さて、薪作りの後編です。いよいよこの作業の華、「薪割り」が始まりました。我が家の使っていない駐車場に、先日、玉切りを終えた数百個の「ドンコロ(玉切った原木)」が、ごろごろと転がっています。これを自作の台に載せて、大小2つの斧で次々と割っていきます。
チェーンソーで小割りに切ったばかりで、まだ、ほとんど乾いていない生木です。ひとつの塊がとても重い。それを1個づつ台に持ち上げて載せ、木目を見定めながら、「えいっ」と斧を振り下ろします。力自慢の夫でも、慣れない作業のため、ヘッドが比較的に軽い斧を使用。それでも私には、振り上げるのも大変な重量です。当然、割るのは夫にお任せし、出来た薪を小屋に積み上げる作業を担当します。そして、写真撮影も。
斧が当たった瞬間、パカン、とかズドッ、とか、良い音が響けば割れた証拠。でも木に捻れがあったり、節があったりすると刃が食い込まず、一筋縄では割れません。そして、樹種によって堅い木もあり、今まで割った中ではケヤキやカシなどに苦労したようです。斧でどうしても割れないときは、クサビを打ったり、チェーンソーを使って四苦八苦しながら、頑張ってくれています。
そして、猛烈に仕事が早いのが夫の「マイペース」。こっちの苦労も知らないで、休憩も取らずにドンドん働きます。お茶ぐらい飲みなさい。熱中症になって、脱水状態で死ぬよ!。ほんと、体を動かし始めると、休もうとしないので心配です。付き合っているこっちも辛いし‥。でも、作業中の楽しそうな顔を見ていると、怒る気力も消え失せます。はぁー、もう好きになさい。でも、水分補給はするのよ。
そんな夫ですが、チェーンソーの時と打って変わり、終始笑顔で鼻歌まじりに斧を振るっています。おそらく、一発でパカッと割れるたびに、大好きな肉体労働の実感を味わっているのでしょう。ほんと、単純というか、バカというか‥。でも、汗だくだから冷たいお茶を用意してあげよう、と目を離している隙に、信じられないぐらいに薪が大量に積み上がっているではないですか。えぇー、写真も撮らなきゃいけないし、薪を小屋に積まなきゃいけない。私の仕事は山積み。早くしないと日が暮れちゃう。
さあ、今度はこっちが忙しくなりました。薪を一輪車に載せて、小屋の前に運び込んで積み上げます。崩れてこないように、木の凸凹を上手く組み合わせて、隙間なく詰めるのが腕の見せ所。ひと山積み終えて、とって返すと、さらに薪山が高くなっています。手だけでなく、口先もハイテンションになっている夫。全身をアドレナリンが駆け巡っているのか、「ワハハハハ。それっ、もう一丁」と量産していきます。
ええっ、すごいハイペース。そして、最後に残っていた捻れ木や巨大なドンコロを割り終えてしまうと、斧を片手に物置小屋の方へ。どうしたのか、と思ったら、一昨日使ったチェーンソーの掃除や、刃の目立を始めています。ということは、このうず高い薪を、私一人で積めというのか。鬼‥。助けを請うのも嫌なので、黙々と一輪車で運び、積み上げる作業を繰り返します。
ちっとも薪の山が減っていくように思えず、暑さと疲れに朦朧とした頭の中に、「賽の河原」の地獄絵図が浮かんできました。「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため‥」。そんな言葉が積み上げられた薪の情景に重なります。そして、ヴォルガの舟歌などの「労働歌」が、口をついて出始めたとき、夫が、「腹減ったなぁ。昼飯はナニ」とトボけた顔で出現。ブチきれそうになったのですが、これで休めるので、ホッと一息。私の方が、冷たいお茶をゴクゴクと音を立てて飲んでしまいました。
食事の後、夫に少し手伝わせて、薪の積み上げも終了。これで、冬の備えも万全です。椅子がわりに1個残したドンコロに座って汗を拭っていると、通り掛りの近所のお年寄りたちが、「この暑い中、よく頑張った。お疲れさん、ご苦労さん」と労ってくれました。うん、自分で自分を褒めてあげたいぐらい、と心の中で呟きながら、引き攣った笑顔での会釈しかできません。というのも、猛暑の中の薪積みは、両手に鉄アレイを持ってサウナでスクワット運動を繰り返すぐらいの重労働で、心底バテてしまったからです。よし、来年からは、夫一人にすべてやってもらうことにします。終わったらビール飲み放題よ。それでいいわね!。( `・ω・) ウーム…、なぜか嬉しそうな夫に、余計腹が立ってきました。
浜田ご夫妻の微笑ましいやり取りが目に浮かびます。
これで今年の冬も大丈夫ですね。
薪を節約するためにも、冬場の那覇滞在を1ヶ月伸ばしてください(笑)