「イタチの最後っ屁」「イタチごっこ」など、イタチにまつわる格言や言い伝えは多く、自宅周辺などでよく見かける生き物です。ネコ目の中でも最小サイズで、体重が2kgにも満たない種です。そしてオスに比べメスが極端に小柄で、この傾向はイイズナやオコジョなど小型の種類ほど顕著です。日本へ移入されたチョウセンイタチでオスの半分、ニホンイタチではオスの3割程度の大きさです。
ロボットカメラに写る姿は、小柄でとても愛らしいのですが、見かけによらず凶暴な肉食獣です。ムチのようにしなる靭やかな体と短い足で、自分より体の大きいウサギや鳥類、小型の齧歯類も単独で捕食します。そして、農家が飼育しているニワトリなども襲うため、家禽の飼育を生業にしている方々からは、蛇蝎のように嫌われています。でも、体が小さいためか敵も多く、鷹やフクロウなどの猛禽類やキツネなどに捕食されることもあるようです。
凶暴なハンターとしてだけでなく、古来から怪異を起こす存在としても忌み嫌われてきました。「イタチの群れは火災を引き起こす」、「イタチの鳴き声は不吉の前触れ」とされ、信越地方ではイタチの群れが騒いでいる音を「鼬の六人搗き」と呼び、家が衰える、または栄える前兆としています。更に、キツネやタヌキのように化ける存在として、妖怪のようにも扱われています。いずれにせよ、姑息で気味が悪い存在として捉えられており、森のネズミ類などが増えすぎない調整役も担っているのに、気の毒に思えます。
そして終戦後は、イタチの毛皮は衣類、日用品などに利用され、現在も、イタチの毛を使った毛筆は高級品とされています。白神山地のマタギや長老たちも、生活が厳しかった終戦後には、競うように捕獲し、思いっきり引き伸ばした革を売りに行った、と懐かしみます。テンよりもカメラの前に姿を見せませんが、ネズミの巣穴や鳥の巣がある場所では、良い表情で登場してくれます。私らはイタちゃんと呼んで、可愛い仕草をパソコンや携帯の待ち受け画面に使っています。
森の中ではいつも通るコースが決まっているようで、同じカメラに何度も写ります。動画用のカメラでは、素早くて何が写っているのか判らないようなスピードです。いずれは小柄なイタちゃんの大きさに合うレンズを使って、本格的に撮影したいと考えています。(律)
お見事です。