みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
2019年遺骨収集22日目 74年の歳月を経て

2019年遺骨収集22日目 74年の歳月を経て

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岩の下敷きになった頭蓋骨

ここ最近、取り組んでいた壕内の積もりに積もったゴミの下から、ついに遺骨が出土しました。大きな岩の下に頭蓋骨が下敷きになっています。慎重に掘り進め、ようやく埋もれている全貌が見え始めました。頭骨、下腕、骨盤の一部、大腿骨の骨頭などが見え始めています。

頭骨以外にも、骨盤の一部、上腕、下腕、大腿骨の骨頭などが露出し始めた

頑張り続けた甲斐がありました。学生や社会人の皆さまと数年にわたって追い続けた成果です。狭い隙間に頭を突っ込んで掘り続けていた哲二が、「おい、見えたぞ!」と叫び、その一部が小さなトンネル越しに確認できたとき、不覚にも涙がこぼれてしまいました。

 ゴミの壁の手前で土砂を除去する筆者

ただ、この場所は、不法投棄が激しく、人目につかない穴という穴にゴミが投げ込まれています。そして、壕内にはホームレスが生活していた痕跡が残っており、それを片付けるだけでも一年近くかかってしまいました。

壕内に散乱したビール瓶などのゴミ

遺骨の上に積もったゴミや土は約3㍍。生活ごみや農業関連の産廃などが、山積みになっています。遺骨が見つかって喜ばしい限りですが、それらの除去や処理を考えると、まだまだ前途は多難です。

沖縄戦で戦没した兵士たちの写真

これから遺留品の捜索と共に、ご遺族の元へ届ける手続きに向けての準備と完全な発掘作業に臨みます。作業で気を付けるのは、データの抽出のかく乱を避けるために、素手では触らない、マスク着用で臨む、他の場所から出た遺骨と混ぜない、など、行政機関の関係者から指導された手順をきちんと順守しています。

骨盤に張り付いたように食い込む鉄の破片。銃弾なのか、それとも榴弾によるものなのか‥

すべてを掘り出せて、手続きが終わったら、また報告いたします。学生が卒論の提出や試験などのために、まだ来沖していませんが、幸先の良いスタートを切れたようです。二月の半ばには、元気な顔を次々と見せてくれるでしょう。そして、遺骨の発見に尽力して下さった社会人メンバーも再訪されます。準備は整いました。

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コメント

  • 匿名 より:

    久しぶりにご遺骨収容のページを拝見し、襟を正されました。6年ほど前に沖縄でJYMAの一員として浜田さんとご一緒に収容作業に従事した者です。社会人になってご遺骨収容から遠のいてしまい、貢献出来ていないことを申し訳なく思っております。また必ず沖縄でご一緒できることを望みます。来年のJYMAの自主派遣には参加されますでしょうか?

    • hamatetsu より:

      元JYMAに所属された匿名さま

      コメントありがとうございます。
      残念ながら、最近、JYMAから声が掛からなくなりました。
      IVUSAも同じです。
      理由は判りませんが、ここ数年は、浜田夫婦を頼って来る少数の学生や社会人と実施しています。

      IVUSAは数年前、「遺骨収集するならば戦争に行く覚悟を持って参加しなさい」と事務局が訓示したと、学生から聞きました。
      アフガンやルワンダなどの戦場での仕事を経験した私は、「二度と戦争を起こさないためにも、遺骨や遺留品の語る戦争の実態を知ってほしい」と願って活動しています。
      ゆえに、この事務局の発言の真意が理解できなくて、有志の学生たちに「君たちの組織と活動なので学生の想いを優先させた方が良い。ゆえに、発言の意味を問いただしてみたら」と助言をしたら、二度と連絡がなくなりました。
      私たち夫婦の頭がおかしくなった、とされているようです。
      戦没者を想い、ご遺族に寄り添う活動をしたい、という気持ちや趣旨は変わらないと思いますが、残念な事です。

      遺骨収集をする現場は、沖縄戦を体験された方々の土地です。
      ほとんどが戦争で肉親や親類、住み慣れた家を失っています。
      戦争に対する嫌悪感は、ヤマトンチュの私たち以上です。
      そのウチナーの皆さまの前で、「戦争に行く覚悟」発言が聞こえたら、二度とその場所には立ち入らせてもらえないでしょう。
      それもあって、助言したのですが‥

      ただ、JYMAの学生さんたちと、そんなやりとりはありません。
      いつも一生懸命に、心を込めて活動されているのを見ています。
      とても頼もしい存在だと、リスペクトして来たつもりです。
      ただ、連絡がなくなったのが不可解です。
      私たちも、その理由は測りかねているところです。

      ただ、この活動は戦没者とそのご遺族、生き残りの兵士の皆さまのために実施しています。
      自らの土地が戦場になってしまった、沖縄の方々のためでもあります。
      ゆえに、毎度の事ながら、夫婦二人になっても続けて行く所存です。
      元JYの匿名さまも、私たちと活動を共にしたいならば訪ねて来てください。
      1月上旬~3月半ばぐらいまでは、沖縄に滞在しています。
      いつでもお待ちしています。

      浜田夫婦

      • 匿名 より:

        浜田ご夫妻さま

        お忙しい中お返事ありがとうございました。上記でコメントを書き込んだ元JYMAのメンバーです。お返事が遅くなってしまい申し訳ございません。私はJYMAの運営側ではなかったので詳細は分かりかねますが、誰が何と言っても浜田ご夫妻のご活躍はご英霊に対しても日本国の歴史に対しても恥じない素晴らしい行いです。全ての先人に対して胸を張れる清い行いだと信じますし、日本国が日本国である為の行いだと心の底から感謝しております。戦後体制の荒廃の中で、かろうじで日本国が日本国であり続けているのは、浜田ご夫妻のような市井の方々がいらっしゃるからです。
        社会人になり仕事に拘束され、JYMAが実施されている沖縄自主派遣にも中々参加出来ず、また国吉さんもご引退された今、ご一緒して汗をかける方がいらっしゃればと思っておりました。
        また必ずご一緒したいです。その時はご迷惑をおかけしてしまうと思いますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。こちらは東京におりますが、お迎えしたご英霊に千鳥ヶ淵戦没者墓苑にてご奉仕させて戴くことで、浜田ご夫妻のお気持ちに連帯させて戴きたいと存じます。
        季節柄どうぞご自愛くださいませ。ありがとうございました。

        • hamatetsu より:

          元JYMAの匿名さま

          ありがとうございます。
          私らの活動は、だいそれたものではものではございません。
          戦没者とそのご遺族、生き残りの兵士の方々のために、細々と続けているだけです。
          そして、あの時代に何があったのか。
          取り組み中に出会った生き残りの兵士の皆さまが訴える、二度と悲惨な戦争を起こしてはならない、との切なる声と、70余年が過ぎ去った今でも、戦地から還って来ない家族を待ち続けるご遺族の想いを、より多くの方々に知ってもらえれば、と願っているだけです。
          私たちよりも、活動に参加して下さる学生さんや社会人の皆さまの方が、どれほど自分たち時間や私財を犠牲に頑張ってくれていることか。
          ほんとうに頭が下がります。
          元JYMAの匿名さまも、時間が許されるならば、また沖縄を訪ねてきてください。
          まだまだ多くの方々が、洞窟の地中や巨岩の下、誰も踏み入ることのないジャングル、原野に眠られています。
          故郷へ帰りたかった想いを胸に抱いたままで。
          ぜひ、お待ちしていますので、いつでもお声がけください。
          来年も1月から活動を開始します。
          少数ながら、学生さんや社会人の皆さまも、参加して下さるそうです。
          ご一緒、できることを願って。

  • 大和撫子 より:

    遺骨全て日本に帰還させて下さい!日本国民に知らせてあげてみんなで長いこと放置をお詫びして末永く供養して生きましょう。感謝と崇拝と懺悔を肝に刻んで。。

    • hamatetsu より:

      仰る通り、すべての方々にお帰り願いたいですね。
      私たちに出来ることで精一杯、尽くしたいと思います。
      コメントありがとうございました。

      浜田夫婦

  • 匿名 より:

    遺骨全て日本に帰還させて下さい!日本国民に知らせてあげてみんなで長いこと放置をお詫びして末永く供養して生きましょう。感謝と崇拝と懺悔を肝に刻んで。。

  • 匿名 より:

    なんのためにやってんですか?

  • 土屋 より:

    安全に留意して頑張ってください!
    遠巻きながら応援しています!

  • 平井亮 より:

    お疲れ様です。現代のゴミを撤去のちの当時地盤までの長い長い道のり、本当にお疲れ様です。そして皆様の無事を祈っております。

    • hamatetsu より:

      ありがとうございます。もし、自分の父や祖父、曽祖父がゴミの下に埋もれたまま、74年間も放置されていると知ったら‥。日本人として今、何をするべきかが問われているような想いで取り組んでいます。と、偉そう過ぎますね(笑)。本音を言えば、発掘できて嬉しいです。ようやく出会え、もしかしたら故郷へお帰り頂けるかもしれないですから。遺留品の捜索に全力を注ぎます。

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