春日(鹿嶋)祭の神事2015 大学生がやってきた ツイート 舟神輿を担ぎ、集落内を練り歩くIVUSAの学生 神事が始まる前、保存会の柴田さん(左)から踊り方を習う学生たち ブログでもご紹介したように、今年の「春日(鹿嶋)祭」には、東京などの首都圏から「IVUSA(国際ボランティア学生協会)」のメンバーら11人が、お手伝いに来てくださいました。 東奥日報に掲載されました。 http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2015/20150627003035.asp 太刀棒を運ぶ女子学生 浴衣に着替える男子学生。ん?、どうすれば‥ その多くが、2回生から4回生の学生さん。大学はまだ、夏休みに入っていないので、ウィーク・デーは講義がある時期。にもかかわらず、週末を利用して、12時間近く夜行バスに揺られながら、駆けつけてくれたのです。 地元の女衆から着付けてもらう。さまになっているよ 女子学生も法被姿に 大間越地区の春日祭は、青森県の無形文化財に指定されている由緒ある神事です。が、過疎による少子高齢化で、人材不足が深刻になり、先々の継続が心配されています。 男衆のお化粧。学生も塗ってもらう 女子学生も祭り化粧。紅もさします 舟神輿の行列も、年々、短くなり、集落内のお年寄りからは、「寂しくなったなぁ。このままでは、ダメになるかもしれん‥」との声も出ていました。 あいにくの大雨。舟神輿を濡らさないようにビニールを被せる 美人がそろい踏み。雨が降っても大丈夫 IVUSAの学生さんとは、沖縄県での遺骨収集活動中に知り合いました。ここ数年、毎年のように100人以上の隊員を派遣して下さり、遺骨を見つけるだけでなく、遺留品の返還などの素晴らしい成果を上げてくれています。 舟神輿を担ぎあげる集落の男衆 雨が止む気配は、まったくなし そこで、私たちが終の棲家とする村の窮状を話すと、熱い言葉で応えてくれました。「そうした状況を打破するために、存在するのがIVUSAですから」と。そして、その子たちが、やって来てくれたのです。 今春、逝去された、祭り好きのレンジさんの家の前で。特に、念入りに踊ります 大雨で全員がびしょ濡れ。それでも神事は進行します 今回、6人来てくれた男子は、太刀振りとして行列に参加し、4人の女子は各舟宿で女衆を手伝うことに。全員が集落の人とは初対面です。 柴田さんから踊りの手順を習う6人の男子学生 雨の中、傘を差しながら、見守る女子学生たち が、人見知りがちな集落の人々にも、満面の笑顔で接します。そして、真剣に働くのです。これが、IVUSAの良さ。あっという間に溶け込み、神事をつかさどるチームの一員として受け入れられました。 激しい風雨の中、行列は進んで行きます 先振り(左)と同じように飛び跳ねるように踊る 午後1時、集落の青年会館でそろいの浴衣や法被に着替えた10人は、全員が舟神輿の行列に参加。男子は太刀棒を手に踊りながら、女子はそのあとを追います。 「今年の行列は長いね、活気があるね」。雨にもかかわらず沿道から声が飛んだ 全員がびしょ濡れ。まったく動じないで、踊り続ける が、この日は、大雨と強風波浪注意報が発令されたあいにくの荒天。激しい風雨に、重い神輿はあおられます。担ぐのは集落の高齢者たち。若い頃から、山や海で鍛えた先輩たちも、長時間、担ぎ続けるのはつらい仕事です。 担ぎ手を交代する学生たち それ、担げた。主役は俺だ!、いえ、私よ!! 最初の舟宿に到達したとき、男子たちが、「代わりましょう」と、さっと神輿の担ぎ棒に肩を入れます。先輩たちは、ホッと一息。少し心配そうですが、「よし、やってみろ」と笑顔で託します。すると、女子の一人が、「私も担げます」と、前へ。 舟神輿を軽々と担ぐ女子学生(手前) 雨の中でもぐいぐい進むよ これには皆がびっくり。でも、男子顔負けの体格とやる気。さすがIVUSAです。作業に男女差はありません。男子から棒を奪い取るように、舟神輿を担ぎあげました。見物からは、「おーっ」という声が。 楽しいー。男子に負けじと、担いで練り歩きます さぁ、スタートするぞ。真っ先に飛び出す学生たち いつもと違う春日祭に、沿道で見物するお年寄りたちは目を丸くして見入っています。太刀棒を振る、見かけない若者たち。初めて見る女子の担ぎ手‥。いつにない賑やかさで神輿の行列は続きます。 雨も風もへっちゃら。舟宿に到着 学生たちへ、沿道から「ごくろうさま」の声が掛かった でも、大雨と強風で、子供たちも辛そう。舟宿に到着すると、気温の低下と雨に濡れた事が重なり、ブルブル震えています。そこで、女子たちが手伝った料理が生きてきます。熱々のおでんや焼き立ての鳥串、お肉など。皆が笑顔で頬張っています。 雨で濡れた太刀棒が干されています 自分たちが賄いを手伝った舟宿で休憩。美味しいー 結局、強風と波浪のため、神輿として担がれた春日丸はこの日、海へ流されませんでした。学生たちは少し残念そうでしたが、波が高くて出航できないのは、仕方のないこと。悪疫退散の神事が事故を招いては意味がありません。 舟宿で温かい食事が振る舞われる 可愛い坊やにご挨拶 最後は、青年会館で打ち上げ。今まで見たことがないほどの人数が集まっています。大雨の中、頑張ってくれた学生たちを労うために来てくださったのです。 青年会館に集まった集落の方々と学生たち スマホで記念撮影。大先輩に撮り手をお願いします 全員が車座になって、祝宴が始まりました。学生たちが、それぞれ自己紹介し、祭りの感想を述べます。ここで何と、参加学生の半分近くが、祭り保存会の役員の後輩だったことが判明。30年近い年の差を置いた大学の先輩、後輩の出会いは、少し照れくさそうでしたが、お互いが感慨深げでした。 集落に大学の先輩がいました。後輩たちに激励の言葉を掛けて下さいます 先輩からのありがたいお言葉にお礼のあいさつ 実は大間越地区には、文化財指定されている神事があと二つあります。ひとつはお盆と十五夜に実施される「獅子踊り」。もうひとつが「御山参詣(山かけ)」です。実は、この山かけが、たいへんな行事なのです。 神社の前に置いた舟神輿の周りを踊る 十二湖の森を散策。柴田さんから、植物の説明を聞く 簡単に言えば、踊りながら白神岳登山をするような神事です。参加者はまず、頂上付近にある祠まで列をなして駆け上がり、五穀豊穣の祈願と、海や山からの豊かな恵みに感謝しながら、祠を踊りながら3周します。 柴田さんの案内で十二湖の森を歩く 激しく太刀棒をぶつけ合う男衆 そして、麓にある集落内の稲荷神社まで駆け下り、そこでも儀礼の踊りなどをするのです。山岳信仰に端を発している神事とされています。この山かけの継承も、少子高齢化などで年々、厳しくなっているのです。 子供たちも祭りの主役。でも数が年々減りつつあります 青池にも行きました 今回、参加してくれた学生たちに、その窮状を話してみました。すると、「時期さえ合えば、またお手伝いに来ます」と前向きな返答。祭の保存会や集落の長老たちも、この快活で素晴らしい働きを見せてくれる若者たちが気に入ったようです。 和気あいあいと祭りを楽しみます 大間越の3人娘とも仲良しに 再会を誓い合って、短い初夏の祭事は終わりました。一泊もしくは二泊三日の弾丸ツアーを終えた彼らは、また、夜行バスに揺られて帰って行きます。お別れの時、不覚にも涙がこぼれそうに。帰省してくれた可愛い息子や娘と、離れがたい父母の気持ちが痛いほど判ります。 秋田出身の女子学生が、帰省の際に足を延ばし、参加してくれました また、おいで。集落の総代さんたちも、大歓迎で迎えて下さいました ありがとう、IVUSAのみんな。また会おうね。大間越を故郷と思って、また、帰って来てね。そして、元気に学業に励んでください。いつまでも応援してますよ。 十二湖のブナ林でポーズ IVUSAの決めスタイルで Post Views: 221 « 屋久島との交流2014 第三弾「交流会とソリ遊び」 御山参詣(山かけ)の神事とIVUSAの大学生① »
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