屋久島との交流2014 第二弾「かんじきウォークとロボットカメラ」 ツイート 新雪が降り積もったブナの自然林の中を歩く子どもたち=写真はいずれも深浦町の十二湖の森で 深浦での二日目。屋久島の小学生と、深浦の子どもたちが交流する日がやってきました。舞台は、白神山地の裾野に広がる「十二湖の森」。 まず、十二湖の森を一望できる高台で記念撮影 世界自然遺産地域内の厳冬期は、数メートル規模で雪が積もるので近づくのは困難です。でも、この森は、観光地でありながらも、ブナなどの自然林が広がっています。 白神の3人娘は、屋久島で去年、お世話になった牧さんと ゆえに、登山になじみのないお客さんでも、世界遺産の森の雰囲気を味わってもらえる場所とされているのです。癒しの効果がある「森林セラピー基地」として、昨年、専門家からの認定も受けました。 厳冬期の鶏頭場の池。一部が結氷している 西田さん(左端)のガイドで、新雪の道をスタート 真っ白な粉雪が、新雪として降り積もる朝、深浦町の「マタギ」・伊勢勇一親方と白神ガイドの西田秀一さんの案内で、全員が「カンジキ」を装着して歩き始めました。8人の屋久島の子どもたちを先頭に。 細かな雪が静かに降り続く十二湖の森 雪の中で初めてのカンジキ体験。歩きづらい・・ 深浦からは、町立いわさき小学校の6年生ら10人のほか、町立岩崎中学校、青森県立木造高校深浦校舎の生徒、小学校の先生、保護者らが参加。総勢約40名が、水墨画のような雪景色の遊歩道を、およそ2キロにわたって歩きます。 ブナの自然林の中を一列になって歩く子どもたち 息が切れるけど、楽しいね。うん、池の氷の上に足跡がついているよ カンジキは雪輪(ゆきわ)とも呼ばれ、クロモジなどの枝を素材に曲げて作ります。足を載せてひもで縛ると、雪の上でも沈まずに歩ける先人の知恵。古くは青森県八戸市の縄文遺跡からも、似たような構造の道具が出土しているそうです。 カンジキのつけ方を伊勢親方から学ぶ ただ、雪国の伝統的な文化でありながら、ほとんどの白神の子どもたちが、装着したことがありません。普段は、除雪した道や雪が積もっていない場所しか歩かないため、触ったこともない子ばかりです。ちゃんと歩けるのか、心配。 新雪の中に倒れこんで、感触を確かめる屋久島っ子 深浦っ子も負けてはいません この日の朝の気温は、氷点下5度。12月末としては冷え込みましたが、子どもたちは元気いっぱいです。頭上を覆う木々の枝や幹に雪が降り積もり、真っ白なドームのようになった林道を歩きます。 雪が降り積もったブナの自然林の中で観察会 「すごい。何もかもが真っ白だ」。 「池に氷が張ってるよ。あの上を歩いてみたいな」。 屋久島っ子から、次々と歓声があがります。 未明から降り積もった雪には、人の足跡や車のタイヤ痕がありません。 まさに、新雪のバージンロードです。 マタギの伊勢親方(左端)と雪に残った動物の足跡を見る 途中、動物の足跡が道を横切っていました。 「これは、テンだ。今朝、歩いた跡だね」と、伊勢親方。 「たぶん、ウサギを追って来たのかな」と、教えて下さいます。 新雪の積もる遊歩道に現れたホンドテン 雪の上を駆け抜けるトウホクノウサギ 「屋久島にテンはいないけど、どんな動物なの」との質問が屋久島っ子から。 すぐさま白神の中学生が、「鳥やウサギを食べるよ」。 「体に真っ黄色の毛が生えている」と回答。 笑顔の高校生が、「夏と冬で毛変わりする哺乳類よ。冬眠しないから、真冬でもロボットカメラによく写るのよ」と解説してくれました。 マスコミの取材を受ける深浦っ子 白神の子どもは雪は慣れっこ。でも、カンジキは・・ ガイドの西田さんからは、ブナの樹齢や木の上に生えるヤドリギなどのお話が。屋久島っ子たちは、「山の木に、葉っぱが一枚もないのが不思議」と、真冬の神秘な森の光景に魅せられた様子でした。 ガイドの西田さんの話を聞く 律子さんから森の説明を聞く そして、十二湖の景観を代表する「青池」に到着。そこで、白神の参加者から、驚きの声があがりました。いつも見慣れている美しい色彩と違い、薄墨を流し込んだような地味な色の黒っぽい水面だったからです。 青池が青くなかったよ!。驚きの光景が・・ 「こんな色の青池、初めて見た」。 「十二湖の自然って、謎だらけだな」。 「仲間たちに、冬の青池へ行った、と自慢できる」。 参加した大人も子ども、興奮した様子で声をあげています。 この森は、冬季は閉鎖されており、一般の人は入れない場所だからです。 カンジキにも慣れて、急な坂や階段もヘッチャラ 厳冬期の青池広場は神秘的な風景だった 青池を背に記念撮影をした後、青池広場から続くブナの自然林を歩いて帰途につきます。約2時間の行程でしたが、慣れないカンジキに悪戦苦闘しながらも、全員が最後まで頑張りました。お疲れさま。 お兄さんたちに交ざって、いわ小の2年生・文哉くん(手前)も完走。雪国っ子は強い! 新雪のバージンロードを歩く子どもたち フィールドワークの最後は、アオーネの敷地内に仕掛けてあるロボットカメラの見学。今回の交流事業のために、約10日前から、地元の高校生らが設置しました。 ロボットカメラの説明をする高校生たち アオーネに仕掛けたロボットカメラの前に現れたウサギ 俊敏な動きをするホンドギツネ 何が写っているのか、子どもたちは興味深々。 高校生が操作すると、10日間の間にレンズの前を駆け抜けた動物たちがモニターへ映し出されました。 「きれい・・」 「すごく、可愛い」。 ウサギ、キツネ、テンが、雪の上で躍動しています。 「白神って、こんなに野生動物がいるの」と、顔を寄せて見入っていました。 遊歩道を走り去るトウホクノウサギ ロボットカメラで撮影された動物の説明を聞く ロボットカメラを窺うホンドテン お昼ご飯を食べた後、地元の名所でもある不老ふ死温泉で入浴体験。ちょっと寒いけど、露天風呂にもチャレンジしました。赤茶色のお湯の色に驚きましたが、カンジキ・ウォークで冷え切った身体が芯から温められたそうです。 休憩のたびに新雪へダイブ。気持ちいい! 雪にまみれて遊ぶ屋久島っ子。風邪引くよ この後は、いよいよ研究発表会。その様子は次回に続きます。 青池のテラスで、子どもたちが全員で記念撮影 Post Views: 178 « 屋久島との交流2014 第一弾「雪国へ到着」 屋久島との交流2014 第三弾「交流会とソリ遊び」 »
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