
トーチカ内で見つかったハーモニカ
沖縄県糸満市喜屋武で、旧日本軍が使用していた石積みのトーチカから、戦没者の遺留品とみられる楽器のハーモニカが出てきました。住民が避難していた壕内から見つかることはあるのですが、兵士たちが駐留する戦いの場で見つかる例は、きわめて珍しいです。

この石垣の隙間に差し込んであったのを女子学生が見つけた
高台にある陣地の石積みの間に差し込んであったそうで、IVUSA(国際ボランティア学生協会)の女子学生が、遺骨収集中に発見しました。片面には、「ヤマハバンド」と描かれ、裏面には、蝶の印と、「Butterfly Harmonica」と刻まれています。

日本軍の陣地跡が残るジャングルで、遺骨収集に臨むIVUSAの学生たち
いったい誰が持ち込んだのでしょうか。トーチカに居た日本兵が、戦闘の合間に吹くため?。それとも、兵士が全滅したり、撤退したりした後に、入り込んだ民間人が置いて行ったのかな。謎は深まります。

遺骨に手を合わせるIVUSAの学生たち
その場所は、高さ約2㍍、横幅が5㍍程の人工の石積みに、大きな機関銃か軽砲を備え付けられる大きさの銃眼が開いている、兵士が駐屯したトーチカ。背後の壁には、敵の攻撃なのか、黒く焼け焦げたような跡も残っています。

トーチカ内でハーモニカが見つかった時の様子をNHKの記者(左)に説明する女子学生(右端)
規律を重んじる日本軍兵士が、戦場でハーモニカを吹いていたとは思えません。ましてや、洞窟や岩の隙間から、米軍にゲリラ攻撃を加えていた沖縄戦ですから。ならば誰が持ち込んだのか。その答えは、70年過ぎた現場の状況で判断するしかないようです。

ハーモニカに描かれた文字を懸命に読み取ろうとする男子学生
実は、このハーモニカの近くで、子どもの顎の骨が見つかりました。両者の距離は50cmも離れていませんでした。そして、石積みの下の地面から、大人の骨に交じって、子どもの遺骨や歯が複数出土したのです。

出土した子供とみられる下顎骨の説明を聞く学生たち
そして、下顎を詳細にみると、まだ奥歯が生えそろっていない状況。当時の子供の栄養状態が悪かったとはいえ、ハーモニカを吹けるような年代の遺骨とは思えません。でも、機関銃を構えている陣地に、そんな子供が出入りできるとは考えられないのです。

学生に身振り手振りで遺骨の説明をする哲二
このトーチカで見つかった、ハーモニカと子供の顎の骨。関係各方面に問い合わせるなどして、更なる情報を集約して続報を書き込みます。もうしばらく、お時間を下さい。
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たまたま、出勤途中にテレビを見ていて、学生さんたちの遺骨収集活動が目に留まりました。「もしかして・・。」と思ってみていたら、ご夫妻が出ていて、思わず「やっぱり!」とうれしくなりました。遺骨収集自体ももちろんですが、若い方の力を借りることで、戦争体験が風化されてしまうことを少しでも食い止められると信じています。
お体に気をつけて、頑張ってください。