みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
ボランティア大学生が深浦町へ 役場インターンシップ編

ボランティア大学生が深浦町へ 役場インターンシップ編

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幻の淡水魚「イトウ」を網で掬いあげるリーダーの小嶋さん。「重ーい!」

幻の淡水魚「イトウ」を網で掬いあげるリーダーの小嶋さん。「重ーい!」

深浦町が養殖するイトウにエサを与える小嶋さん

深浦町が養殖するイトウにエサを与える小嶋さん

深浦町へボランティアに訪れた大学生たちが、町役場でインターンシップをさせてもらいました。お世話になった主な部署は、総合戦略課と農林水産課。8月3日から5日までの3日間、過疎化が進む町で体験した地方行政の現場を報告します。

総合戦略課の松沢課長と新岡さんに着任の挨拶

総合戦略課の松沢課長と新岡さんに着任の挨拶

役場の農水課の皆さんと懇談する学生ら

役場の農水課の皆さんと懇談する学生ら

参加したのは、首都圏や関西の大学に籍を置く6人の女子学生。関係部署へのあいさつを済ませた後、早速、現場へ。まず最初は、農水課が担当する「害獣問題」を現場で視察し、その実務を体験する仕事です。3台の軽トラックに分乗し、サルが出没する山林や田畑へ向います。

ラジオテレメトリーの受信アンテナをもって

ラジオテレメトリーの受信アンテナをもって

パトロール中にサルを発見

パトロール中にサルを発見

深浦町には、29群986頭(平成25年調査)前後のサルが生息し、頻繁に田畑を荒らしては、森の中へ逃げ込みます。その数は、年々増える傾向にあり、簡単に駆除もできないので、町民も行政も頭を抱えています。

サルを脅す花火を森へ向けて

サルを脅す花火を森へ向けて

打ち上げ花火を発射!打ち上げ花火を発射!

特に、お年寄りが、生甲斐のために耕す小さな畑の作物が狙われるのです。都会で暮らす子や孫への故郷の便りとして、手塩にかけて育てた野菜がサルに荒らされる事例が頻発しています。農作業を止めて、引き籠ってしまわれた方もいるそうです。

農水課の児玉さんから現状の報告を受ける

農水課の児玉さんから現状の報告を受ける

サルの罠の説明を聞く

サルの罠の説明を聞く

そのため町は、害獣対策の特別チームを結成。出没地点にわなを仕掛けたり、捕獲したサルにラジオテレメトリーを装着したりするなどして、サルの行動を把握し、その被害を最小限に止める努力を続けています。

畑に張り巡らせた電機柵の説明を聞く

畑に張り巡らせた電機柵の説明を聞く

電機柵の説明を聞く

電機柵の説明を聞く

その現場での苦労などを、実務を担う職員の方々から、手ほどきを受けました。大きな音と共に火薬の匂いを充満させる花火で脅したり、時には地元の猟友会にお願いして実力行使をしたりします。それでもサルの学習能力は高く、一進一退の攻防が続いているそうです。

現場でクマなどの野生動物の話を聞く

現場でクマなどの野生動物の話を聞く

イトウの養殖池の前で

イトウの養殖池の前で

そして、今回の派遣リーダーである小嶋実世さん(駒沢大3年)らは、町が力を入れている耕作地の土壌開発の研究室を訪ねました。雪解けの後、どんな肥料を撒いたらいいのか、分析室で実際に使った試験管の洗浄などを手伝いながら、農業における土の大切さを学びました。

職員から話を聞く

職員から話を聞く

イトウとは

イトウとは

そして、深浦町が力を入れている幻の淡水魚「イトウ」の養殖現場へ。産卵後、孵化させて、5年、10年かけて成魚まで育てる壮大さに目を丸くします。餌やりの体験では、大きな魚が水しぶきを上げて奪い合う姿に、腰が引けてしまう場面も。

イトウを捕獲する職員

イトウを捕獲する職員

イトウの水しぶきを浴びて、「ひぇー!」

イトウの水しぶきを浴びて、「ひぇー!」

町の名産として定着している希少な魚を、大切に育てている職員の方々を尊敬するのと共に、とてもカッコよく感じました。残念だったのは試食ができなかったことです。次の機会にお願い致します(笑)。

幼魚へエサを与える

幼魚へエサを与える

網に入れて捕獲。「大切なお魚だから慎重に、ね!」

網に入れて捕獲。「大切なお魚だから慎重に、ね!」

一方男子は、限界集落化で担い手が1軒になってしまった農地で、用水路の整備事業に臨みました。手入れするのも、すべて一人でされていたので、落ち葉などがヘドロ化して、あちこちが埋まっています。それを掘り出して、20年近く交換してなかった堰の木材を新調する作業です。

魚のたてる水しぶきに大騒ぎ

魚のたてる水しぶきに大騒ぎ

用水路の鉄製のふたを開ける

用水路の鉄製のふたを開ける

北東北とはいえ、真夏の太陽が照り付ける森の中の気温は30度以上。南方のジャングルのように蒸し暑い環境です。そして、巨大な虻の襲撃。服の上から背中に食らいつき、髪の毛の隙間を狙って血を吸いに来ます。その執拗な攻撃を受けながらも、男子6人が黙々と働きます。

分水枡の中の泥をスコップで掬いあげる

分水枡の中の泥をスコップで掬いあげる

2日にわたり、計9か所を整備しました。が、ここで時間切れ。残りは9月に再挑戦します。土方仕事的な重労働の後は、インターンの女子学生と合流。「深浦町で学生ボランティアがどんな取り組みで貢献できるか」を役場関係者らと話し合うため、総合戦略課が主催する会議に出席しました。

整備を完了した枡の中でポーズ

整備を完了した枡の中でポーズ

ディスカッションで企画を提案する

ディスカッションで企画を提案する

「世界自然遺産・白神山地の環境保全」「日本ジオパーク登録地の海岸清掃」「海の産業廃棄物の有効利用」「新しい特産品の開発」「絶滅寸前の祭りや伝統行事の保存」など、斬新で素晴らしいアイデアが次々と飛び出します。

ディスカッションの場でも笑顔を絶やさずに

ディスカッションの場でも笑顔を絶やさずに

会議に飛び入りで参加された吉田町長(左)と菊池(副町長)

会議に飛び入りで参加された吉田町長(左)と菊池副町長

会議の時間が足りないかなぁ、と思い始めた時に、なんと吉田町長と菊池副町長が飛び入りで参加。深浦の将来に向けて、熱い意見が飛び交います。学生から町長や職員へ、切り返しの質問が投げかけられるなど、インターンとは思えないような濃密な内容です。

深浦の将来を巡って、盛りあがる論議

深浦の将来を巡って、盛りあがる論議

町議会の議場で記念撮影

町議会の議場で記念撮影

次の予定に食い込むほど、町長たちも熱く語り合って下さいました。最後に議場を見学。深浦の将来を論議し合う、議員や町の関係者になったつもりで着席し、みんなが笑顔で記念撮影しました。

全員で町関係者側の席に着席してみる

全員で町関係者側の席に着席してみる

時間をオーバーして付き合って下さった町長に感謝

時間をオーバーして付き合って下さった町長に感謝

学生の感想です。「地域活性の活動は初めてだったが、地元の方々と直接、お話できたことで、町が抱える様々な問題点が見えてきた(神奈川2年・中尾真悟くん)」。初めてだった活動でありながら、満足のいく成果が得られたようです。

会議で発言する中尾慎吾くん(左から二人目)

会議で発言する中尾慎吾くん(左から二人目)

次の活動を担う2回生コンビ。財務課長席で可愛いポーズ

次の活動を担う2回生コンビ。財務課長席で可愛いポーズ

インターンシップが終わった後、海産物を使った特産品づくりにチャレンジしました。地元の県立木造高校深浦校舎の生徒たちも参加し、自分たちが考えたデザインの作品を作ります。今回、宿泊でお世話になった公民館に全員で泊まり込み、作業に没頭します。忙しすぎたせいか、楽しい交流やおしゃべりがあまりできなかったようです。

海産物を使った特産品つくり

海産物を使った特産品つくり

高校生や中学生も一緒になって活動

高校生や中学生も一緒になって活動

また、来てね!。うん、来月に来るから。名残惜しいけど、また会えるよ

また、来てね!。うん、来月に。名残惜しいけど、また会えるよ

でも、「高校生や地域の子供たちと交流できたことは、町の未来像を考えるうえで有意義だった(駒澤大2年・西川拓耶くん)」との声。実務的すぎる内容にもかかわらず、高校生との活動に意味を見出す学生もいます。

高校生たちとの別れで手を振る

高校生たちとの別れで手を振る

それ、追いかけるよ!

それ、追いかけるよ!

また、会おう。来月、来るからね!

バイ、バーイ。また、来月、来るからね!

それでも、一緒に海へ行ったり、バーベキューをしたりして、東北の夏を満喫していました。次は9月3日に開かれるお山参詣(大間越地区)と日本ジオパークに登録された地区の海岸清掃に臨みます。いつも全力投球で頑張ってくれる大好きな子供たち。次も期待しているからね。

派遣の最後に仲間から寄せ書きをもらうリーダー。感激のあまり号泣

派遣の最後に仲間から寄せ書きをもらうリーダー。感激のあまり号泣

お世話になった深浦の桃ちゃん(手前右から二人目)らと記念撮影

お世話になった深浦の桃ちゃん(手前右から二人目)らと記念撮影

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