みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
白神山地の生き物たち「ハクビシン」

白神山地の生き物たち「ハクビシン」

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倒木の下を通じる獣道から姿を見せたハクビシン。ピンク色のお鼻が愛らしい、深浦町の十二湖で

倒木の下を通じる獣道から姿を見せたハクビシン。ピンク色のお鼻が愛らしい、深浦町の十二湖で

東南アジアやインド、中国南部などの暖かい地方に広く分布しており、南方系の外来種といわれています。それが雪深い白神の山中で、カメラ前に頻繁に登場しており、ブナの森の中にも住処を広げているようです。

自動撮影のロボットカメラの前を走り抜ける

自動撮影のロボットカメラの前を走り抜ける

額から鼻に抜ける白い毛の筋が特徴のネコ目ジャコウネコ科の動物です。木登りが得意で、果物が大好物。リンゴ、ナシ、カキなどを食べ荒らし、農家にとっては厄介者です。トマトなどのビニールハウスにも侵入することがあり、猫と同じで頭が入れる隙間があれば小さな穴でも簡単に侵入してしまう忍びの者です。隣の鯵ヶ沢町では、スイカやメロンがアライグマの食害を受けていると聞いていますが、その被害の一部には、ハクビシンによるものがあるかもしれません。夜行性で、食べごろの果実や野菜を見つけると、毎晩のように訪れます。人家の近くにも棲息し、物置や屋根裏などに住処を作り、糞尿による悪臭や足音による騒音の被害をもたらす事もあるようです。日本への移入時期が不確かなので、アライグマのように特定外来生物の指定を受けていません。ゆえに、狩猟鳥獣に指定されているものの、大規模な駆除の対象とはなっていないようです。

毛が毛筆の材料に利用されることもある

毛が毛筆の材料に利用されることもある

しかし、健啖家が多い中国では、広東や雲南などの料理の食材として、肉の煮込みなどになっています。独特の臭みがあるので、ニンニクなどの香味野菜や醤油などで濃厚な味にされるそうです。白神山地のマタギや狩猟者に話を聞いても、その肉を食べた人の話は聞いたことがありません。が、インターネットなどで検索すると、とても美味しい肉だとする声もあるようです。

大昔から人間に利用されてきたハクビシン。麝香ってどんな香りなんだろうか

大昔から人間に利用されてきたハクビシン。麝香ってどんな香りなんだろうか

ハクビシンは麝香猫(じゃこうねこ)科とされるように、オス、メス共に独特の匂いを出す「会陰腺」を持っています。この会陰腺から分泌される液は香水の補強材や制汗剤、皮膚病の薬として用いられてきました。クレオパトラの媚薬の原料にも使われたとされています。そして、フィリピン産の「アラミドコーヒー」やインドネシア産の「コピ・ルアク」は、ジャコウネコが食べたコーヒーの実の排泄物から作ったコーヒー豆です。熱帯雨林に住むジャコウネコが、コーヒーの実と林内の甘い果実を食べますと、それらが胃の中で混じり合い、排出時に麝香の芳香が加わります。その実を一つずつ拾い集めて精製することで、この上ない香り豊かなコーヒー豆が生まれるとされています。 運の良い日でも採集できる量は1kgほどで、超高級な豆として高値で取引されています。

雨に濡れたハクビシン。別の生き物に見えた

雨に濡れたハクビシン。別の生き物に見えた

新聞記者時代、インドネシアのカリマンタン島に野生動物などの取材に行ったとき、ジャングルの中にあったJICA(国際協力事業団)の宿舎に泊めていただきました。そこには、地元の森に詳しい現地スタッフが数人雇用されており、仮住まいの掘立小屋を敷地内に建てて暮らしていました。その小屋の横に自生していた果物の木に、毎夜、ジャコウネコがやってきました。その姿を見るために、JICAの日本人スタッフが夜通し小屋に籠って観察していたそうです。すると、その小屋に泊まった人たちが次々とデング熱に感染し、ひどい人は日本へ帰国して治療を受けることになりました。当時は、「ジャコウネコの呪い」なんてまことしやかに囁かれました。が、真相は、現地スタッフの家族の一人がデング熱に羅患しており、この病のウイルスを媒介する蚊が病気の家族を刺し、この同じ蚊に刺された人が、次々と感染したのが原因だったそうです。私も、その部屋で観察しましたが、幸いにも感染いたしませんでした。デング熱は出血熱化することもあり、危険な熱帯病です。今から思うと、無謀な取材行でした。(哲)

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