青森県の地元紙・東奥日報に掲載されました。下記URLをクリックして下さい。
http://www.47news.jp/localnews/aomori/2013/12/post_20131203154559.html
さあ、いよいよ、今回の交流プログラムの中核、屋久島の子供たちとの交流会です。まず最初は、小学校と高校を訪ねて、皆さまの前で発表いたします。このために三人は、雨の日も雪の日も、一言の小言も言わず頑張ってきました。さぁ、行くぞ!。
最初は、白神の子供たちが、一年間観察を続けてきた絶滅が心配される水鳥「シノリガモ」の調査結果をまとめて報告します。その舞台となったのは、屋久島町立八幡小学校(玉泉眞二校長)と鹿児島県立屋久島高等学校(藤﨑恭一校長)です。
我が方の研究発表は、一人約10分、三人で30分の大作です。三人娘が約1年間にわたって、シノリガモの調査の度に書き溜めた感想や報告が、A4の用紙で約150枚残されています。彼女たちが実際に、見た事、聞いた事、感じた事が素直な文章で書きつづられており、これをコンパクトにまとめたものが、今回の発表内容です。
その内訳は、「シノリガモとは」「観察方法と結果について」「考察とまとめ」を役割分担してのぞみました。子供たちの発表後に、白神山地の概要や、野生生物などの紹介を織り交ぜながら、スライドで250~270枚の写真を見せる、45分から60分の講演です。小学生用と高校生用、二つのバージョンで練習を重ねてきたので、準備は万端。でも、やっぱり本番前は、緊張します。
小学校では体育館で、3年生以上の児童の前で発表。静まり返ったフロアーに、三人娘のはつらつとした声が響き渡ります。児童も教職員の方々も、咳払いひとつしないで聞いて下さいます。そして高校では、「環境コース」という屋久島地域の自然や歴史、文化を学ぶ専門科のお兄さん、お姉さんに聞いていただきました。
大勢の聴衆を前にしたプレゼンテーションはまったく初めてです。小学生の発表を真剣なまなざしで見つめて下さった高校生とその教職員の方々に深く御礼を申し上げます。そして、取材するために訪れたテレビや新聞の報道陣が集まる中、臆することなく、堂々と発表ができた三人娘。その結果を、皆さまから大絶賛されました。
よくやった、えらいぞ、三人娘。小学校での発表の様子は、インターネットのテレビ電話で、母校のいわさき小学校へも中継されました。同級生の仲間たちも、見てくれたようです。「いわさき小の代表だもん。みんなの分も頑張るよ」
そして、屋久島側からは、ヤクタネゴヨウという絶滅危惧のマツの保護活動や、ヤクシカの生息密度調査の報告などがありました。また、屋久島の世界遺産地域である「西部林道」を、白神と屋久島両地域の小学生たちが一緒に歩いて観察し、親睦を深めました。
西部林道は、海岸線から山頂までが世界自然遺産になっている、屋久島唯一の地域です。海岸に標高1323メートルの国割岳がそそり立ち、急峻な斜面に亜熱帯の植物から亜高山帯の屋久杉まで、多様な植生の垂直分布が見られるます。これは、世界でも屋久島だけに見られる特異な自然環境だと言われています。
ここを案内して下さったのは、屋久島生物多様性保全協議会の手塚賢至会長。屋久島と種子島にしかない五葉松の一種、ヤクタネゴヨウの調査・保護活動や、青少年の環境教育などに携わっていらっしゃいます。世界遺産の屋久島の自然を知る第一人者でもあります。
が、風貌が、なぜか「白神の仙人」と呼ばれる深浦町のガイドさんに似ていたので、三人娘は、「他人とは思えない」と大喜び。手塚さんにまとわりつき、質問攻めにしています。一方の手塚さんも、孫を見つめるような優しい眼差しで、白神からの幼いお客を歓待して下さいます。
この森では、白神では見られない植物や生き物たちとも数多く出会いました。一本の木がジャングルのように茂る「ガジュマル」に触れてみたり、名前が三人に大受けした「ヤクシマオナガカエデ」の落ち葉を観察したりしました。これは、同じ「カエデ」の名を持つ、チームのリーダー的存在のかえでちゃんが、その名前を聞いて激しく反応したからです。「あのね、オナガだから。オナラ・カエデじゃないからね!」(笑)
そして、このガジュマル。別名は、「絞め殺しの木」と呼ばれ、屋久島でも最大級の規模とされています。元々自生していたアコウの木を取り込んでしまったそうです。確かに、絞め殺したような痕跡があり、見たこともない不思議な形の巨樹を前に、驚きを隠せない様子。「すごい‥。白神にはないよねぇ」
そして、生い茂る木々の下に、普通に野生のヤクシカ、ヤクザルがいます。すごく至近距離。こちらの存在を気にしないように餌を食んでいます。「もしかしたら、撫でられる?」、「ダメよ。可愛く見えても野生動物だから」。様々な出会いが、三人を急速に成長させているようです。
白神の森をマタギの伊勢勇一親方と歩いている子供たち。南国の森の教室で、新しい先生から習った事柄を、とても新鮮に感じているようです。さぁ、どんな発見があったかな。屋久島の森は、白神と、どう違っていたのかな。しっかり、見て帰って、お友達や地域の人たちに報告しようね。まだまだ、交流と観察会は続くよ(つづく)。
深浦と屋久島の子どもたちへ。
みんな生き生きとした表情ですばらしく、すがすがしく見させていただきました。
これからも交流を続けて、大切な宝を守り伝えてください。
橋渡しのお二人と家族のみなさん、ご苦労さまです。特に屋久島のカメラマンさんも年を取りましたな。私も人のことはいえませんが、まだ、会社のカゴの鳥です。
これからも活動を続けてください。陰ながら応援しています。