みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
●ツバメ

白神山地の生き物たち「ツバメ」

電線にとまった雛に餌を与える親鳥=深浦町で

電線にとまった雛に餌を与える親鳥=深浦町で

沖縄で遺骨収集活動を始めてほぼ一ヶ月が過ぎました。青森と違い、暖かい日は半袖で過ごしたりしています。縦に長い日本列島。北国が冬のさなかでも、亜熱帯の島々には、もう春の使者が訪れ始めています。そう、深浦町でもよく見かける、ツバメ君たちです。北半球の広い範囲で繁殖し、日本では沖縄県以外で子育てをするそうです。彼らの主な越冬地は台湾やフィリピン、カリマンタン(ボルネオ)島北部、ジャワ島などです。沖縄で越冬も繁殖もしないのは意外でした。そういえば、市内を飛び交っている姿を見かけますが、巣をほとんど見つけることはできません。琉球列島は旅の中継地として羽を休めるために使われているのでしょう。

電線にとまった雛に餌を与える親鳥=深浦町で

電線にとまった雛に餌を与える親鳥

ほんどが民家や建築物の軒先など、人工物に泥と枯草を唾液で固めて巣を造ります。巣は新しく作るときもあれば、古い巣を修復して使うこともあります。産卵期は4~7月頃で、主にメスが抱卵するようです。人が暮らす場所で繁殖する傾向が高いのは、天敵である蛇やカラスなどが近づき難いからとみられています。農村部では、害虫を食べてくれる益鳥として大切にされ、殺したり巣を壊したりする行為は禁じられてきました。また、ツバメが巣をかけることが商売繁盛や家内安全の証、とする言い伝えも残っています。そのため、巣立った後も巣を大切に残しておく家庭もあるようです。「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」というお天気のことわざにも使われ、古くから日本人の暮らしと深い関わり合いを持った鳥です。

親鳥が飛んでくると振り向いて一斉に餌をねだる雛たち

親鳥が飛んでくると振り向いて一斉に餌をねだる雛たち

時々、中華料理の高級食材として話題にのぼるツバメの巣。これはアマツバメ科に属するインドショクヨウアマツバメなどの巣で、日本に渡ってくるツバメの巣は食べることはできません。一部、国内で冬を越す個体もあり、「越冬ツバメ」と呼ばれたりしています。主に西日本でみられるようで、民家や納屋内の軒先などを集団でねぐらにしているようです。

空中の親鳥から口移しで餌をもらう。ナイスキャッチ

空中の親鳥から口移しで餌をもらう。ナイスキャッチ

2月半ば、沖縄では寒緋桜 (カンヒサクラ)が咲き、道路沿いのアカバナー(ハイビスカス)も、ちらほらと花をつけるようになってきました。飛翔するツバメの数も、心なしか増えているようです。私たちが南の島に滞在できる時間も短くなりました。遺骨収集はまだまだ終わりそうにありませんが、本年のリミットが近づきつつあります。朝晩凍えることもなく、雪かきをしなくてもよい。暖かい日差しを浴びながら、ゆったりと生きる南国の暮らしも、捨てがたいものがあります。でも最近は、青森が故郷のように思え、長旅をすると「早く帰りたいなぁ」という気持ちが強くなります。ツバメ君たちもそうなのかな。冬は南へ渡り、春には子育てに帰ってくる。沖縄での残り少ない日々を惜しみながら、軽やかなツバメの飛翔を目で追っていました。(律)

大口を開けて餌をおねだり

大口を開けて餌をおねだり