みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
デブ夫婦のウォーキング日記⑪「ハタハタ来たる、ブリコの不思議」

デブ夫婦のウォーキング日記⑪「ハタハタ来たる、ブリコの不思議」

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ハタハタの卵「ブリコ」

 12月15日の記事です。

 西津軽や秋田沿海の方々が待ち望んでいる時期がやってきました。そうです、ハタハタの季節。繁殖のために沿岸近くに集まり、海底や岩場にある海藻へ大量に卵を産み付けるのです。

 ウキペディアなどによると、分類学上ではスズキ目ワニギス亜目ハタハタ科に属していおり、カサゴ目のカジカの仲間に近いそうです。秋田の県魚で、漢字では「鰰、鱩、雷魚、燭魚」とも表記されています。

夕暮れの中、ハタハタを狙って集まって来たゴメら

 この時期になると、集落内の方々は落ち着きがなくなり、そわそわ、うきうきし始めます。道行く人々が会えば、小声で囁き合ったり、頷きあったり。「そろそろか?」「んにゃ、まだだべ」。そして、強風が吹いて海が荒れ、嵐のような吹雪の中、海の男たちは出漁し、舟に乗れない女性や高齢者も、港の防潮堤などですくい網を振るいます。

海岸に打ち上げられたブリコを狙うゴメ

 そんなハタハタが寄って来るのを真っ先に嗅ぎ付けるのがゴメ(カモメやウミネコ類)。魚が群れていそうな海の上で、虎視眈々と乱舞しています。そして獲物を見つけるや急降下してキャッチ、晩御飯にありつくようです。そんな喧騒が繰り広げられた後、海岸を歩きに行くと、ハタハタの卵「ブリコ」が産み付けられたホンダワラが打ち上げられていました。

 ハタハタの卵「ブリコ」。触感はやや硬くて、表面はつやつやしている。日本海の夕日を浴びて、キラキラと輝いた

 強い波に根本が引きちぎられたようです。こうなると、せっかくの卵も孵ることができません。ゴメの餌食になるか、イタチやテンのおやつになるか、です。実はこのブリコ、地元では希少品の珍味として有名です。一度、食べさせて戴きましたが、「ちょっと‥、濃厚すぎるなぁ」といった味。両親も白身で美味とされているのですが、西日本で生まれ育った私らには、あまり口に合わないようです。

 ところがこのブリコ。海岸に落ちているのを拾って帰ると、なんと密漁になってしまうのです。引っ越してきたばかりの知り合いが、何も知らずに持って帰って、こっぴどく叱られたそうです。ゆえに私らも、とるのは写真だけ。上空を旋回するゴメに睨みつけられながら、ホンダワラに付着した卵塊を撮影。そっと海へ戻してあげました。無事に生まれて、また、帰って来いよ、この浜へ。

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