みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
●2014年遺骨取集活動43日目 遺族へ届けたい戦没者遺留品.2014

2014年遺骨取集活動43日目 遺族へ届けたい戦没者遺留品.2014

陸軍の星のマークが入ったガラス片。何の破片かは不明

陸軍の星のマーク?が入ったガラス片。何の破片かは不明

遺骨収集というと、戦没者の遺骨のみを発掘する作業だと思われがちですが、一緒に出てくる遺留品も、実は大切にしなければなりません。その理由は、遺骨をご遺族にお返しできることは、血縁関係にある遺族の減少などで年々、難しくなっていますが、氏名の刻まれた遺留品は、関係のある親族へお届けできる可能性があるからです。

喜屋武の陣地から出てきた数々の薬瓶

喜屋武の陣地から出てきた数々の薬瓶

出土した瓶

出土した瓶

沖縄戦・戦没者のほとんどのご遺族へは、戦死公報と共に、空っぽか石ころが入った白木の箱が届くだけで、遺骨や遺留品など故人を偲ぶものは何一つ送られていません。当然、形見のような品をお持ちでない場合が多く、一昨年に開始した遺留品の返還活動では、何度も感動的な場面に遭遇しました。

中身が残っている油の容器。小銃などの手入れに使ったようだ

中身が残っている油の容器。小銃などの手入れに使ったようだ

狭い壕の入り口で収集活動する夫の哲二。ここで、認識票が出てきた

狭い壕の入り口で収集活動する哲二。ここから認識票が出てきた

そうした戦没者とご遺族の「69年間の空白」を、一気に埋めてくれる遺留品。今回、出土したいくつかを、ご紹介致します。まず、糸満市喜屋武岬近くで見つけた認識票です。発見した場所は、旧日本軍の陣地になっており、多くの壕やトーチカ跡などが数多く残っています。ほとんどが、米軍からの砲撃を受けて崩落していますが、入り口部分の巨岩を退けたり、人が入れるぐらいの隙間を掘ってやったりすれば、中に入ることができます。

今回出土した4枚の認識票。中央の2枚が真鍮製

今回出土した4枚の認識票。中央の2枚が真鍮製

この認識票に刻まれている「山3475」部隊は、陸軍歩兵第32連隊に所属。喜屋武に配属されていましたが、司令部があった首里に近い中部の前田高地へ転戦し、上陸してきた米軍と激しい戦闘を繰り広げた部隊として知られています。真鍮製の一つは、小さな壕を入ってすぐの地面の上に転がっていました。

歩兵第32連隊に所属した兵の認識票。個人と識別は難しいが、検索する予定

歩兵第32連隊に所属した兵の認識票。個人の識別は難しいが、検索する予定

裏側にも「32 6 242」と数字が刻まれている

裏側には「32 6 242」と数字が刻まれている

付近を掘ると、次々と計4枚の認識票が見つかりました。残念ながら2枚は鉄製で、錆びてしまって判読不明でしたが、遺骨収集家・国吉勇さんによると、「これだけまとまって一か所から出るのは初めてだ」と、驚かれています。同じ場所から1~2枚出てくることはあっても、まとまって4枚出土する例は、今まで経験にない、と話されています。  

歩兵第32連隊に所属した兵の認識票。個人と識別は難しいが、検索する予定

歩兵第32連隊に所属した兵の認識票。個人の識別は難しいが、検索する予定

なぜ、1メートル四方の場所から、これだけ多くの認識票が出たのでしょうか。「切り込み」といわれた特攻に出る時、身元を明かさないために置いて行ったのか。それとも、亡くなった戦友の認識票を集めて所持していたのか。集団で降伏する際、日本兵とわからないよう捨てたのでしょうか。

岩をどかし、地面を掘り、土を投げる。単純な作業の連続だが、結構、過酷だ

岩をどかし、地面を掘り、土を投げる。単純な作業の連続だが、過酷の一語。この写真撮影の直後、錆びた認識票が出土した

認識票の近くから出た出土したメガネ

認識票の近くから出た出土したメガネ

ただ、認識票を掘り出したすぐ脇から、当時のメガネが出土したので、所持品を捨てて降伏したのではなく、戦没されている可能性が高そうです。この認識票の持ち主たちは、大切な戦友同志だったのでしょうか。地獄の戦場で、お互いの故郷や家族の話をして、一度でも心癒される時があったことを願ってやみません。 

一緒に出てきた大量のボタン

一緒に出てきた大量のボタン。緑色は陸軍のシャツのボタン 

軍服の上着のボタンも出てきた

軍服の上着のボタンも出てきた

そして、大量の軍服のボタンがメガネや認識票の近くから出てきました。また、同じ壕の少し離れた場所から、軍服の生地が付着したままのボタンも出土しました。これは、過去に見かけた例はなく、国吉さんの戦争資料館にもありません。大抵は、焼かれたり、朽ちたりして、服地は無くなっているのですが、ボタンを繋ぎ留める糸までがきれいに残っています。遺留品としては極めて珍しいもので、国吉さんも、「奇跡だ!」と、驚かれています。

軍服の生地が着いたままのボタン。糸もきれいに残っている

軍服の生地が着いたままのボタン。糸もきれいに残っている

「軍用 資生堂」と刻まれた歯ブラシ

「軍用 資生堂」と刻まれた歯ブラシ

事務用品の消しゴムも出土。誰が使っていたのか

事務用品の消しゴムも出土。誰が使っていたのか

付近の壕からは、薬瓶やアンプルも出土しました。化粧品で有名な資生堂製の軍用の歯ブラシやランプの芯などもあり、やはりある程度の規模を持った部隊の陣地だったことが伺えます。そして、謎の遺留品。何なのか、どういう目的で使われたのか、国吉さんにもわからないそうです。もし、使用法をご存知の方がいらしたら、お教えください。 

中身が入ったままのアンプル。何の薬かは不明

中身が入ったままのアンプル。何の薬かは不明

何位使用していたのか判らない遺留品。二つに分かれる

何に使用していたのか判らない遺留品。二つに分かれる

合体させると、こんな形。「ペンたて」にしては小さいし、印鑑入れ?

合体させると、こんな形。「ペンたて」にしては小さいし、印鑑入れ?

沖縄戦末期の島尻の壕には、追い詰められて逃げ場を失った民間人や敗残兵が混在していたらしく、軍の装備品以外にも、お年寄りの入れ歯や子どもの学用品、生活道具などが数多く見つかります。この認識票を掘り出した陣地の近くにある壕からは、子どもの遺骨や歯が見つかりました。 

日比庄太郎と刻まれた物歳の破片。沖縄の戦没者の名簿には該当者はいなかった

「日比庄太郎」さんと刻まれた物差しの破片。沖縄の戦没者名簿に該当者はいなかった

ペンの一部

ペンの一部

そして、この喜屋武の壕で収集活動をしている最中に、なんと震度4の地震に見舞われました。なんか地鳴りのような音がするなぁ、と思っていたら、グラ、グラグラ。穴掘りに邁進する夫は、ほとんど気づいていないようでしたが、私は肝を冷やしました。だって、大きな岩がお互いを微妙に支え合いながら均衡を保っている狭い壕です。どれかが崩れたら、間違いなく生き埋めになります。

地震の後、暢気そうに座っている夫の哲二

地震の後、壕の中で暢気そうに座っている夫の哲二

石油ランプの部品

石油ランプの部品

「お願いだから、落ちて来ないで。崩れないで!」と祈りながら、静まるのを待ちました。揺れたのは数秒でしたが、地鳴りはしばらく続いたので、生きた心地がしません。が、夫は、「ん、なんの音。軍用ジェット機が飛んでいるのかな」と、恍けた顔でこちらを見つめています。あんたの頭の上にある巨岩が、一番危ないのよ!。

IVUSAの学生が掘り出した万年筆

IVUSAの学生が掘り出した万年筆

IVUSAの学生が掘り出した万年筆

IVUSAの学生が掘り出した万年筆

そして、遺族へお返ししたい遺留品を紹介します。今回、素晴らしい働きを見せてくれた学生ボランティア「IVUSA(イビューサ)」のメンバーが掘り出してくれた万年筆です。糸満市真栄里の病院壕で見つけました。「セーラー万年筆」製で、ペン先も金の完全品です。当時、万年筆は高価だったため、氏名が刻まれているケースが多いのですが、残念ながら今回は見当たりませんでした。ただ、削り取ったような痕跡があり、何らかの理由で名前の部分を消したのでしょう。

「鹿島」さんと彫られた印鑑。遺族へお返ししたい

「鹿島」さんと彫られた印鑑。遺族へお返ししたい

 同じく、真栄里の病院壕から、学生ボランティアの「JYMA(ジェーワイエムエー)」が見つけた「鹿島」と刻まれた印鑑です。摩文仁にある平和の礎の検索システムで探したところ、本土から出兵してきた戦没者の中に、12人の鹿島さんがいらっしゃることがわかりました。下記の皆さまです。もし、お心当たりのある方は、このホームページにコメントしてください。何としてでも、お返ししたいと考えています。

「鹿島」さんの印鑑。該当する戦没者は12人いる

「鹿島」さんの印鑑。該当する戦没者は12人いる

「鹿島 秀雄」さん(北海道宗谷支庁)

「鹿島  勇」さん(北海道上川支庁)

「鹿島 源熊」さん(東京都)

「鹿島 貞三」さん(東京都)

「鹿島 壬四郎」さん(新潟県)

「鹿島 繁夫」さん(愛知県)

「鹿島 利直」さん(愛知県)

「鹿島吉之助」さん(兵庫県)

「鹿島 石男」さん(徳島県)

「鹿島昭雄」さん(福岡県)

「鹿島 秀夫」さん(大分県)

「鹿島  堅」さん(鹿児島県)

喜屋武の壕を掘る遺骨収集のメンバーら。手前は麻衣子さん、奥が哲二

喜屋武の壕を掘る遺骨収集のメンバーら。手前は麻衣子さん、奥が哲二

私たちは、返還の活動もすべて無償のボランティアで行っています。もしかしたら、と思う方があれば、HPにコメントしてください。連絡先を書き込んで下さっても、一切公開することはありません。個人のプライバシーは最大限に配慮いたしますので、安心してお問い合わせ下さい。ご連絡をお待ちしています。