みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
山と庭の「麗人」

山と庭の「麗人」

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新緑の森の中に大輪を咲かせるシラネアオイ、深浦町で

新緑の森の中に大輪を咲かせるシラネアオイ、深浦町で

東北地方も雨が降らない日が続きます。白神山地も連日の晴天で、青空に映える山々の緑が、日増しに濃くなってきました。この季節の渓谷には、まだ雪が残っていますが、森の中を歩くと汗ばむほどの陽気です。木漏れ日と新緑の美しい陰影の中に身を置くと、緑のシャワーで身も心も洗われるような気がします。深山の雪解け間もない木陰に、はっとするような大輪の花が揺れていました。シラネアオイです。

濃い紫のシラネアオイの花。微妙な色の違いもある

濃い紫のシラネアオイの花。微妙な色の違いもある

シラネアオイは、北海道から本州北・中部の山地に分布するキンポウゲの仲間で、日本特産種。栃木県と群馬県にまたがる日光・白根山に多く自生することから、和名が「白根葵」と名付けられました。4枚の花弁のように見えるものは、実はがく片。濃い紫から、薄桃色まで微妙に色が違っており、ほの暗い林床で風に揺れる様は、まるで、たおやかな「麗人」が手招きをしているようです。

シラネアオイの群落。春の白神ではよく見られる

シラネアオイの群落。春の白神ではよく見られる

私たちが春、白神の里山に山菜採りに行くと、必ず出会います。が、日光・白根山のある栃木と群馬の両県、お隣の秋田県など多くの地域で、絶滅危惧や準絶滅危惧の指定を受けている貴重な植物のようです。現地では盗掘騒ぎも後を絶たないようで、白神でも今後が心配される植物です。こちらでは現在、主にランの類が不届き者たちからの被害に遭っているそうですが、有名になるとシラネアオイにも危機が訪れるかもしれません。こうして紹介するのも、問題あるかもしれませんが、場所などは一切明かしていませんので、関係者の皆さま、お許しを戴ければ。

満開になったクレマチスの花

満開になったクレマチスの花

我が家の庭のクレマチスも大輪の花をつけました。それを見て夫が、「あれ、シラネアオイに似ているね、同じ種類じゃないか?」と、熱心に写真を撮っています。えー?、そうなの?。クレマチスはツルで伸びているし、葉っぱも違う‥。ん?、待てよ、ぱっと目をひく大きな花、風に揺れる風情。まあ、見た目は似てなくもないか、と調べてみると‥

こちらも大輪のクレマチス。ガンジークリームという品種らしい

こちらも大輪のクレマチス。ガンジークリームという品種らしい

何となんと、クレマチスは、シラネアオイと同じキンポウゲ科に属しているではありませんか。ということは、我が家の庭のクレマチスと、お山のシラネアオイは「親戚」だったのです。深山と庭の違いはあれど、両者とも「麗人」のようなお花。植物の種名や学名にあまり興味のない夫ですが、この共通点には反応したようです。おー、よしよし。たまには正しい時もあるね、絶対にまぐれだけど。

艶やかに庭を彩ります

艶やかに庭を彩ります

我が家のクレマチスは昨年、苗を植えて、冬越しさせたものです。剪定のやり方がわからなくて、苦労しましたが40輪ほど咲いてくれました。これ以外にも色違いを2種類ほど植えていますが、白いガンジークリームという品種が、最も景気よく花を付けます。香りはほとんどしませんが、何よりも見た目が素晴らしいです。

蔓植物ながら大輪の花を咲かすクレマチス

蔓植物ながら大輪の花を咲かすクレマチス

美しい花をありがとう。もっと勉強して、勤勉なガーデナーになるからね。夫も、「俺も頑張る」と張り切っていますが、もっぱら実がなるトマトや果樹、エンドウ豆などにご執心なようで、小まめに肥料を入れたり、せっせと水やりに励んでいたりしています。ほら、ちゃんとお花も愛でるのよ。

ニリンソウも白神の山には多く自生している

ニリンソウも白神の山には多く自生している

シラネアオイの咲くブナ林の足もとには、ニリンソウの群落が広がっていました。目を引く美しい山野草の花がシーズンを終えると、林床は藪になり、非常に歩きづらくなってゆきます。そうすると、山菜のアイコやミズが、グイグイと背を伸ばしてくるのです。伊勢親方や夫が、目の色を変えて、山を彷徨し始める時期となります。

満開の盛りは過ぎたが息が長い庭のサクラソウ

満開の盛りは過ぎたが息が長い庭の芝桜。去年植えたものだ

深山には、ようやく本格的な春が訪れていますが、我が家の庭は初夏の装いを迎えています。さぁ、これから夏にかけて咲く花の苗を植え付けなければなりません。芝桜の花が終わったら、刈り込んでやらなきゃ。そして、花の終わったレンギョウの剪定もしなければ。ほら、貴方が植えたひまわりも、地植えに切り替えるのよ。エンドウ豆の蔓ばかり触っているんじゃない。え、メロンの苗を買いたい?。何を言っとるか、この忙しい時に。もっと身を入れて、働けい!。

去年栽培して収穫したヒマワリの双葉も出てきた

去年栽培して、今年その種を蒔いたヒマワリの双葉も出てきた

 

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コメント

  • おまさ より:

    野山で見る草花の美しさは 格別ですよね。
    風に揺れるシラネアオイの花、うっとりとしてしまいました。
    クレマチス、40輪も咲いたのですか?素晴らしい!
    しかもこんなにきれいな花が咲いて‥。
    苦労した甲斐がありましたね。
    これからもご夫婦力を合わせて素晴らしいお庭を造ってください。
    それにしても羨ましい‥。

    • hamatetsu より:

      おまささま

      今の季節、北国のフィールドは本当に気持ちが良いです。
      でも一週間も経つと、すっかり山の様相が変わっていて、驚かされます。
      シラネアオイも、あっという間に散ってしまいました。
      私たちも、なるべく頻繁に歩きたいのですが、なかなかそうはいかなくて‥。

      クレマチス、おまささまのアドバイスで、無事に立派な花が咲きました。
      他の2株も順調に花をつけています!
      株が死んでしまうのではないかと、剪定はおっかなびっくりでしたが、
      みんな、いい加減な私のハサミにも耐える強い子たちでした。
      本当にありがとうございました。
      また、色々と教えてください!

  • GEN より:

    ご無沙汰しております。
    白神もすっかり初夏の様子。
    こちらは入梅したものの、雨は降らずに
    ムシムシした日々が続いています。

    久しぶりにHPを開いたら、美しいシラネアオイが目に
    飛び込んできて、しばし白神の野草に見とれてました。
    今、子供たちと原色押し花に取り組んでいます。
    といっても私だけが花集めに走り回って、あまり
    若者たちは動きませんが…

    また南国では味わえない白神の自然色をお願いします。

    • hamatetsu より:

      GENさま

      コメントありがとうございます。

      津軽地方は、入梅どころか、連日の上天気。
      少しは降ってくれないと、近所の畑も我が家の庭も、干からびてしまいます。

      とはいえ、白神は今、虫も少なくて、歩くのには本当に気持ちがいい季節です。

      また、一緒に山に行きたいですね。
      お待ちしています。

      子供たちとの原色押し花づくり、面白そう!
      どうやるのかな?
      また教えてくださいね。

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