みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
子どもたちによるシノリガモ観察③

子どもたちによるシノリガモ観察③

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青森の県紙・東奥日報で紹介されました。下記URLをクリックしてください。

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2013/20130802140138.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f

8月8日午後6時40分すぎに、青森朝日放送の「スーパーJチャンネル」で放映されました。

カメラを構える藤岡アナウンサーとブラインドテント内で観察する子どもたち=深浦町で

シノリガモを撮影する藤岡アナウンサーとブラインドテント内で観察する子どもたち=深浦町で

地元の子どもたちによるシノリガモの観察が続いています。その様子が、8月8日に青森朝日放送の夕方6時すぎから始まる「スーパーJチャンネル」で、ニュースとして放映されました。藤岡勇貴アナウンサーが取材に訪れ、自ら撮影もこなして、約5~6分間の番組を作って下さいました。

ブラインドテントの前からも撮影

ブラインドテントに密着して撮影

ヒナが母鳥と変わらない大きさに成長しているため、夫が1ヶ月以上前に撮影したヨチヨチ歩きの親子の写真と共に生態などを詳しく紹介。人当りが柔らかくて、好青年の藤岡アナウンサーのインタビューに、子どもたちはとてもお利口にお答え出来たのですが、黒い鉢巻にサングラスをかけて語る夫の姿が怪しくて、番組に水を差したのではないかと心配しています(笑)。

夕暮れが迫り、川面が黄金色に染まる中、岩の上で休む親子

夕暮れが迫り、川面が黄金色に染まる中、岩の上で休むシノリガモの親子

さて、しばらく報告できていなかったシノリガモの近況です。一部のヒナはグイグイと成長しており、子育ても順調に進んでいます。しかし、非常に悲しい出来事もありました。2組のグループのうち、6羽のヒナを連れた親鳥が猛禽のハヤブサに襲われたらしく、行方不明になってしまいました。そして、親を失った6羽のヒナたちも、カモメやウミネコなどに次々と襲われ、全滅したようです。

岩の上で休む時も周囲を警戒するお母さん。その羽根の下に隠れる6羽のヒナたち

岩の上で休む時も周囲を警戒するお母さん。その羽根の下に隠れる6羽のヒナたち

一度は、観察する子どもたちの目の前で、ウミネコがヒナを咥えて飛び去ってしまいました。「あー!」、「コラー」という、子どもたちの叫び声も届きません。まさに一瞬の出来事、弱肉強食の残酷なシーンです。「浜田さぁーん。ヒナが連れてゆかれたよ!。どうなるの‥」。「くちばしの横から、ヒナの白い綿毛が見えていたよ」。一同が、青ざめた顔で唇を震わせています。

羽を広げて渓流の岩場を上るお母さん。ハヤブサに襲われてしまったようだ

羽を広げて渓流の岩場を上るお母さん。ハヤブサに襲われてしまったようだ

昨年も、1組の親子がカラスなどに襲われて全滅しています。毎年繰り返される厳しい野生の現実。自然の摂理とはいえ、子どもたちにはあまり見せたくない場面でした。でも、それを直視できないと、生き物の観察は続けられません。がっくりと肩を落としながら、その日の観察日記を書く子どもたちと、残りの親子の無事を祈らずにはいられませんでした。

この群れが全滅してしまった

この群れが全滅してしまった

さて、シノリガモが子育てする川は、渓流に住むイワナやアユが釣れるポイントとして、地元だけでなく首都圏からも大勢の釣り客が訪れます。7月から8月にかけて、週末になると他府県ナンバーの4輪駆動車やレンタカーを川沿いに停めて、釣りを楽しまれています。

川の中に立ち入って魚を獲る釣り師

川の中に立ち入って魚を獲る釣り師

この釣り師たちは川に立ち入って竿を振るため、子育て中のシノリガモには重大な脅威になります。昨年も、アユ釣り師に追われたヒナたちが、時期尚早に巣立ってしまいました。まだ完全に飛べる状態ではなかったので、とても心配です。今年も数多くの方々が訪れ、川に立ち入られます。理解がある方やマナーの良い方は、こちらの趣旨やシノリガモの貴重さに共感していただけるようで、早々に別の川へ移動して下さいます。

子どもたちと看板を立てる

子どもたちとシノリガモの保護願いとマナー向上の看板を立てた

残念ながら理解が得られない時は、強引に川面へ降りて竿を振り、川の中を歩かれます。ある時は、シノリガモを大切に思う地域の人とトラブルになりかけ、駐在さんの手を煩わせたこともありました。そのため、青森県や深浦町などと協議して、町と自治会と共同で看板を設置し、シノリガモの繁殖行動を保護するためのお願いを訴えることになりました。看板は、釣り師がアプローチする場所に2箇所設置。これを地元紙の東奥日報がニュースとして、朝刊の第4社会面で取り上げて頂きました。

岩の上に上がると親子が揃って羽繕い

岩の上に上がると親子が揃って羽繕い

それでも、立ち入る人は後を断ちません。国や県が管理する河川でのレジャーを私たちが規制することはできませんので、来られる方々に看板を見てもらい、声を掛けてお願いし続けています。にもかかわらず、個人の土地に無断で駐車し、食べた弁当のケースや飲料の缶、針や鉛のオモリがついたテグスを捨ててゆく、マナー無き釣り師も数多く、不安と不満は募る一方です。

看板設置の様子を東奥日報の記者さんが取材してくれた

看板設置の様子を東奥日報の本間記者が取材してくれた

漁業権のある管理釣り場ではないので、マナーの悪い方を規制する術はありません。どうしたら良いか、頭を抱え込んでいます。できれば、国や県などの行政が腰を上げて、保護活動のお手伝いをしてくれたら、もう少し打開策も見えてくるような気がするのですが‥。本来、この種を絶滅危惧に指定しているのは、環境省であり、県なのですから。

ヒナを引き連れたお母さん。今はもういない‥

ヒナを引き連れたお母さん。今はもう、この親子を見ることはできない

ただ県は、シノリガモの繁殖活動を守るために、違う形で柔軟な対応をして下さっています。それは、この川で行われている河川改修工事の中断です。管轄の鰺ヶ沢道路河川事業所では、40~50年前に作られた砂防堰堤に切れ込みを入れて、魚道を整備する事業を、昨年から2年計画で実施してきました。それが、シノリガモの繁殖を正式に確認してからは、繁殖期である3月末から9月末まで、工事をストップするなど、工期や工法を変える配慮をして下さっているのです。

魚道整備の工事が予定されている堰堤

スリットが入る前の堰堤。魚道を整備など、環境に配慮した工事を進める予定

昭和37年に完成した堰堤。土砂が堆積して満杯になっている

完成時期は昭和37年。土砂が堆積して満杯になり、堰堤としての機能を果たしていない

つまり、繁殖期に被さらない10月から翌年の3月までに、川に溜まった土砂を運び出し、堰堤に切れ込みを入れる作業を突貫されています。工事を請け負っているのは地元で土建業を営む「熊谷組」さん。現場付近は、12月には雪が積もり始めるので、手間は取られるし、危険が伴うので、たいへんなご負担をお掛けしています。

スリットを入れられて完成したかに見える堰堤。だが、老朽化が進んでいたため、補強工事が必要になった

スリットを入れられて完成したかに見える堰堤。だが、老朽化が進んでいたため、補強工事が必要になった

最も積雪が多くなる1月~3月は、半日は雪かきをして、残りの時間で作業を進める、とした工程だそうです。それでも、嫌な顔ひとつせず、貴重な生き物のために、全面的な協力を頂いています。下流に土砂が流れないように、フィルターを設置して、川が濁らないような工夫もして下さっているそうです。

新緑が美しい白神山地を流れる川に作られている堰堤

新緑が美しい白神山地の川に作られている砂防堰堤。険しい山々から絶えず土砂が流れ込む

こうして、繁殖中のシノリガモ親子と、その観察を続ける子どもたちは、皆さまの協力を得ながら成長を続けています。8月末から9月にかけて、ヒナも巣立ちのシーズンを迎えます。その時まで、行政、工事関係者、地元の方々らとガッチリとスクラムを組んで、調査し、見守ってゆきます。皆さまのご支援とご協力をお願いいたします。

岩の上で羽ばたくお母さん

岩の上で羽ばたくお母さん

青森の県紙・東奥日報で紹介されました。下記URLをクリックしてください。

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2013/20130802140138.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f

8月8日午後6時40分すぎに、青森朝日放送の「スーパーJチャンネル」で放映されました。

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コメント

  • つっちー より:

    自然をフィールドにしたリアルな授業ですね。
    深浦っ子も多くを勉強して巣立つことと思います。
    すばらしい!楽しみです!
    一人娘を持つ「スーパー親ばか」親父より

    • hamatetsu より:

      つっちーさま

      子どもたちとの観察会を始めて、ほぼ1年が過ぎました。
      当初は、どうなることかと思ったこともありましたが、最近の3人の成長ぶりには驚かされています。
      やはり子どもは、素晴らしい可能性を秘めていますね。
      伸びしろがある存在が羨ましいです。
      いっぱい勉強して体験して、明るい未来を切り開いてもらいたいものです。

      一方で、指導している我が身といえば、すっかり伸びきったパンツのゴムのような不甲斐なき立場。
      子どもたちに負けないよう、緩んだ身体に鞭打ち、惚けた脳に劇薬を注入して、追走してゆきます。
      応援、よろしくお願いします。

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