みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
海辺の対決「オオワシ」

海辺の対決「オオワシ」

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★朝日新聞に掲載されています。下記のURLをクリックしてください。

http://www.asahi.com/area/aomori/articles/TKY201305220357.html

岩の上で羽を休めるオオワシにカラスが果敢にアタック、深浦町で

岩の上で羽を休めるオオワシにカラスが果敢にアタック、深浦町で

白神山地の麓の深浦町は、美しい海岸線でも有名です。荒々しい岩礁に打ち寄せる波や、日本海に沈む夕日を見るために、JR五能線を走る列車に乗って、全国から多くの観光客が訪れます。観光スポットとしても名高い津軽の西海岸ですが、人を寄せ付けない険しい地形が連続するため、海鳥や渡り鳥たちにとっても餌を取ったり、羽を休めたりする重要な場所となっています。

奇岩が並び、複雑な地形が入り組んだ深浦町の海岸線。2012年に「八峰白神ジオパーク」に指定されている

奇岩が並び、複雑な地形が入り組んだ深浦町の海岸線。2012年に「八峰白神ジオパーク」に指定されている

双眼鏡を手に、「今日はどんな生き物が来ているかな」と観察に行くと、いつも鳥たちが好んで止まる岩の上に、見かけない大きな猛禽がいます。脅かさないように、こっそりと近づいて目を凝らしてみると、このあたりでは滅多に見かけないオオワシの若鳥のようです。

2羽が挟み撃ちにして威嚇。空の王者もタシタジ

2羽が挟み撃ちにして威嚇。空の王者もタシタジ

夫がいつになく真剣な表情で「しっ」と唇に指を当て、そっと車から降りてゆきました。距離は100㍍前後かな。車の陰に身を隠しながら、フィールドスコープに一眼レフカメラを取り付けて、撮影のタイミングをはかっています。

カラスの執拗な威嚇にうんざりとするオオワシ

カラスの執拗な威嚇にうんざりとするオオワシ

オオワシは体長が約1メートル、羽を広げると2・5メートル近くにもなる大型の猛禽類です。国天然記念物、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。夏はカムチャッカ半島やサハリン北部などで子育てし、越冬のために北海道や東北など北日本の海岸線に飛来します。先がカギ状に曲がったクチバシ、鋭い爪、堂々たる体躯‥。まさに鳥類の頂点に君臨する誇り高い存在感に圧倒されます。距離はありましたが、撮影を始めても、じっと海を睨んだまま、動じる気配はありません。

ワシ③hp

上空から急降下で威嚇。突っつきそうにみえるが、ギリギリで躱す。蝶のように舞い、蜂のように刺す?

上空から急降下で威嚇。突っつきそうにみえるが、ギリギリで躱す。蝶のように舞い、蜂のように刺す?

と、そこに、一羽のカラスが矢のように飛んで来たかと思うと、急降下してワシを威嚇し始めました。最初は、「なんかウルサイ奴がきたなあ」とチラッと見上げるぐらいでしたが、カラスは何度も急降下と攻撃する素振りを繰り返します。そのうち、家族でしょうか、助っ人が登場。体当たりはしませんが、二羽で代わるがわるクチバシと足で、ワシの首や翼を狙って、今にも蹴りを入れるぞ、突くぞという勢いです。これにはさすがのワシも嫌気がさして、渋々とその場を後にしました。もっと見たかったのに‥。

ワシ⑥hp

時間と共にカラスの攻撃は激しさを増した。のんびり羽を休めていたワシの方が気の毒に思えてきた

時間と共にカラスの攻撃は激しさを増した。のんびり羽を休めていたワシの方が気の毒に思えてきた

カラスの喧嘩早さは、これまでにもハヤブサやミサゴなどを追い払う姿を何度も確認していました。でも、自分よりも倍以上の大きさのワシに対し、果敢に襲い掛かる姿に感心しました。同時に、畏敬の念も。たぶん子育て中の夫婦者だったのかな。それとも、縄張りを守るために、仲間で協力しながら戦ったのかな。命と尊厳をかけて生を紡ぐ自然界の日常。その厳しさの片りんを嫌われ者の黒い勇者に、教えられた思いです。

ワシ⑧hp

もう我慢しきれずに退散。北に向かって飛び去ってしまった。やりすぎだよ、カラス君

もう我慢しきれずに退散。北に向かって飛び去ってしまった。やりすぎだよ、カラス君

これらのシーンを地元紙「東奥日報」の一面と朝日新聞の青森版に掲載していただきました。

ワシ⑦hp

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コメント

  • 食べ物やセイリング山本千鶴子 より:

    すごい写真ですね。ドキドキしてしまいました。映画を見ているようです

    • hamatetsu より:

      いつもコメントありがとうございます。

      私たちも、どうなることかと、固唾をのんでなりゆきを見守っていました。
      その間、わずか数分でしたが、大自然の織りなすドラマは素晴らしいです。
      そしてこのような環境が、変わることなく次代へ引き継がれていきますよう、願わずにはおれません。

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