みらいを紡ぐボランティア

ジャーナリスト・浜田哲二と学生によるボランティア活動

青森県深浦町の小さな集落     
山菜の宝庫・白神山地②(ワラビ、タラの木など)

山菜の宝庫・白神山地②(ワラビ、タラの木など)

このエントリーをはてなブックマークに追加

 

荒地となっている我が家の田で採れたワラビ。まさに食べきれないほど出てくる

荒地となっている我が家の田で採れたワラビ。まさに食べきれないほど出てくる

今年もワラビが豊作でした。実はこのワラビ、深浦町の我が家の休耕田で採れたのです。理由を記しますと、譲っていただいた古民家に田と畑のオマケが付いていました。私たちが暮らす家から、徒歩で10分ぐらいの場所に4区画で2500坪(約8000平米)ほどの広さです。一応、農業をやるつもりだったのですが、忙しくて手を付けられないため、草がボーボーで一部には木も生えています。その荒地が自然のワラビ田になっているのです。2年前まで、まったく気づかなかったのですが、毎年、ご近所に配れるほど生えてきます。収穫は楽しいし、いつも野菜などを戴くおばあちゃんへのお礼にもなって、一石二鳥の喜びです。

新芽が付いた先端をノコギリで切り取られたタラの木。ほとんどが枯死してしまう

新芽が付いた先端をノコギリで切り取られたタラの木。ほとんどが枯死してしまう

ただ、この時期は、他人の土地へ無断で入ってくる「山菜トレジャーハンター」との戦いに終始されます(笑)。まぁ、自分たちが食べる分を採るだけならば許します。しかし、商売にするためか、根こそぎ収奪してゆくのは困ったものです。ワラビなどは、根茎を引き抜かなければ問題ないのですが、タラの木などは茎をノコギリで切断して持って帰るので、木自体が死んでしまいます。そんなマナーの悪い山菜採りもいて、田舎ながら熾烈な争いがあるようです。

林道沿いのタラの木は、ほとんどが先端をノコギリで切り取られていた

林道沿いのタラの木は、ほとんどが先端をノコギリで切り取られていた

近所のおばあちゃんが、畑に侵入して来た他府県の山菜採りに、「うちの敷地に無断で入らないで」と声を掛けたところ、鎌を振り上げて脅された、と涙ぐんでいたことがありました。白神山地に山菜を採りに来る楽しみを奪うつもりはありませんが、もう少しマナーを考えて頂きたい方々がいるのも事実です。

最盛期になると3日に1回行けば、これだけ収穫できる

最盛期になると3日に1回行けば、これだけ収穫できる

「マタギ」の伊勢親方のように、採り過ぎないし、現場も荒らさないようにすれば、翌年も生えてくるのです。その場限りの刹那的な楽しみに溺れるのではなく、持続可能な形で白神山地の豊かな恵みを拝受したいものです。だから、外から来られる方々も、醜い争いごとを起こさないで、自然も人心も破壊しないような謙虚な気持ちで、訪れていただきたいと願っています。

巻いている先の部分を手で解して毟り取る

巻いている先の部分を手で解して毟り取る

さて、ワラビの紹介に戻ります。山菜の中でも特に灰汁が強いのがワラビ。その灰汁抜きの手順です。まず、クルッと巻いた先の部分を手で毟り取ります。そして、ある程度の長さに切りそろえ、ステンレス・バットに入れて、薪ストーブの灰をまんべんなく振りかけます。灰の量が多すぎると、ワラビが柔らかくなりすぎるので注意が必要です。重曹で代用しても問題ありません。我が家はすべて天然素材での調理と下処理を目指していますので、灰も広葉樹を燃やした木灰を使っています。

灰汁抜きのため、薪ストーブの灰を振りかける

灰汁抜きのため、薪ストーブの灰を振りかける

次はグラグラと沸騰したお湯を、灰を振ったワラビにまんべんなくかけながら、ヒタヒタになるまで注ぎます。すると、ワラビの色が緑や茶、紫色などへ徐々に変化してゆきます。一晩、漬け込み、翌日にきれいな水で灰汁を洗い流してから、調理に移ります。

グラグラ沸いた熱湯をヒタヒタになるように掛ける

グラグラ沸いた熱湯をヒタヒタになるように掛ける

ワラビ料理は様々ですが、我が家では三杯酢に浸けるか煮物にします。日本各地で親しまれている山菜なので、お浸しにしてワサビやカラシ醤油で食べたり、酢味噌やマヨネーズなどをつけて食べる例も。また、野菜サラダに混ぜると美味しいそうです。灰汁が防腐剤の代わりになるので日持ちすると言われますが、灰汁抜きしたものは3日も過ぎると腐りやすくなるので注意が必要です。

一晩漬け込めば灰汁抜き完了

一晩漬け込めば灰汁抜き完了

深浦町では、冬に向けて塩蔵する家庭が多いと聞きました。束ねた生ワラビを漬物樽などに敷き詰め、真っ白になるぐらい塩を振り、落とし蓋と重石をした後にビニールなどをかけて封をします。食べる時は取り出したワラビを水でよく洗い、たっぷりの湯で茹でて塩抜きしてから調理します。塩漬けワラビは、けの汁に入れたり、煮付けや卵とじなどにしたりするそうです。

オリーブオイルを使ったタラの芽と海老の炒め物

ニンニクと唐辛子でオリーブオイルに香味をつけて炒めたタラの芽と海老

家畜の牛馬などがワラビを食べると中毒症状を起こすといいます。人間も同じで、灰汁抜きしないで生を食べると中毒を起こします。 ワラビには発がん物質であるプタキロサイドが含まれており、調理したものでも大量に食べると全身が出血症状になって、骨髄が破壊されて死に至ることもあるそうです。でも、副食として食べる程度ならば害はないとされており、完璧に灰汁抜き処理をすれば問題はないようです。

タラの芽に火が通ったら出来上がり

タラの芽に火が通ったら出来上がり。味付けは塩コショウをお好みで

 豊かな恵みを施してくれる白神山地の自然。なかでも山菜は、ここで生きる人たちの重要な天然野菜でした。春から夏にかけて収穫し、冬に備えて貯蔵する。毎年、これを繰り返すことで、北国の厳しい冬の暮らしを乗り越えてきました。その摂取の仕方や保存法には、過酷な環境で生き抜く生活の知恵が詰まっています。縄文時代から続く、狩猟採取を中心とした暮らし。それを毎日のように実体験できることは、都会暮らしが長かった私たちにとって、新しい発見の連続です。伊勢さんも近所のおばあちゃんたちも、皆んなが素晴らしき白神の先生です。不肖な弟子ですが、よろしくご指導を願いますね。

« »

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください