青森県深浦町の小さな集落     
●伊勢親方と白神山地の山菜採り

伊勢親方と白神山地の山菜採り

新緑の白神岳②hp

真っ白く雪を被った白神の山に、黒い地肌が見え始めると、春の山菜採りシーズンが幕を開けます=写真上、新緑に映える白神岳。雪が溶け地肌が出てきている、深浦町で

渓流とキノコhp

4月下旬、深浦のマタギ・伊勢親方が山を見上げながら、「どーら、そろそろ行ってみるか」と、キラキラした眼でひと言。待ってましたとばかり、背負い籠を肩に山へ駆け出します=写真上、渓流の脇に立つ朽木にキノコが群生していた。さぁ、採るぞ。今年は何が出ているかなぁ。が、歩き回ったのにフキノトウしか出ていません。えぇー、大型連休も近いのに、どうなっているの。

コシアブラhp

今年の春は異常気象だ、と親方も地域の長老らも口を揃えます=写真上、コシアブラの新芽?。冬の積雪が多く、春先にはみぞれ混じりの冷たい雨が降り続き、暖かい春風がいつまでも吹いてくれません。4月半ば頃から山を目指す気の早いご近所さんからも、早めの山菜便りがまったく聞こえてきませんでした=写真下、5月上旬、雪渓が残る林道を山菜を手に歩く伊勢親方

雪渓②hp

5月の大型連休に、都会から仲間が訪ねてくるのに‥。楽しい山菜採りどころか、美味しい山菜料理も食べさせることが出来ないのでは。うーん、心配‥と、気を揉んでいたら、親方が「5月に入ってから、ひとりで見に行ってみたら出ておったぞ。ようやく春の味を食べられるな」と、ウド、タラの芽などを少し分けて下さいました=写真下、ボウナを携帯電話で写真に撮る友人

携帯hp山菜hp

当然、戴くだけでは物足りません=写真上、親方の差し入れ。ウド、タラの芽が山のように‥。早速、親方といつもの場所へ出かけました。すると、出ています、出ています。つい先日まで雪の下だった大地から、瑞々しい新芽が顔をのぞかしているではありませんか。地面に這い蹲るようにして取ります。くるっと巻いたゼンマイのような形のものはコゴミ。正式にはクサソテツというシダ類の仲間です。

コゴミ①hp

灰汁抜きの必要がなく、天ぷらやお浸し、胡麻和えなどで食べます。我が家では、茹でてマヨネーズをつけたり、生のまま細かく刻んでピザの具にしたりもします=写真上、大収穫のコゴミ。ちょうど盛りの時期だった。春一番に出るコゴミは、身が細くてマッチ棒ぐらいの太さしかないのですが、一週間程過ぎると、肉の厚いしっかりしたものが出てきます。これらは子どもの小指ぐらいの太さで、色は鮮やかな濃い緑。口当たりの良い柔らかさで、かみしめるとほんのり青草の味がします。かすかな甘味も。

タラの芽①hp

タラhp

そして、タラの芽。トゲトゲの茎先に出てくる柔らかい芽を食べます。山菜の王様とも呼ばれ、都会のスーパーなどでは3~4切れ入ったパックが1個400円前後で売られています=写真上2枚、少し早かったがそれなりに採れたタラの芽。上の写真ぐらい開いても美味しくいただける。これが、格別な味です。特に天ぷら。油で揚げるとあくが抜け、濃厚なコクが出ます。葉がまったく開いていない芽も良いのですが、少し開いた芽の方がパリッと揚がって超美味です。

仕分けhp

今ほど流通も栽培技術もなかった昔、冬場に青い野菜が手に入らなかった北国の人たちは、厳しい寒さに耐えて、やっと口にすることができる「春の天然野菜」だったのでしょう=写真上、収穫後、家に持ち帰って来てからの楽しい仕分け作業。齢を重ねすぎていたり、下半身が不自由だったりする、ご近所のお年寄りたちに配ると、時には涙を流して喜んでいただけます=写真下、春の気配が漂う白神山地。正面が白神岳で、左は向白神岳

新緑の白神岳③hp

ウドhp

おかげさまで、大型連休を満喫できました。なぜか今年は早く顔を出したウドも天ぷらにし、まさに山菜ざんまいの休日でした=写真上、いつもより早く手に入ったウド。東京や大阪から訪ねてきてくれた友人も、「美味しいー」を連呼。「白神の山菜、全部好きかも」と、箸を休める暇もなく食べまくりです。最後に、「うーん、山菜祭りを満喫いたしました。次はキノコを目指して再訪します」と、早くも秋のリピート宣言。

G子hp

白神山地の自然と伊勢親方に心より感謝の気持ちを込めて、ごちそうさまでした。友人たちからは、お土産に持ち帰った山菜を家族に振舞って、二重の美味しさと感激を味わった、と便りが来ています=写真上、春の色と香りが漂うコゴミ。収穫の喜びで、友人も満面の笑顔。でも、(ΦωΦ)フフフ…。白神の山菜は、まだ、これからが本番の収穫期を迎えるのです。さぁ次は、シドケにアイコ、そしてミズにタケノコが待っています。楽しみは尽きませんよ。