、6~7年前からだそうです。周辺で畑仕事などをするお年寄りたちが、幾度となく目撃していました。それまでは、まったく見かけなかったと口を揃えます。なぜ、最近になって来るようになったのでしょうか。子どもたちと一緒に聞き取りをしたお年寄りの話に、謎を解くヒントがありました。

石の裏に付いた小さな奴も見逃さない。手で掴めないのはピンセットでキャッチ

石の裏に付いた小さな奴も見逃さない。手で掴めないのはピンセットでキャッチ

ヒゲナガカワトビケラをノギスで測定。これ、あんまり好きじゃない‥

ヒゲナガカワトビケラをノギスで測定。この川に沢山生息している

虫眼鏡でもチェック

虫眼鏡でもチェック

律子先生の指示で、トビケラを巣から引き出す。ゴメン、裸にしちゃって

律子先生の指示で、トビケラを巣から引き出す。ゴメン、裸にしちゃって

それは、過疎や高齢化、減反政策などによって、川の流域にあった水田が無くなり、農薬が流れ込まなくなったことと関係しているのかも知れません。田が消滅して10年も経たないで、シノリガモが来るようになったと言うお年寄りがいたからです。それと同時に、世界自然遺産に登録された当時、押しかけていた渓流釣り師の数が、最近どんどん減ってきたのも、理由の一つと話される方もいます。直接川に立ち入る人がいなくなって、子育てしやすい環境になったという訳です。

これは何、きやー、宇宙怪獣みたい!。これ、真面目にしなさい(律子先生)

何これ。きやー、宇宙怪獣みたい!。カッコイイ‥。これ、真面目に観察しなさい(律子先生)

こrは何?、生き物??、草???。でも、動いているよ!

これは何?、生き物??、植物???。でも、動いているよ!

水生昆虫の調査はスノリガモの食性を知る重要な調査よ、と律子先生。その教えを真剣に受け止める

水生昆虫の調査はシノリガモの食性を知る重要な調査よ、と律子先生。大好きなシノリガモのために、その教えを真剣に受け止める

いずれにせよ、この地域で生まれ、ここに住んで農林水産業を営んでこられた方々の実体験に基づく話なので、重みがあります。参考にさせて戴きながら、今後の調査、研究に活かせたら、と子どもたちと話し合っています。大好きになった水生昆虫の採集が、「なぜシノリガモが古里の川で子育てをするのか」を考え、答えを探すきっかけになってくれたようです。証言して下さったお祖父ちゃん、お祖母ちゃん、そして、虫くんたち、ありがとうございます。

頬っぺたを思い切り膨らませたヒナたち。だいぶ大きくなったが、お母さんの後を離れない

頬っぺたを思い切り膨らませたヒナたち。だいぶ大きくなったが、お母さんの後を離れない

それを4人で観察。一番右端の娘は、同じクラスの級友。一緒に見たいんだもの!

それを4人で観察。一番右端の娘は、飛び入り参加した同じクラスの級友。だって、一緒に見たいんだもの!

大雨による増水と激流化でヒナの暮らしに変化が。濁った滝の水と共に流されるヒナ

大雨の増水で激流となった小滝を流れ落ちるヒナ。今年は小雨が続いた後に、連日の豪雨。ヒナの暮らしにも変化が‥

 長くなりそうなので、第2部に続けることにしました。これから、観察日記として、随時更新してゆくつもりです。皆さま、子どもたちに、応援や励ましの声をお願いいたします。HP上で、コメントを戴いたり、「いいね」を押して下さるのが、何よりの励みとなるようです。そして、「IT難民」なので、ツイッターなどに参加できていませんが、こんなダメダメ夫婦にもお声掛け下さい。老眼で目をショボショボさせながらも、毎日パソコンに立ち向かい、何とか操作していますので。ご支援の程を。

★第二部へ続く

町立深浦小学校の総合学習で授業をしました

白神山地で子育てするシノリガモの記事が掲載された朝日新聞を見る子どもたち=深浦町で(個人情報保護のため画像の一部を加工)

白神山地で子育てするシノリガモの記事が掲載された朝日新聞を見る子どもたち=深浦町で(個人情報保護のため画像の一部を加工)

深浦町立深浦小学校で、3年生の総合学習の授業を、今回、受け持つことになりました。内容は「白神自然教室」。31人の児童たちを前に、写真と動画を使って白神山地で撮影した生き物の紹介と、その生態のお話をしました。みんな、キラキラした目で、動物たちが躍動する画像を見つめ、撮影機材に触れていました。

撮影と観察をするために使うフィールドスコープをのぞく子どもたち

撮影や観察をするために使うフィールドスコープをのぞく子どもたち

機材にも興味津々。何が見えるかなぁ‥

機材にも興味津々。何が見えるかなぁ‥

この授業を発案されたのは、私たちと同じ集落にお住まいの棟方いづみ先生。同小3年生の担任教師で、小学生の二人のお子さんを持つお母さんです。深浦町で生まれ育った子どもたちに、故郷の自然の素晴らしさと地域への誇りを再認識してもらおうと、企画なさいました。

シノリガモなど白神に棲息する生き物の写真を熱心に見入る子どもたち

シノリガモなど白神に棲息する生き物の写真を熱心に見入る子どもたち

白神山地の自然の素晴らしさを語るには、世界有数のブナの原生林だけでなく、その森の中で暮らす野生の生き物の存在を欠かすことはできません。それは、世界遺産への登録評価基準にも含まれており、高緯度にもかかわらずツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカなどが多数棲息していることが非常に重要視されているからです。

授業の後、子どもたちが書いてくれた感想。もう、夫婦の宝物にします

授業の後、子どもたちが書いてくれた感想。もう、夫婦の宝物にします

しかし、地域を含めて、白神で暮らす生き物たちへの関心は低く、ブナの原生林だけがクローズアップされて語られることが多いように感じます。ゆえに、棟方先生が、「ぜひ、地元の子どもたちに、もっと深い白神への関心を呼び起こしたい」との思いから、私たちに声を掛けてくださいました。

素直で可愛い感性に満ち溢れた感想を戴いた。もう、嬉しくて、胸がいっぱいに

素直で子どもらしい感性に満ち溢れた感想を戴いた。もう、嬉しくて、胸がいっぱいに

授業を終えた児童からは、「こんなに沢山の動物が、身近にいてびっくりした」、「もっと写真を見て、動物や鳥の事を勉強したい」など、子どもらしい素直な感想が続出。中には、「自然の中で生きる事は大変だと思った」と、弱肉強食の食物連鎖に思いを馳せた鋭い考察もあり、小学3年生とは思えない内容に驚かされました。

とっても可愛い表情と仕草で、授業の感想を語ってくれた(個人情報保護のため画像の一部を加工)

とっても可愛い表情と仕草で、授業の感想を語ってくれた(個人情報保護のため画像の一部を加工)

わずか2年ほどの取材期間ですが、私たちが撮影、記録している写真や映像を教育関係や地域の行政機関が利用してくださるのは大歓迎です。今のところは商業目的で活動をしていませんので、深浦をはじめとする青森県や、同じ世界遺産地域内の秋田県内の子どもたちが使用する場合は、写真の使用料などを一切受け取っておりません。同時に、写真のスライドを見せながら実施する講演なども、すべて無報酬で行っています。

最高の褒め言葉が随所に。深浦の子どもたち大好き(笑)

最高の褒め言葉が随所に。深浦の子どもたち大好き(笑)

3年生とは思えない、しっかりとした文章。素晴らしい子どもたち

3年生とは思えない、しっかりとした文章。素晴らしい子どもたち

このホームページを見てくださる方で希望があれば、出来る限りお応えいたしますので、いつでもお声掛けください。可能な限り、ご要望に沿う形でお伺いさせて戴くつもりです。

フィールドスコープの順番を待つ間も、とても可愛いリアクション(個人情報保護のため画像の一部を加工)

フィールドスコープの順番を待つ間も、とても可愛いリアクション(個人情報保護のため画像の一部を加工)

「鹿島(春日)祭」の神事:2013

新しい消防施設の前で出発の合図をする先振り

新しい消防施設の前で出発の合図をする先振り

太刀棒を打ち付け合う男衆ら

太刀棒を打ち付け合う男衆ら

稲荷神社の前で、舟の周りを踊りながら回る神事の列稲荷神社の前で、舟の周りを踊りながら回る神事の列

五穀豊穣や大漁を祈願し、人々の幸せを願う神事の「鹿島(春日)祭」が6月22日、執り行われました。年初に集落の神主さんが急逝。更に町の行事も重なって、例年よりも2週間ほど遅れた開催時期は、あいにくの梅雨時。にもかかわらず、時折雲間から太陽が顔をのぞかせる、絶好のお祭り日和となりました。

集落内の路地を行く春日丸と神事の行列=深浦町で

集落内の路地を行く春日丸と神事の行列

舟を担ぐ男衆ら

舟を担ぐ男衆ら

集落内を元気一杯に駆け抜ける子どもたち

集落内を元気一杯に駆け抜ける子どもたち

祭りの華となる子どもたちは、今年も元気いっぱい。赤い襦袢をまとい、たすきを掛けて、待ちに待ったハレの日に臨みます。ちょっとお化粧は苦手だけれど、それが終われば、飛び込むように神事の列へ。太刀棒を振りながら、「エンヤラ、エンヤラ、エンヤラ、ホーイ」と、可愛らしい声が集落内に響き渡りました。

先振りの先導で、狭い路地を行く神事の列

先振りの先導で、狭い路地を行く神事の列

激しく太刀棒を打ち付け合う

激しく太刀棒を打ち付け合う

丸太をくり抜き、7体の人型を乗せた舟神輿の「春日丸」を先導するのは、先頭を歩く先振り。その後ろを太刀振りが続き、行列のしんがりを笛と太鼓のお囃子が務めます。一行を取り仕切る先振りの合図で、太刀振りが原木の丸太を削った太刀を激しく打ち合わせ、踊りながら通りを練り歩きます。

男の子だから、お粉を塗られるのは嫌だけど、祭りだから仕方ないか‥

男の子だから、お粉を塗られるのは嫌だけど、祭りだから仕方ないか‥

横から笑わせないでね。お化粧が崩れるじゃない

横から笑わせないでね。お化粧が崩れるじゃない

祭りの化粧もお母さんが手ほどき。ホラ、綺麗になったよ

祭りの化粧もお母さんが手ほどき。ホラ、綺麗になったよ

1年生になって、始めて赤い襦袢を着て太刀振りに参加する坊や。お母さんの「よかったね」に、はにかんで笑った

小学1年生になって、始めて赤い襦袢を着せてもらった坊や。お母さんの「よかったね」に、はにかんで笑った

集落の人口が減って高齢化が進み、地域の若者が激減している今、祭りは子どもたちが中心になっています。が、かつては大人でないと参加できない厳粛な神事だったそうで、列に参加するため、「早く一人前になって太刀振りをする」のが、子どもたちの憧れだったそうです。

化粧を終えた男衆。鯔背な姿に伝統を感じる

化粧を終えた男衆。鯔背な姿に伝統を感じる

何で男が化粧するの?。こら、恥ずかしいだろう。あっちへ行ってなさい

何で男が化粧するの?。こら、照れくさいだろう。あっちへ行ってなさい

地域が大切にしてきた祭りだけに、行列を一目見ようと、お年寄りたちも集まってきます。中でも人気なのは、手作りの「春日丸」。くり貫いた丸木舟の仕上がり具合と、ユニークな人型の顔を覗き込んで、その出来栄えを笑ったり、感心したり。賑やかだった往時を思い出して、昔話に花が咲きます。「おめも、若い頃は、この人型みたいに『めんこ』かったべ」と、お互いを茶化しながら、大笑い。過去に遡りながらの楽しい時間が過ぎてゆきます。

春日丸の前に集まってきたお年寄りたち。今年の人型はユニークな顔だねぇ

春日丸の前に集まってきたお年寄りたち。今年の人型はユニークな顔だねぇ

お母さんと子どもたちもお大はしゃぎで見物

お母さんと子どもたちも、大はしゃぎで見物

青森県の無形文化財になっている由緒ある神事ですが、時代の流れと共に変化の兆しがみえます。それは、少子高齢化と過疎化が、後継者不足という深刻な現実となって、のし掛ってきているからです。太刀振りを務める若い男衆や舟神輿を担ぐ男衆も、地域にとどまらず、都会へ出てしまいます。同時に、女衆も少なくなり、料理を作ったり、行列の参加者をもてなす役割を担う方々が激減してます。今年は、神輿行列の休憩場所となる舟宿(ふなやど)のあり方が、見直されました。

船宿でアイスを食べる子どもたち。これが楽しみのひとつ

船宿でアイスを食べる子どもたち。これが楽しみのひとつ

裏方として神事を支える女衆。準備は万端に整った

裏方として神事を支える女衆。準備は万端に整え、開始を待つ

地区内に数か所、持ち回りで個人の家を開放し、舟神輿の「春日丸」を招き入れる舟宿。海の幸や山の幸をはじめ、酒やジュース、お菓子などを参加者や見物客に振る舞う役割です。総勢50人以上を接待するとなると、掃除、食卓のセッティング、料理、食器の準備、後片付けなど、高齢者の世帯には多大な負担になっていました。そこで、新たな試みとして、個人宅を減らして、公民館などを舟宿代わりとして接待をするようにしたのです。

公民館前の駐車場が舟宿に。テントの下も、おつなもんですな。ま、一献いかが?

公民館前の駐車場が舟宿に。テントの下も、おつなもんですな。ま、一献いかが?

子どもたちにとってあこがれの「食べ放題、飲み放題」の一日。思いっきり、はめを外していた

子どもたちにとってあこがれの「食べ放題、飲み放題」の一日。思いっきり、はめを外していた

行列の一行を迎え入れる舟宿。家人が窓から顔をのぞかせて歓迎した

行列の一行を迎え入れる舟宿。家人が窓から顔をのぞかせて歓迎した

今回、これまで通りご自宅でなさった方も、公共の場所を利用した方も、両方いらっしゃいました。伝統の神事、祭りのスタイルが変わることへの不安や抵抗の声も少なからず出ていました。もちろん、祭りの保存会の皆さんも、できれば昔ながらの行事を、そのまま後世に伝えたいと努力されています。が、高齢化と後継者不足は、大きな壁となって立ちはだかります。

小学校跡が公民館に建て替えられた。その名残りの二宮金次郎像に見守られながら進む神事の列

小学校跡が公民館に建て替えられた。その名残りの二宮金次郎像に見守られながら進む神事の列

大急ぎで国道を横切る行列。子どもたちは最後まで元気いっぱい

大急ぎで国道を横切る行列。子どもたちは最後まで元気いっぱい

バブル経済の崩壊以降、北東北の景気は厳しく、若者が働ける職場は数える程しかありません。一次産業か役場などの公務員、土建業以外に、然したる産業は見当たりません。当然、多くの労働力が流出し、少子高齢化、限界集落化してゆく中、地元民だけで祭りを存続するためには、神事のあり方を変更させるのも時代の趨勢かもしれません。

行列に差し入れられるお祝儀

行列に差し入れられるご祝儀

御祝儀を奉納された家の前で踊る

御祝儀を奉納して下さった家の前で踊る

もし、我が家が舟宿にあたれば、自宅で皆さんを迎え入れるつもりです。今、夫婦の齢は50前後なので、まだまだ行けそうです。夫も写真ばかり撮ってないで、今後は神輿を担いだり、太刀棒を振ったりと、祭りを支えるお手伝いをさせたいと考えています。私も、女衆の皆さまに混じって、料理の腕を振るいたいと思います。

孫が参加する行列を見守るご夫婦

孫が参加する行列を見守るご夫婦

行列を見守るお婆ちゃんやお母さんたち

行列を見守るお婆ちゃんやお母さんたち

でもそれが、80歳、90歳になって自分に出来るのか、といわれれば、答えることができません。いえ、たぶん無理だと思います。都会育ちの私達が、そんなに長生きできるとも思えないし‥。我が家の事情はさておき、この集落の行く末や神事の先行きに思いを馳せると、不安な気持ちに襲われます。

神事の前に車座になって、語り合う保存会のメンバーたち

神事の前に車座になって、語り合う保存会のメンバーたち

集落の公民館にあった意味深な替え歌

集落の公民館にあった意味深な替え歌

為政者の皆さま、どうぞ地方が再度賑わうような施策を打ち出してください。お年寄りが幸福に暮らせる世の中をつくる政治を行ってください。来る参院選。そうした政策を、お為ごかしでない公約として打ち出し、働いてくださる候補者や政党に投票しようと心に決めています。果たして、存在するのかなぁ‥

手作りの綿菓子にかぶりつく坊や。子供は地域の宝物だ

手作りの綿菓子にかぶりつく坊や。子供は地域の宝物だ

神事の時に、始めて大勢の子どもたちを見かける。仕事さえあれば、地域に残る若者も増えるのだが‥

神事の時に、初めて大勢の子どもたちを見かける。仕事さえあれば、地域に残る若者も増えるのだが‥

太刀振りとして、今年が初参加の坊や。小学1年生になって赤い襦袢も着せてもらった

太刀振りとして今年、初参加した坊や。誇らしげに太刀を突き上げていた

冬に向けての薪の準備を開始「後編」

薪割り用の小型の斧「トマホーク」。片手で使えるもので、大きなものは割れない

薪割り用の小型の斧「トマホーク」。片手で使えて小回りがきくが、大きなものは割れない

さて、薪作りの後編です。いよいよこの作業の華、「薪割り」が始まりました。我が家の使っていない駐車場に、先日、玉切りを終えた数百個の「ドンコロ(玉切った原木)」が、ごろごろと転がっています。これを自作の台に載せて、大小2つの斧で次々と割っていきます。

調子に乗って次々と割ってゆく。薪も三つに割れて弾け飛ぶ

調子に乗って次々と割ってゆく。薪も三つに割れて弾け飛ぶ

チェーンソーで小割りに切ったばかりで、まだ、ほとんど乾いていない生木です。ひとつの塊がとても重い。それを1個づつ台に持ち上げて載せ、木目を見定めながら、「えいっ」と斧を振り下ろします。力自慢の夫でも、慣れない作業のため、ヘッドが比較的に軽い斧を使用。それでも私には、振り上げるのも大変な重量です。当然、割るのは夫にお任せし、出来た薪を小屋に積み上げる作業を担当します。そして、写真撮影も。

小屋の中に整然と積み上げてゆく。腰は痛いわ、握力は無くなるわ、暑いわ‥

小屋の中に整然と積み上げてゆく。腰は痛いわ、握力は無くなるわ、暑いわ‥

斧が当たった瞬間、パカン、とかズドッ、とか、良い音が響けば割れた証拠。でも木に捻れがあったり、節があったりすると刃が食い込まず、一筋縄では割れません。そして、樹種によって堅い木もあり、今まで割った中ではケヤキやカシなどに苦労したようです。斧でどうしても割れないときは、クサビを打ったり、チェーンソーを使って四苦八苦しながら、頑張ってくれています。

割った薪が次々とつみあがってゆく。休むことを知らない男‥

割った薪が次々と積みあがってゆく。休むことを知らない男‥。でも、お腹は凹まないわね

そして、猛烈に仕事が早いのが夫の「マイペース」。こっちの苦労も知らないで、休憩も取らずにドンドん働きます。お茶ぐらい飲みなさい。熱中症になって、脱水状態で死ぬよ!。ほんと、体を動かし始めると、休もうとしないので心配です。付き合っているこっちも辛いし‥。でも、作業中の楽しそうな顔を見ていると、怒る気力も消え失せます。はぁー、もう好きになさい。でも、水分補給はするのよ。

積み上がった薪山に更に投げて上積みする。危ないでしょう!

積み上がった薪山に更に投げて上積みする。いい加減にして、危ないでしょう!

そんな夫ですが、チェーンソーの時と打って変わり、終始笑顔で鼻歌まじりに斧を振るっています。おそらく、一発でパカッと割れるたびに、大好きな肉体労働の実感を味わっているのでしょう。ほんと、単純というか、バカというか‥。でも、汗だくだから冷たいお茶を用意してあげよう、と目を離している隙に、信じられないぐらいに薪が大量に積み上がっているではないですか。えぇー、写真も撮らなきゃいけないし、薪を小屋に積まなきゃいけない。私の仕事は山積み。早くしないと日が暮れちゃう。

よく見えるように、顔を上げて割ってもらった。ちょっと不自然で危ないかな

撮影のため、よく見えるように、顔を上げて割ってもらった。ちょっと不自然で危ないかな。

さあ、今度はこっちが忙しくなりました。薪を一輪車に載せて、小屋の前に運び込んで積み上げます。崩れてこないように、木の凸凹を上手く組み合わせて、隙間なく詰めるのが腕の見せ所。ひと山積み終えて、とって返すと、さらに薪山が高くなっています。手だけでなく、口先もハイテンションになっている夫。全身をアドレナリンが駆け巡っているのか、「ワハハハハ。それっ、もう一丁」と量産していきます。

自分の割る仕事を終えて、チェーンソーの刃の目立中。こっちはまだ終わっていないんだよ。少し手伝え

自分の割る仕事を終えて、チェーンソーの刃の目立中。こっちの積み上げはまだ終わっていないんだよ。少しは手伝え!

上手く研げたかな。あ、「刃がかけてる」と絶叫。自分のせいでしょ‥

上手く研げたかな。手で触れて、仕上がり具合をチェック

ええっ、すごいハイペース。そして、最後に残っていた捻れ木や巨大なドンコロを割り終えてしまうと、斧を片手に物置小屋の方へ。どうしたのか、と思ったら、一昨日使ったチェーンソーの掃除や、刃の目立を始めています。ということは、このうず高い薪を、私一人で積めというのか。鬼‥。助けを請うのも嫌なので、黙々と一輪車で運び、積み上げる作業を繰り返します。

やっと、薪の積み上げが終了。手伝いにも来ないので見に行くと‥

やっと、薪の積み上げが終了。手伝いにも来ないので見に行くと‥

ちっとも薪の山が減っていくように思えず、暑さと疲れに朦朧とした頭の中に、「賽の河原」の地獄絵図が浮かんできました。「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため‥」。そんな言葉が積み上げられた薪の情景に重なります。そして、ヴォルガの舟歌などの「労働歌」が、口をついて出始めたとき、夫が、「腹減ったなぁ。昼飯はナニ」とトボけた顔で出現。ブチきれそうになったのですが、これで休めるので、ホッと一息。私の方が、冷たいお茶をゴクゴクと音を立てて飲んでしまいました。

刃の研ぎ上がりをチェック中だった

老眼なのか最近、細かいものを見るときはメガネを外す。と、「あ、刃が欠けている」と絶叫。(ΦωΦ)フフフ…、嫁を大事にしないからバチが当たったのよ

食事の後、夫に少し手伝わせて、薪の積み上げも終了。これで、冬の備えも万全です。椅子がわりに1個残したドンコロに座って汗を拭っていると、通り掛りの近所のお年寄りたちが、「この暑い中、よく頑張った。お疲れさん、ご苦労さん」と労ってくれました。うん、自分で自分を褒めてあげたいぐらい、と心の中で呟きながら、引き攣った笑顔での会釈しかできません。というのも、猛暑の中の薪積みは、両手に鉄アレイを持ってサウナでスクワット運動を繰り返すぐらいの重労働で、心底バテてしまったからです。よし、来年からは、夫一人にすべてやってもらうことにします。終わったらビール飲み放題よ。それでいいわね!。( `・ω・) ウーム…、なぜか嬉しそうな夫に、余計腹が立ってきました。

冬に向けての薪の準備を開始「前編」

積み上げられた原木

積み上げられた原木

白神山地は梅雨入りを前に連日、真夏のような晴天が続いています。ここ数日は、グングンと気温が上がり、昨日は何と30度を突破。本州最北端の地とは思えない陽気です。そんなギラギラした太陽の下、来るべき冬に備えて薪の準備を始めました。私たちが暮らす深浦町の冬は、零下10度近くまで気温が下がります。山間部と険しい海岸線が続くこの地方では、近年まで電化は進まず、石油などの化石燃料も簡単に届かないうえ、決して安価なものではありませんでした。そのため冬場の暖房は、昔から山で切り出される天然木を使った薪ストーブや囲炉裏が中心でした。

赤い炎を上げて燃える薪ストーブ

赤い炎を上げて燃える薪ストーブ

でも最近は、薪を作る手間や煙突掃除などのメンテナンスの面倒さから、徐々に灯油式のストーブを使う家庭が増えてきています。確かに、近代のストーブは温度調節も楽で、灰を捨てたりする必要もないのですが、薪ストーブを使ったことがある方は、「薪の火の暖かさは特別」と、皆が口を揃えます。私たちも、「マタギ」の伊勢親方のお宅で薪の炎の心地よさに驚き、たちまち虜になってしまいました。そして、引っ越してきた自宅に大容量の国産の薪ストーブを設置したのです。

夫が履くスウェーデン製の安全靴

夫が履くスウェーデン製の安全靴

夫がかぶるフェイスガード付きのヘルメット

夫がかぶるフェイスガード付きのヘルメット

さぁ、薪作りを開始します。本日は重労働の夫を支えるため、写真はすべて私が撮ります。これでも昔、新聞社でカメラを使って取材していた写真のセミプロでしたから。でも、ちょっと自信がないなあ。なんせ仕事としては、十年以上は撮っていませんもの。

装備と力が自慢の夫。重さ40~50キロぐらいの原木なら軽々と持ち上げて、玉切りする台座へ運べる

装備と体力が自慢の夫。重さ60キロぐらいの原木ならば持ち上げて、玉切りする台座へ運ぶ

まず、地元の森林組合から1m足らずの長さの原木が約200本届きました。これを薪ストーブに入るように、チェーンソーでカットします。樹種はブナ、ミズナラ、イタヤカエデ、サクラなど広葉樹ばかりです。大人の腕ぐらいの細さから、一抱えもあるような大きな材まで。夫が、フェイス・ガード付きのヘルメットに鉄板入りの長靴、防振手袋、防護ズボンという完全装備でやってきました。

盛大に切子を飛ばして原木を切る。ケガしないでね‥

盛大に切子を飛ばして原木を切る。ケガしないでね‥

専門家もびっくりな装備を施した理由は、夫の兄が高知県で林業に携わっており、「近代的な機材を使っても木を切る作業は命がけだ。チェーンソーを扱うならば素人は装備に手を抜くな」と、アドバイスを受けたからです。すべてが初心者の夫は、それでも危なかしい。ただ、真夏のような炎天下に、木を切る前からすでに汗だくになっています。それは装備のせいでなく、太りすぎよ。

切れた途端、大きな丸太は自然に木が地面へ落ちる

切れた途端、大きな丸太は自然に地面へ落ちる

1mの原木を台の上で三つ割りにする

1mの原木を台の上で三つ切りにする

まずやらなければならないのが、「玉切り」。1メートル近くの長さに切られた原木を約30Cmの長さに三つ切りにする作業です。工程としてはこの後に斧で切り株を2つ割か、4つ割にすると切断は完了。屋外に積み上げて、3ヶ月~半年間乾燥させれば完成です。ただ、これだけの量の原木だと、とても1日では割り切れないので、本日は玉切りを完了させるのが目標です。

ヘボだけど、体力があるので仕事は捗る。切り口は曲がってギザギザだけど

ヘボだけど、体力だけはあるので仕事がはかどる。切り口は案の定、曲がってギザギザ

チェーンソーはドイツ製です。ヘルメットや靴はスウェーデン製、装備は一流ですが腕は伴っていません。怖々機材を操っています。切るときも、出来る限り節のある難しい所は避けているそうです。どれが節か理解しているとも思えませんが。でも、切った「ドンコロ(株のこと)」は、着実に積み上がっていきます。

切ったばかりのブナ。ギザギザのチェーンソー痕が残っている

切ったばかりのブナのドンコロ。波打つチェーンソーの痕が腕を物語っている

作業は30分~1時間に1回は休憩します。機材の扱いに慣れない上、体の思わぬ場所が痛くなってくるため、連続しては出来ないよううです。腕は当然、腰や背中、膝も痛くなるとボヤいています。そして、愛用のチェーンソーにも、オイルや混合ガソリンを頻繁に補給してやらなければなりません。その都度、「ふー」と息を吐きながら汗を拭う夫が、少し可哀想です。

ラグビーをしていたのでボール替わりに投げるのは上手

ラグビーをしていたのでボール替わりに投げるのは上手

それというのも、今年始め、沖縄県での遺骨収集作業中に膝を痛め、放置していたらどんどん悪化。最後には膝を曲げて座れなくなった上、坂道での上り下りまでが難しくなってしまったからです。痛そうに足を引きずる姿が心配で、「そんなんで大丈夫?。きちんと薪、割れる」と、頻繁に声がけしました。が、結局、大汗をかきながらも、1日でやり遂げてしまいました。

大きな切り株がどんどん出来てくる

大きな切り株がどんどん出来てくる

時々通りかかって、指導してくれるご近所の長老たちも、「若いなぁ、雑だけど、仕事は早いよ」と、意味深な笑顔で励ましてくれます。気を良くした夫は、週明けにも斧で小割りにする作業に取り掛かるつもりのようです。チェーンソーより斧を使う方が楽しい、とニコニコ笑っています。膝も完治していないし、ゆっくりやればいいのに‥。でも、性格上、早くやらなければ気が済まないのでしょう。はぁ‥

作業も終盤、猛暑も重なり音を上げかけている。「もう明日にしようかな」

作業も終盤、猛暑も重なり音を上げかけている。「もう、明日にしようかな」

今回は、地元の森林組合から、原木をふた棚分買いました。ひと棚がどれだけの量か、いまだに理解できませんが、ふた棚あれば毎日薪をストーブにくべても、ひと冬をゆっくりと過ごせます。料金は、ここでは記しません。色々と弊害もあるようなので。ただ目安を言えば、ストーブ用の灯油をひと冬分購入する金額よりも、少し安いです。

手前に落ちた気を片付ける。足元を綺麗にしないと事故につながる

手前に落ちた薪を片付ける。足元を綺麗にしないと事故につながる

よく、薪は3度人を暖める、と言われます。木を伐り出す時、薪を割る時、燃やす時。本来ならば、山から伐り出す時の暖かさも享受したいのですが、それは夫の腕がまだ未熟なため、もう少し修行してから挑戦させようと思っています。今のままだと、きっと、自分で倒した木の下敷きになるのが関の山ですから。

新緑の山々と積み上げられた薪。例年、この時期に処理するが、今年は暑すぎる

新緑の山々と積み上げられた薪。例年、この時期に処理するが、今年は暑すぎる

今年の玉切りは、季節外れの暑さのため作業が大変で、終わった後は水をがぶ飲みしていました。夜になっても体温が下がらず、ちょっと熱中症気味に。でも、作業の目標を達成しホッとした様子で、その夜はビールをお腹いっぱい飲んだようです。まあ、今日は許してあげる。頑張ったものね。さぁ次は、斧で割る仕事だよ。私も手伝うから、一緒にやり抜こうね。写真はすべて筆者①の律子撮影

山菜の宝庫・白神山地③(ネマガリダケ、ミズ、シドケ)

例年より発生が遅いネマガリダケ。サイズも小さめだ

例年より発生が遅いネマガリダケ。サイズも小さめだ

白神山地も6月の声を聞くと、一気に初夏の様相を迎えます。山頂の雪解けも進み、麓の里山の緑が日増しに濃くなってきました。「ぼちぼち、タケノコ出てるんでねえか。行ってみるべ」。伊勢親方の号令のもと、友人と一緒にタケノコ採りに繰り出しました。タケノコ、といっても一般に知られている孟宗竹や真竹などのタケノコではありません。この地方では「ネマガリダケ」と呼ばれていますが、チシマザサという笹タケノコで、大人の指ぐらいの太さの可愛らしいサイズです。

包丁で表皮に切れ目を入れて剥く

包丁で表皮に切れ目を入れて剥く

このタケノコ採り、とても楽しいのですが、命に関わる危険と表裏一体な面も持ち合わせています。ネマガリダケは、成長すると高さが3メートルにもなる大型のササ。たくさん収穫するためには、山中に群生している、人の背丈よりも遥かに高い笹薮に分け入らなくてはなりません。足もとに生えているタケノコを、前かがみで一本、また一本と折って歩くうちに、連れの人からはぐれ、元来た道を見失ってしまうことが多々あります。こうして行方不明になって捜索される騒ぎが、毎年、必ず発生しています。私たちも、初めての場所には携帯用の「GPS」を持って行くことがあるほどです。それほどチシマザサの林は迷いやすい場所なのです。

表皮を剥くとツルンとしたタケノコの地肌が見えてくる

表皮を剥くとツルンとしたタケノコの地肌が見えてくる

そして、最も怖いのがツキノワグマとの遭遇です。ネマガリダケはクマの大好物。時には笹薮内にどっかりと腰を下ろし、手の届く範囲のものを食べまくっています。大抵は、クマの方が人の接近に気づいて逃げてくれますが、風に揺れる笹薮は音を吸収し、遠方からの見通しもよくありません。人もクマもお互いが夢中になるあまり、鉢合わせし、びっくりして襲い掛かられる事故が、東北・北海道の各地で報告されています。幸い私たちは鉢合わせの経験はありません。でも、直前までクマが座って食べていた跡は何度も目撃しています。蒸れたようなクマの独特な体臭、きれいに剥かれたタケノコの皮、大量のフン‥。森の恵みを分け合う者同士、細心の注意を払って不幸な事態は避けたいものです。

節の硬い部分は捨てる

節の硬い部分は捨てる

今年はタケノコ採りのシーズンに、都会から友人が来訪しました。夫の新聞記者時代の元同僚で、インドネシア内乱の取材や原爆の被爆者を追う企画を一緒に担当した仕事仲間だそうです。二人共現役の新聞記者。日々発生する事件事故を取材しながら、社会問題もしっかりと追い続けていらっしゃいます。「過酷な日常を離れて、白神に癒されにおいでよ」との誘いに応じ、遥々大阪から訪ねてきてくれました。

大阪から訪ねてきてくれた仲間たちと、和気合い合いと作業する

大阪から訪ねてきてくれた仲間たちと、和気合い合いと作業する

女性記者は昨年、深浦の名産「つるつるわかめ」を勤めている全国紙に掲載してくれました。それで、関西方面からの注文がどっと増えたそうです。男性記者は、紛争地や地球環境取材のエキスパートで、潜水取材も指導者になれるキャリアを持っています。そんな二人を春の山菜採りに案内しました。当然、深浦町の「マタギ」伊勢親方も一緒です。今回は里山レベルの場所でしたが、ウド、シドケ、アイコ、ミズ、ネマガリダケなどを収穫。二人共、出会った山菜のほとんどが初めてで、下処理から調理までをひと通り体験してゆきました。

つるつるわかめを全国紙に紹介してくれた後輩の女性記者。白神と深浦の大ファンになってくれている

ご近所のワンちゃんと戯れる女性記者。白神山地と深浦町が気に入って、何度も訪ねてきてくれる

二人に感想を聞くと、「最高の楽しさ、最高の心地よさ。1ヶ月分ぐらいの緑を見て、めちゃくちゃリフレッシュした」そうです。良かった、満足して頂けて。今年は白神山地が世界自然遺産に指定されて20年を迎えます。これを機に、ぜひ白神の人や自然を新聞紙面などで取り上げて戴きたいものです。私たち夫婦の申し出に、二人はにっこり笑って「検討させてください」、と期待が持てる意味深な回答。ぜひ頑張って欲しいな。

タケノコを剥きながら、親方のトボけた会話に大ウケする仲間たち。何よりも楽しいひと時

タケノコを剥きながら、親方のトボけた会話に大ウケする仲間たち。何よりも楽しいひと時

タケノコ以外にも、山菜の女王と呼ばれる「シドケ(和名:モミジガサ)」も採れました。お浸しにすると、山の緑を思いっきり口に含んだような青臭さが広がって、独特の癖がある美味しい山菜です。お隣の秋田県の方々が、これを目当てに白神の山奥にまで目の色を変えて来ています。一度に大量に採れないので、林道で秋田の人と出会うと、目的地が同じではないかと、お互いが自然と駆け足のようになって先を急ぎます。そんな時にも、「先に行かせて、ゆっくりと採らせてやれ」と余裕の伊勢親方。他にも秘密の場所をたくさん知っているからです。ゆえにシドケは、毎年、不自由したことがありません。

シドケ(モミジガサ)も大量に採れた

シドケ(モミジガサ)も大量に採れた

そして、ミズ(和名:ウワバミソウ)。晩春から夏に旬を迎える山菜で、皮を剥いて茎の部分を食べます。粘り気があり、ご近所のおばあちゃんらは、お浸しやタタキ、漬物などにしています。特に辛子醤油や生姜醤油などに漬け込んで食べると美味で、東北地方には無くてはならない山菜のひとつです。ただ、自生する場所によって味が違う、と伊勢親方は言います。山歩きの道中、ミズが大量に生えていても、美味しくない場所にあるものは見向きもしないで通り過ぎます。私が摘もうとしゃがみこむと、「あー、そこのはやめとけ。もっといい場所があるから、な」との声が。ホント、勉強になります。

これからの季節、旬を迎えるミズ(ウワバミソウ)も出始めた

これからの季節、旬を迎えるミズ(ウワバミソウ)も出始めた

今から15年ほど前に、深浦町を流れる笹内川の上流でキャンプしていた時のことです。テントの前で、採取したミズの皮を剥いていると、大きなリュックを背負った初老の男性に、「やー、大漁ですな」と話し掛けられました。笑顔を返すと、そのまま山奥の方へ向かわれましたが、日没後も山から下って来ません。深浦町に住む友人と周辺を捜すと、何と川の堰に引っかかって、水面にうつ伏せで浮いています。すぐに岸辺へ寄せて、人工呼吸などで蘇生を試みましたが、残念ながら事切れていました。

水に晒すと茎がシャキっとなる

収穫後、水に晒すと茎がシャキっとなる

日もとっぷりと暮れ、鰺ヶ沢署からお巡りさん数人が駆けつけて、現場検証が始まりました。新月の夜、山中は漆黒の闇です。その上、お巡りさんたちの持つ懐中電灯が頼りないったらありません。遺体がある堰の岸辺から、林道までは3~4mの高さがあったのですが、遺体の引き揚げ作業もままならず、仕方なく夫が大光量のランタンを手にお手伝いに行きました。

茎の根の部分から小さく折りながら皮を剥く

茎の根の部分から小さく折りながら皮を剥く

さあ、それで困ったのがキャンプサイトで留守番の私です。メインの照明は無くなり、おでこに着けているヘッドライト型懐中電灯がぼんやり灯るのみになりました。夫も居ないし、すぐ近くで人が亡くなったのですから、心細い。しばらくすると、足元や周辺の茂みから、「カサカサ、コソコソ」と小さなザワめきが。「えー、なによ!怖い‥」と、恐る恐る光をあててみると、小さなヒメネズミくんたちが膝丈ぐらいの草に昇って私を見上げています。「あ、可愛い‥」。ホッとすると同時に、一緒に夫を待つ仲間ができて、安心感が。ありがとう、ネズミくんたち。ミズは、そんな出来事を思い起こさせてくれる山菜です。

タケノコ、タラの芽、ウドの若芽、コゴミを天ぷらに

タケノコ、タラの芽、ウドの若芽、コゴミなどを天ぷらに

さて、今回収穫したものを天ぷらにしてみました。まず、タラの芽とウドの若芽から。少々トゲトゲが付いていても、若芽ならば揚げれば問題ありません。タラの芽の味は、ホロ苦さとこってり感が入り混じった濃厚なもの。ウドの若芽は、サッパリ感が強調されます。どちらも美味です、最高です、と新聞記者の仲間は叫んでます。そして、タケノコ。西日本で有名な孟宗竹とは、まったく違う味や食感で、サクサクとした歯触りと笹の独特の風味があります。これも、美味しい、と大好評。青森、秋田の日本酒とも最高に合うようで、あっという間に、一升瓶が空になりました。

あまりの美味しさに揚がった途端に箸が伸びるので、撮影している暇がない。食べなきゃ!

あまりの美味しさに揚がった途端に箸が伸びるので、撮影している暇がない。食べなきゃ!

西日本に住んでいると、東北の生活文化に触れることは稀です。特に本州最北端である青森県の風土や食文化が、これほど豊かだったとは考えも尽きませんでした。訪ねてきてくれた仲間たちも、まったくの同意見。そう、縄文時代から続く白神山地周辺での暮らしが、どれだけ素晴らしい物だったかをお互い再認識したのです。今回は山菜採りでしたが、次は秋のキノコ採り。親方と歩く狩猟も経験したいと話してくれました。そして、日本海の水中も、ぜひカメラで覗いてみたいと意欲満々です。白神山地の素晴らしい自然と、そこで暮らす人たちの伝統的な生活文化を、良い形で日本全国に伝えて頂けたら、と期待しています。帰り際に夫が、「じゃ、頼んだよ」と送り出しました。よろしくお願いしますね、頼りになる後輩くんたち。

山菜の宝庫・白神山地②(ワラビ、タラの木など)

 

荒地となっている我が家の田で採れたワラビ。まさに食べきれないほど出てくる

荒地となっている我が家の田で採れたワラビ。まさに食べきれないほど出てくる

今年もワラビが豊作でした。実はこのワラビ、深浦町の我が家の休耕田で採れたのです。理由を記しますと、譲っていただいた古民家に田と畑のオマケが付いていました。私たちが暮らす家から、徒歩で10分ぐらいの場所に4区画で2500坪(約8000平米)ほどの広さです。一応、農業をやるつもりだったのですが、忙しくて手を付けられないため、草がボーボーで一部には木も生えています。その荒地が自然のワラビ田になっているのです。2年前まで、まったく気づかなかったのですが、毎年、ご近所に配れるほど生えてきます。収穫は楽しいし、いつも野菜などを戴くおばあちゃんへのお礼にもなって、一石二鳥の喜びです。

新芽が付いた先端をノコギリで切り取られたタラの木。ほとんどが枯死してしまう

新芽が付いた先端をノコギリで切り取られたタラの木。ほとんどが枯死してしまう

ただ、この時期は、他人の土地へ無断で入ってくる「山菜トレジャーハンター」との戦いに終始されます(笑)。まぁ、自分たちが食べる分を採るだけならば許します。しかし、商売にするためか、根こそぎ収奪してゆくのは困ったものです。ワラビなどは、根茎を引き抜かなければ問題ないのですが、タラの木などは茎をノコギリで切断して持って帰るので、木自体が死んでしまいます。そんなマナーの悪い山菜採りもいて、田舎ながら熾烈な争いがあるようです。

林道沿いのタラの木は、ほとんどが先端をノコギリで切り取られていた

林道沿いのタラの木は、ほとんどが先端をノコギリで切り取られていた

近所のおばあちゃんが、畑に侵入して来た他府県の山菜採りに、「うちの敷地に無断で入らないで」と声を掛けたところ、鎌を振り上げて脅された、と涙ぐんでいたことがありました。白神山地に山菜を採りに来る楽しみを奪うつもりはありませんが、もう少しマナーを考えて頂きたい方々がいるのも事実です。

最盛期になると3日に1回行けば、これだけ収穫できる

最盛期になると3日に1回行けば、これだけ収穫できる

「マタギ」の伊勢親方のように、採り過ぎないし、現場も荒らさないようにすれば、翌年も生えてくるのです。その場限りの刹那的な楽しみに溺れるのではなく、持続可能な形で白神山地の豊かな恵みを拝受したいものです。だから、外から来られる方々も、醜い争いごとを起こさないで、自然も人心も破壊しないような謙虚な気持ちで、訪れていただきたいと願っています。

巻いている先の部分を手で解して毟り取る

巻いている先の部分を手で解して毟り取る

さて、ワラビの紹介に戻ります。山菜の中でも特に灰汁が強いのがワラビ。その灰汁抜きの手順です。まず、クルッと巻いた先の部分を手で毟り取ります。そして、ある程度の長さに切りそろえ、ステンレス・バットに入れて、薪ストーブの灰をまんべんなく振りかけます。灰の量が多すぎると、ワラビが柔らかくなりすぎるので注意が必要です。重曹で代用しても問題ありません。我が家はすべて天然素材での調理と下処理を目指していますので、灰も広葉樹を燃やした木灰を使っています。

灰汁抜きのため、薪ストーブの灰を振りかける

灰汁抜きのため、薪ストーブの灰を振りかける

次はグラグラと沸騰したお湯を、灰を振ったワラビにまんべんなくかけながら、ヒタヒタになるまで注ぎます。すると、ワラビの色が緑や茶、紫色などへ徐々に変化してゆきます。一晩、漬け込み、翌日にきれいな水で灰汁を洗い流してから、調理に移ります。

グラグラ沸いた熱湯をヒタヒタになるように掛ける

グラグラ沸いた熱湯をヒタヒタになるように掛ける

ワラビ料理は様々ですが、我が家では三杯酢に浸けるか煮物にします。日本各地で親しまれている山菜なので、お浸しにしてワサビやカラシ醤油で食べたり、酢味噌やマヨネーズなどをつけて食べる例も。また、野菜サラダに混ぜると美味しいそうです。灰汁が防腐剤の代わりになるので日持ちすると言われますが、灰汁抜きしたものは3日も過ぎると腐りやすくなるので注意が必要です。

一晩漬け込めば灰汁抜き完了

一晩漬け込めば灰汁抜き完了

深浦町では、冬に向けて塩蔵する家庭が多いと聞きました。束ねた生ワラビを漬物樽などに敷き詰め、真っ白になるぐらい塩を振り、落とし蓋と重石をした後にビニールなどをかけて封をします。食べる時は取り出したワラビを水でよく洗い、たっぷりの湯で茹でて塩抜きしてから調理します。塩漬けワラビは、けの汁に入れたり、煮付けや卵とじなどにしたりするそうです。

オリーブオイルを使ったタラの芽と海老の炒め物

ニンニクと唐辛子でオリーブオイルに香味をつけて炒めたタラの芽と海老

家畜の牛馬などがワラビを食べると中毒症状を起こすといいます。人間も同じで、灰汁抜きしないで生を食べると中毒を起こします。 ワラビには発がん物質であるプタキロサイドが含まれており、調理したものでも大量に食べると全身が出血症状になって、骨髄が破壊されて死に至ることもあるそうです。でも、副食として食べる程度ならば害はないとされており、完璧に灰汁抜き処理をすれば問題はないようです。

タラの芽に火が通ったら出来上がり

タラの芽に火が通ったら出来上がり。味付けは塩コショウをお好みで

 豊かな恵みを施してくれる白神山地の自然。なかでも山菜は、ここで生きる人たちの重要な天然野菜でした。春から夏にかけて収穫し、冬に備えて貯蔵する。毎年、これを繰り返すことで、北国の厳しい冬の暮らしを乗り越えてきました。その摂取の仕方や保存法には、過酷な環境で生き抜く生活の知恵が詰まっています。縄文時代から続く、狩猟採取を中心とした暮らし。それを毎日のように実体験できることは、都会暮らしが長かった私たちにとって、新しい発見の連続です。伊勢さんも近所のおばあちゃんたちも、皆んなが素晴らしき白神の先生です。不肖な弟子ですが、よろしくご指導を願いますね。

山菜の宝庫・白神山地①(ウド、アイコなど)

ウドが大量に採れた。食べる分だけ確保して、残りはご近所のお年寄りにお裾分けした=深浦町で

ウドが大量に採れた。食べる分だけ確保して、残りはご近所のお年寄りにお裾分けした=深浦町で

白神山地は山菜の宝庫です。春になると、様々な種類の山菜が、麓に暮らす人々の食卓を賑わします。フキノトウから始まり、夏に盛りを迎えるミズ(ウワバミソウ)まで、豊かなブナの森は素晴らしい食材を私たちに与えてくれます。そんな山の畑で得られる自然からの贈り物を紹介いたします。

旬、真っ盛りのアイコ(ミヤマイラクサ)。触るとチクチクする

旬、真っ盛りのアイコ(ミヤマイラクサ)。触るとチクチクする

山菜採りで山に入ると、チクチクと肌を刺すような感触の草に悩まされます。実はこれも食用の山菜で、深浦町ではアイコ(和名:ミヤマイラクサ)と呼ばれ、利用されてきました。お正月に各家庭で作られる青森県の郷土食「けの汁」の具として欠かせないものだ、と地元のおばあちゃんらは力強く語ります。それだけでなく、お浸しや、茹でたものにマヨネーズや和がらしを添えても美味しくいただけます。

沸騰したお湯でひと煮立ちさせる

沸騰したお湯でひと煮立ちさせる

 下処理は、沸騰したお湯に入れてひと煮立ち。鮮やかな緑色になったら、火を止めて水にさらします。そして、茎の根元の方から皮をむいて、その茎部分を食べます。近所のおばあちゃんたちは、塩漬けの保存食にして、冬に備えるそうです。今回、我が家では、塩と昆布茶をもみこんで、即席漬けに。冷蔵庫で冷やして食べると、シャクシャクした歯ざわりと、ほんのりした甘みが口に広がります。

茎の根っこの部分から表皮を剥いてゆく

茎の根っこの部分から表皮を剥いてゆく

素手で触ると、痛さと不快感でイラっとするアイコの棘には、蜂の毒と同じ「蟻酸」が含まれています。肌に刺さるとチクチクとした痛みと同時に痒みが襲うことも。そのために必ず厚手の手袋をつけて採取します。日陰がちな広葉樹や杉林などの湿り気のある斜面に群生。シソに似た葉が特徴で、茎は30~40cmぐらいに成長することもあります。葉が開ききり、茎が堅くなりすぎたものは、食用には向きません。採取する時は、自然にポキンと折れる部分から摘むようにすると効率的に採れます。葉は食べられませんので、現場で摘み取っておくと自宅へ帰ってから処理する手間が省けます。

今年はウドが豊作だった。採取した斜面には塊で群生しており、その多くは来年のために残してきた=深浦町で

今年はウドが豊作だった。採取した斜面には塊で群生しており、その多くは来年のために残してきた=深浦町で

ウドは、図体はでかいが中身がなく、役に立たない存在として名が知れた草花です。成長しきると3m前後まで育つのですが、その時点では食用にも木材にも適さないので、「ウドの大木」と揶揄されています。不名誉な例えと裏腹に、地面から出始めの頃には、芽も葉も茎も余すところなく利用できる、香り高い山菜です。

採取したウドの皮をマキリで剥く伊勢親方。現場であっという間に剥き終わった

採取したウドの皮をマキリで剥く伊勢親方。現場であっという間に剥き終わった

林縁の日当たりが良い斜面に自生し、時には半日陰にも出ています。スーパーマーケットなどで売られている茎の白い物は、日の当たらない地下で株に土を盛って暗闇の中で栽培した「軟白栽培」によるもので、味や香りに独特の癖がある天然物とは、まったく別物のように感じてしまいます。

茎の根元から表皮を剥く

茎の根元から表皮を剥く

ただ、山で採れる天然物のウドは灰汁が強いため、一定時間は水にさらさないと、食べた時に強烈な渋味が口内に残ります。様々な料理に合う優れた山菜で、葉や茎の先端部は天ぷらに、薄切りにしてさっと茹でたものは酢味噌和えなどに。茎の硬い皮を剥ぐと芯の部分は「和風セロリ」のようで、中華料理の食材にも使えそうです。でも、人によっては食物アレルギーが出るので注意が必要とされています。

刻んだ白ネギとニンニクをゴマとサラダのミックス油で炒める

刻んだ白ネギとニンニクをゴマとサラダのミックス油で炒める

それでは、新たに挑戦したウドとイカの中華風炒めをご紹介します。セロリの代用としてウドを使いましたが、こちらの方が本家より美味しかったかも。

切れ目を入れた樽イカ(大型のソデイカの一種)を投入

切れ目を入れた樽イカ(大型のソデイカの一種)を投入

皮を剥いたウドは、5ミリぐらいの薄切りにして、30分程度水にさらします。イカは、タテヨコに切り込みを入れ、日本酒と塩コショウで下味をつけておきます。下準備ができたら、まず弱火で刻みニンニクと白髪ねぎを炒めます。

イカの色が白く変わるまで炒める

イカの色が白く変わるまで炒める

良い香りがしてきたら、下処理したイカを投入し、中火から強火で炒めます。今回使用したイカは、肉が厚くて柔らかい樽イカ(ソデイカの一種)です。イカに火が通ったら、皿に取っておきます。次に、同じフライパンに油を足し、ウドを炒めます。目安は、しんなりと火が通り、なおかつ歯触りが残る程度。難しいようですが、ウドは生でも食べられるので、あまり深く考えず、豪快に炒めます。

別皿に分けていたイカとウドを混ぜ合わせて、再度軽く炒める

別皿に分けていたイカとウドを混ぜ合わせて、再度軽く炒める

ウドに火が通ったら、フライパンにイカを戻し、塩コショウ、中華スープの素少々で味付けします。最後に、少量の水溶き片栗粉を回しかけて完成。セロリよりもしっかりした歯ごたえと、ワイルドな香り。とても美味しい中華の逸品になりました。野生のウドは灰汁が強くて癖があり、たくさん食べるのは難しかったのですが、これならば一回で2、3本はペロリといけます。春の一時期だけですが、我が家の定番料理になりそうです。中華料理屋さんにも、教えてあげたいな。

水溶き片栗粉を入れてとろみを付けて出来上がり

水溶き片栗粉を入れてとろみを付けて出来上がり