白神山地に今年も、紅葉のシーズンが到来しました。南海上にある台風の存在が気になりますが、日本海側は避けて進む可能性が高く、強い雨や風がなければ、とても楽しめそうです。昨日、見に行くと、向白神岳は全山が紅葉し、頂上付近はもう終焉を迎えています。そして、赤と黄のコントラストに彩られた山のラインが、どんどん麓に移りつつあるようです。
今の盛りは、繁らせた葉をまっ黄色に染めあげたカツラ。何本もの幹が一塊になっている重厚な樹木で、春先には枝に赤い花を咲かせます。そのカツラが立ち並ぶ、麓の森を抜けて、深浦町の「マタギ」伊勢勇一親方と、紅葉シーズンのもう一つの華、ナメコ採りに行きました。
まだ、緑が混じるブナの木が立ち並ぶ台地が、親方のナメコの採集場。約50~60度はある急斜面を、下生えの草木を手で掴みながら、反動をつけて登って行きます。ほとんど垂直の壁に近いような斜面ですが、親方がクマの巻狩りの時に、よく上った場所だと言います。
そんな急斜面を150㍍ほど上がったところが、なだらかな傾斜の台地になっており、そこが世界自然遺産「白神山地」が誇るブナの原生林です。コア地域やバッファゾーンとして、保存されている場所以外にも、こんな素晴らしいブナの森が、あちこちに点在しています。
ナメコは、こうしたブナ林の中にある倒木や落ちた枝に、よく発生します。スーパーマーケットなどで売られている小指の先程の小さな物ではなく、傘が開いたら、シイタケのようなサイズになる天然物。味も香りも、スーパーの養殖ものとは、比べ物にならないぐらい濃厚で、破格の美味しさです。この時期、麓のキノコ好きが目の色を変えて追いかける食菌と言われています。
遊んでばかりいるように見える私たちですが、今回のナメコ狩りは、今月末から、白神を訪ねて下さる友人たちを、山へ案内する前の「下見」を兼ねています。まさに、遠路遥々来てくれる、友であるお客さんを接待する重要なミッションなのです。最近は、小学校や高校などで講演を開いたり、子供たちのフィールド授業に同行したりすることが増え、親方も私らも超多忙な日々を送っています。
薪にする山の木の伐り出す作業を放置したまま、キノコ採りへ出てきてしまったので、山積みに残っている仕事の事を思うと、気が重いどころか、どこかへ逃げ出したくなります。でも、この時期、ナメコを採りに行かずして、何のための白神暮らしでしょうか。親方共々、後先の事は何も考えないことにすると、自然と足は山へ向いてしまいます(笑)。
「おー、今年は異常な年だ。まだ、台風が来ているもんなぁ。この町でも、大きな災害が起こらなければいいが‥」と、親方。先の台風で、伊豆大島で発生した土石流被害のような天災が、深浦にも飛び火することを心配されています。確かに、紅葉も始まったかと思えば、あっという間に麓近くまで、進んできています。スタートは例年並みだったのですが、このままだと今月中には見頃を終えてしまうかも知れません。
訪ねて来て下さる皆さま。もしかしたら、紅葉の一番のピークを外してしまったかも知れません。時期を読み違えた事、心よりお詫びいたします。でも、キノコは大丈夫だと思います。ナメコはもしかしたら、豊作かも。美味しいナメコのお鍋と、サプライズの素材を用意してお待ちしていますので、道中無事にお越しください。
この日の収穫は、ナメコがコンビニのビニール袋を満杯にして四袋。ムキタケ一袋。ナラタケ一袋でした。来られる皆さまのために、よーく水洗いして、マイナス60度の冷凍庫で凍らせてあります。これで保存すると、3年過ぎても新鮮な味を楽しめます。当然、日本海のお魚も用意してありますよ。再会できるのが、心より楽しみです。
きのこ、て、カッターで刈り取るのですね!
小さい粒がぎゅーと集まって、めっちゃ可愛らしいですね!