朝日新聞デジタルにも、掲載されています。
下記のURLをクリックしてください。
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201307170744.html
3人娘の活動に感化されるように、彼女らが通う深浦町立いわさき小学校の同級生たちも、シノリガモの調査、観察を手伝ってくれることになりました。6年生の総合学習の一環として、毎月1回、クラス全員の11人が、子育ての様子を見に来てくれます。授業を開始した4月には、白神山地に棲息する野生動物たちの写真をスライドショーで見て学び。5月からはフィールドでの観察会に参加中です。
普段、気に掛けることもなかった身近な場所で、絶滅が心配される希少種が子育てをしていることに、一同が驚いた様子。誰もがシノリガモの存在を知りませんでした。でも、観察会が始まると、元気一杯の深浦っ子らしく、双眼鏡を奪い合いような積極さで、鳥の姿を追い続けています。
「あ、見えた!」。
「えっ、どこ!、どこ!」。
「あの岩の横。ほら草が生えた所」。
「ほんとだァ!!!」
真夏のブラインド・テント内は、蒸し風呂のようになります。それでも、皆、目を輝かせながら、川面を見つめ、鳥の姿を追い続けます。額には、珠のような汗。その子どもたちの直向きな想いや行動が、夏の暑さだけではない熱気をテント内にムンムンこもらせています。
梅雨時の大雨で、増水した川で流されながらも懸命に餌をとるヒナの様子を見た時です。「こんな激流の中、大丈夫なの‥」と心配する声も。でも、自然の中で大人になるということは、過酷な環境に耐え、馴染みながら暮らすことよ、との律子のお話に、皆が大きく頷きます。可愛いヒナたちに、すっかり情が移ったようで、祈るような目で、その姿を見続けています。
さて、3人娘は6年生全員の観察会の日、地元の報道関係者の取材を受けていました。新聞記者から直に話を聞かれるのは初めてです。
シノリガモのことをどう思いますか、との問い掛けに、「こんな貴重な鳥が、子育てのために私たちの集落を流れる川を選んでくれて嬉しかった。無事に育つよう、頑張って調査と観察を続けます」と、普段のイタズラっ娘とは思えない、しっかりとした受け答え。少し緊張していましたが、日々、一生懸命に観察し、思い描いていることを記者さんに伝えることが出来たようです。よく頑張った。偉いぞ、3人娘。
ただ、残念な報告があります。7月11日までは2組で計12羽のヒナが元気一杯に育っていました。が、梅雨の大雨で増水した川で12日、1組の親子が離ればなれになり、その時に天敵であるハヤブサに母鳥が襲われたようです。川から距離のある私たちの家にまで、猛禽類であるハヤブサの鋭い声が届いていました。
嫌な予感がして、翌日、観察に行くと、ヒナたちは散り散りの状態に。その後、3人娘の目の前で、カモメの餌食となったり、カラスなどの他の天敵にも襲われたりしたらしく、この1組6羽のヒナがすべて消えてしまいました。
生まれた時期が遅く、身体も小さかったグループだけに、メンバーの落胆も激しいのですが、「弱肉強食」が自然の摂理のひとつです。それを理解することは、世界自然遺産の麓の集落で生まれ、そこに棲息する生き物の事を学びながら共存していることを知る大切な事実です。涙ぐむ子もいましたが、これを乗り越えることで、また、大きく成長してくれるでしょう。
この後も、3人娘のシノリガモ観察は続きます。そして、6年生の総合学習も同時並行で進めてゆく予定です。次はどんな場面に出くわすのか。残った6羽のヒナとお母さんの運命は、どうなるのでしょうか。カラスに襲われて、営巣が遅れてしまった3組目の夫婦のシノリガモは、無事に子育てが出来るのでしょうか。ヒナが巣立つ9月まで、まだまだ観察記は続きます。
3人娘と11人の6年生からの報告は、今後も、随時掲載してゆきます。よろしければ、しばらくお付き合い下さい。
朝日新聞デジタルにも、掲載されています。
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http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201307170744.html
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